1. |
授業の概要(ねらい) |
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WTO(世界貿易機関)体制、FTA(自由貿易協定)を中心に、自由貿易の現実について説明し、国際経済を具体的な形で理解する。 オーソドックスな国際経済学の講義方法では、「一般論としての貿易論」を先に学ぶが、TPP問題の形で、ニュースで採り上げられることの多いWTO、FTAを先に学ぶことにより、国際経済を具体的な形で、興味を持って理解できる。「一般論としての貿易論」は「国際経済論Ⅱ」で講じる。 資源、食料を自給できない日本は、自由貿易がなければ、存立できない。世界には、経済規模、資源・労働・資本・技術のレベルの異なるさまざまな国・地域が存在しており、世界全体、各国・各地域が発展していくためには、自由貿易が必要である。他方、自由貿易は、発展途上国、弱い産業、遠隔地域に不利に働くこともある。WTO、FTAを通じて、海外貿易・直接投資の本質を明らかにし、「国際経済論Ⅱ」を学ぶ基礎とする。
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2. |
授業の到達目標 |
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(1)自由貿易が、世界経済において果たす機能を理解する。 (2)日本経済における、自由貿易の必要性を理解する。 (3)自由貿易をめぐる利害関係を理解する。 (4)現実の国際経済の動きを通して、実態経済を理解する。
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3. |
成績評価の方法および基準 |
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定期試験による、平常点を加点する。(100%)
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4. |
教科書・参考書 |
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テキストは使わず、パワーポイントを中心に説明する。必要に応じて、プリントを配布する。参考文献は、授業の中で適宜紹介する。
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5. |
準備学修の内容 |
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授業の中で、経済・ビジネスニュースを採りあげて説明するので、各種メディアの日々の経済・ビジネスニュースをチェックする習慣をつけること。とくに、日本経済新聞は購読し、常時チェックすることが望ましい。
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6. |
その他履修上の注意事項 |
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私語、スマートフォン・携帯電話の使用、熟眠は認められない。 授業は、知識を得るだけの場ではない。講義を聞き、自ら考え、経済・社会の事象についての見方、考え方を確立してほしい。 パワーポイントを見て、話を聞いて、その要点をノートするという能力を涵養すること。実社会に出れば、必須の能力である。
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7. |
各回の授業内容 |
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【第1回】 |
イントロダクション:自由貿易とは (注:以降の内容は、学習の進捗状況、学生の理解の程度などにより、採りあげる内容・説明の順番を変更することがある。) |
【第2回】 |
自由貿易と産業構造・消費者 |
【第3回】 |
ブレトンウッズ体制:背景、GATTの推移と限界 |
【第4回】 |
WTOとは:組織、機能、紛争解決手段 |
【第5回】 |
WTOの対象分野:貿易と環境、貿易と労働 |
【第6回】 |
WTOの対象分野:規格・技術、知的財産 |
【第7回】 |
WTOの挫折と限界 |
【第8回】 |
FTAとは:FTAとWTOの関係 |
【第9回】 |
FTAの事例:EU、NAFTA、日本のEPA |
【第10回】 |
TPPをめぐる議論 |
【第11回】 |
自由貿易と発展途上国、産業空洞化 |
【第12回】 |
事例(1)セーフガード:自由貿易と国内地域経済 |
【第13回】 |
事例(2)農業補助金と直接支払い |
【第14回】 |
事例(3)自由化できない障壁 |
【第15回】 |
総括:自由貿易と市場経済、自由貿易と南北問題 |
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