Web Syllabus(講義概要)

平成28年度

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カリキュラムの開発評価と実践研究 田中 壮一郎
選択  2単位
【教職大学院】 16-1-1334-3178-03

1. 授業の概要(ねらい)

 授業は、複数の教員によるティーム・ティーチングの形態で行う。
 小中一貫校の設立の意義を踏まえ、その視点からカリキュラムの在り方を検討するとともに、担当する教科のカリキュラム作成にかかわる成果と課題等について協議する。
 具体的には、次のような内容の授業を行う。
  ①小中一貫校のカリキュラム開発の現状と課題について調査するとともに、その結果を踏まえながらこれからの小中一貫教育の方途を検討する。
  ②学校が抱える教育課題の解決をめざし、将来の教育の在り方を踏まえたカリキュラムの設計能力を育む。
  ③学校改善に向けた各学校の取り組み事例と評価を検討しながらカリキュラム開発の能力の伸長を図る。
  ④小中一貫教育に関わるカリキュラム開発や学校改善に向けたテーマを設定し、学校の教育計画の基本構想図(グランドデザイン)の作成・発表と協議を行う。

2.
授業の到達目標

 A類学生は、小中一貫教育のカリキュラムの開発および評価の過程について理解を深めると共に、これまでに開発されてきたカリキュラムを事例分析することを通してしその手法を身に付け、小中一貫教育に関わるカリキュラムのグランドデザインを作成できる。
 B類学生は、小中一貫教育のカリキュラムの成果と課題を分析・評価するとともに、先進的な取り組みの事例分析を通してカリキュラムの設計能力の向上を図り、新しいカリキュラムの開発・評価について説明できる。

3.
成績評価の方法および基準

 ・授業の中での事例分析の報告及び各自作成したグランドデザインの内容によって評価する。

4.
教科書・参考書

 テキスト:特定のテキストは使用しない。

5.
準備学修の内容

 ・小中一貫教育校について情報収集を行う。
 ・実習校や勤務校を中心に、カリキュラムの具体的な事例収集と分析を行う。
 ・グランドデザインの作成は、授業時間外で行うことがある。
 ・マスコミの報道に常に注意を払い、先進校等の事例収集に心がける。

6.
その他履修上の注意事項

 ・実習校や所属校におけるカリキュラムに常に関心をもち、学校が抱える課題解決の方策について考察や提案等ができるように努めること。

7.
各回の授業内容
【第1回】
・オリエンテーション
カリキュラムの開発とは何か
・小中一貫教育校の設立の背景と歴史
【第2回】
・小中一貫校のカリキュラムと教育活動
小中一貫校の教育活動を調査し、具体的な教育活動がどのように行われているか調査し発表する。
【第3回】
・中高一貫教育と小中一貫教育の登場
中高、小中一貫教育が始まった社会的なな背景を理解し、一貫教育や連携教育の意義について協議する。
【第4回】
・小学校と中学校の文化
小・中学校の教員でグループを作り、小中の教育活動の現状を踏まえながらそれぞれの文化の違いの明確化を図るとともに、小中学校の教員が意識を統一して、円滑に一貫校のカリキュラムを編成する方策を探る。
【第5回】
・学校改善とカリキュラム開発の過程
学校の実態を理解し、特に児童生徒の生活等を踏まえたカリキュラム開発をどう図るかを理解するとともにカリキュラム開発を支える諸条件について、指導体制、学習集団・学習環境、学習時間等の組織マネジメントを取り上げ協議する。
【第6回】
・文科省講演
演題「日本全国の小中一貫校の現状と課題、今後の設立の見通し等について」
【第7回】
・小中一貫校の連携型、一体型等の現状と分析
小中一貫校の現状を調査し、それぞれの特性と教育活動の現状について報告・協議を行う。
【第8回】
・小中一貫校のカリキュラムの現状と課題・評価-1(一体型)
小中一貫校のカリキュラムの現状及び、自己評価、学校関係者評価、第三者評価からなる学校評価の事例について調査し、カリキュラムの実施状況、評価項目、評価から改善への過程を中心に報告・分析する。
【第9回】
・小中一貫校のカリキュラムの現状と課題-2(連携型)
小中一貫校のカリキュラムの現状及び、自己評価、学校関係者評価、第三者評価からなる学校評価の事例について調査し、カリキュラムの実施状況、評価項目、評価から改善への過程を中心に報告・分析する。
【第10回】
・小中一貫校への訪問
一体型の小中一貫校を訪問し成果と課題を訪問調査する。
【第11回】
・小中一貫校のまとめと報告
訪問した一貫校及び講義で学んだ一貫校の現状と成果、課題等についてまとめたレポートをそれぞれ発表し合い共有化を図る。
【第12回】
・グランドデザインの作成に向けて(私が作る小中一貫校)
自己有用感を培う教育課程開発、小学校の英語のカリキュラム開発、系統性が重視される算数・数学のカリキュラム開発、言語活動を重視する教育活動のカリキュラム開発など、自分の課題を設定し、カリキュラムの開発と評価計画について各自が研究し報告する。そのためのガイダンスを行う。
【第13回】
・小中一貫校の校長による講義、または小中一貫教育校の視察・見学
小中一貫校の校長による「カリキュラム開発の実際」について講義
小中一貫校のカリキュラム開発の現状と成果・課題に関する質疑応答を行う。
【第14回】
・小中一貫校に関わるカリキュラムのグランドデザインの設計(グループ協議)
第11回で例示した課題を参考に設定した自分の課題についてそれぞれ提出し、グループで情報交換を行うとともに、カリキュラム設計とグランドデザインの作成を行うための見通しを持つ。
また、そこで得られた知見をもとにカリキュラムのグランドデザインを作成する。
【第15回】
・小中一貫校のカリキュラム発表
各自が立案・設計したカリキュラムのグランドデザインについて報告し、全員で協議を進め学びあう。