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授業の概要(ねらい) |
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日本が直面している現実の金融の諸問題を理解することを目的とする。長年の中央銀行勤務の経験・実感を活かして、基本的な金融理論と日本の現実の金融問題を有機的に結び付けて講義する。また、世界的な金融危機、量的金融緩和政策の評価等のカレントな話題や金融市場の動向を随時紹介し、臨場感溢れる講義とする予定(以上金融論I、II共通)。 金融論Ⅰでは、金融システムの特徴・課題、不良債権問題、コーポレートガバナンスの特徴、望ましい金融システムの姿等主に日本の金融システムを巡る諸問題について説明する。これは日本の金融問題を理解する上で不可欠なパートである。ここでは、どちらかというと実感的な理解に重きを置く。 なお、金融論IIでは、通貨、金利、金融市場、信用創造、金融政策といった主にマクロ金融の諸問題を取り扱う。両者の履修により、初めて授業の目的が達成される。
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2. |
授業の到達目標 |
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金融の基本的な問題を理解する力を身に付けること。
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3. |
成績評価の方法および基準 |
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主に定期試験(9割程度)により評価し、授業への参加状況を若干加味(1割程度)する。 概ね全授業へ出席しないと、講義の内容が理解できないため、及第点をとるのは事実上難しいとみておくこと。
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4. |
教科書・参考書 |
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テキスト:『現代の金融入門【新版】』池尾 和人 著 ちくま新書 参考文献等:日本銀行・金融庁・預金保険機構のインターネット・ホームページ
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5. |
準備学修の内容 |
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第2回以降の授業については、毎回上記テキスト(『現代の金融入門【新版】』)等の指示した箇所を予習してくる事が求められる。
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6. |
その他履修上の注意事項 |
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・金融論IIを合わせ履修することが望ましい。 ・上記テキストは必ず入手すること。 ・下記授業の計画は、学生の理解力の程度等の事情により変更があり得る。 ・事前に入門ミクロ経済学・入門マクロ経済学を履修しておくことが望ましい。
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7. |
各回の授業内容 |
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【第1回】 |
講義の全体像・問題意識 |
【第2回】 |
わが国金融システムの概要(歴史・特徴) |
【第3回】 |
中央銀行の業務と役割 |
【第4回】 |
決済システム、システミック・リスク |
【第5回】 |
不良債権問題①: 背景(バブルの発生・崩壊、構造調整) |
【第6回】 |
不良債権問題②: 企業のバランスシート問題、企業金融の理論 |
【第7回】 |
不良債権問題③: 銀行のバランスシート問題(資産査定、不良債権処理) |
【第8回】 |
不良債権問題③: 銀行のバランスシート問題(リスク管理と自己資本) |
【第9回】 |
90年代の金融システム危機: クロノロジカル・レビュー① |
【第10回】 |
90年代の金融システム危機: クロノロジカル・レビュー② |
【第11回】 |
90年代の金融システム危機: クロノロジカル・レビュー③ |
【第12回】 |
情報技術革新と金融の自由化、グローバル化 |
【第13回】 |
わが国の金融自由化のプロセス、わが国金融システムの将来像 |
【第14回】 |
現実の金融問題①:サブプライムローン問題を契機とする世界的な金融危機 |
【第15回】 |
現実の金融問題②:量的金融緩和政策について |
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