Web Syllabus(講義概要)

　文化財科学の目的は文化財の科学的研究を通じて人類の過去を探るともに、その価値を明らかにして文化財を保存しようとする点にある。この講義では文化財科学の中でもいわゆる文化財測定法を取り上げ、文科系の学生を主対象に、位置・色彩・形状・構造・材質・産地・製作技法・年代などに関する理化学的データを適切に評価・解釈し、歴史学や考古学の研究に応用できるよう指導する。特に、この分野での論文をいくつか取り上げながら各種文化財測定法の原理や手順についても理解を深め、対象とする文化財や得たい知見に合わせてどのような測定が必要か、予測される問題点は何か、などについて自ら考える力を養う。

　この講義では博物館学芸員や文化財専門職をめざす者に求められる実務的能力の養成を図る。そのために、文化財測定の実際に触れ、いくつかの分析機器についてその操作スキルを習得する。そのうえで、各自の研究テーマにしたがって文献に記載された各種測定データを歴史学や考古学に適切に応用できる判断力を身につける。

　文化財の各種分析方法について実験を交えて解説するので出席を重視する（50％）。簡単な実験ノートを含め、小レポートを適宜課し（平常点として20％）、それらをまとめた総合レポートを期末に提出させる（30％）。

　テキストは用いずプリントを配布する。
　参考文献は適宜指示する。

　文化財に対する知識を深めるためにも博物館・美術館に足を運んで実物を見るよう心がけて欲しい。授業でも開催中の展覧会をなるべく紹介する。

　「美術史・文化遺産実習３B－Ⅰ・Ⅱ」をあわせて受講することを勧める。
　講義の中で耳慣れない理科系の用語や英単語が出てきたら辞書・事典やwebなどを利用してそのつど検索しておくこと。おぼろげながらも見当をつけつつ歩き続ければ、そのうち自信を持って歩けるようになります。