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授業の概要(ねらい) |
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市民革命後に誕生した市場社会には、市場経済と公共経済(財政)という2つの経済が存在する。このうちの財政は、中央政府や地方政府(都道府県・市町村)が民主主義に基づいて営む「公の経済」であり、税金を主たる収入源として、警察・消防・教育などの公共サービスの提供や、道路・公園・上下水道などの公共インフラの整備が行われている。現在の日本の財政規模は国民所得の約4割(アメリカでは約3割、ドイツでは約5割)を占めている状況にある。 財政学は、このような中央政府や地方政府の財政を研究対象とする学問であり、予算論・租税論・公債論・公共支出論・地方財政論・社会保障論・公企業論などで構成されている。 この講座は、このように現代の市場社会の中で重要な役割を担っている「財政」(公の経済)について、「入門編」として考察する後期の講義である。 この講座は、経済学部の2年次に配当されている科目であることから、経済学の重要な科目の一つである財政学の「入門編」として講義を進める予定である(財政学の「本編」の講義は3年次の科目として配当されている「財政政策論Ⅰ・Ⅱ」で行う)。
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2. |
授業の到達目標 |
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・学生が、板書の筆記を通じて、実社会で必要となる「メモ取り能力」を習得できる。 ・学生が、財政の「使途」を説明できるようになる。 ・学生が、財政の「借金」を説明できるようになる。 ・学生が、国と自治体の「財政関係」を説明できるようになる。 ・学生が、現代社会が抱える「財政問題」を説明できるようになる。
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3. |
成績評価の方法および基準 |
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・期末試験の成績(100%)で評価する。 ・期末試験は、「テキスト・ノートの持込み可」とする。 ・期末試験は、「ノート」から出題する。 ※ 出席率が2/3未満の学生は、元々「期末試験の受験資格はない」ので注意すること。
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4. |
教科書・参考書 |
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テキスト:神野直彦『財政のしくみがわかる本』岩波書店、2007年(780円+税) 参考文献:神野直彦『財政学〔改訂版〕』有斐閣、2007年(3,200円+税)
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5. |
準備学修の内容 |
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指定したテキストの次回の授業範囲の部分を読み、専門用語の意味、内容等を事前に理解しておくこと。
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6. |
その他履修上の注意事項 |
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春学期の講座である「財政学Ⅰ」との連続履修を希望する。 授業を集中して受講する学生を希望する(私語は厳禁。退席を求める場合もある)。
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7. |
各回の授業内容 |
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【第1回】 |
ガイダンス |
【第2回】 |
予算の使途①―使途の概要 |
【第3回】 |
予算の使途②―使途の分類 |
【第4回】 |
予算の使途③―ニーズとウォンツ |
【第5回】 |
政府の借金①―経済学者の公債への考え方 |
【第6回】 |
政府の借金②―公債の功罪 |
【第7回】 |
政府の借金③―地方自治体の借金 |
【第8回】 |
国と自治体の関係①―補完性の原理 |
【第9回】 |
国と自治体の関係②―日本の現状・改革 |
【第10回】 |
国と自治体の関係③―財政投融資 |
【第11回】 |
今日の財政課題①―経済的危機と財政の関係 |
【第12回】 |
今日の財政課題②―格差社会 |
【第13回】 |
財政の未来像 |
【第14回】 |
後期の総括 |
【第15回】 |
まとめと試験 |
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