Web Syllabus(講義概要)

　この通年授業では、地球温暖化対策の観点から、「自然エネルギー」の活用など、脚光を浴び急成長を続ける「環境ビジネス」の様々な領域について、実際の事例を紹介しながら、その現状と課題を明らかにしていきます。
　21世紀における人類最大の課題のひとつが、いかにして地球温暖化を食い止めるかにあることは、年を追うごとに狂暴化する自然災害を想起するまでもなく、明らかになってきています。しかし、2012年にいったん終了した「京都議定書」は暫定的に延長されたものの、米中など主要なCO2排出国を含めた新たな国際的枠組みはいまだ構築されないままに過ぎてきています。
　そこで、春期授業では、まず、地球温暖化の現状とその防止策や、CO2排出量を半減するためにはどのようなことが求められているのかといったことを、中長期的な視点から順を追って概説するとともに、「ポスト京都議定書」（2020年以降の新たな枠組みづくり）をめぐる動きを説明していきます。
　ついで、日本において、CO2排出量削減に向けて進められてきた「国内排出量取引制度」や「カーボンオフセット」、「全量固定価格買取制度」といった最先端の取り組みの実際などを紹介します。
　そして、秋期授業の「環境ビジネス」各論につながるものとして、環境ビジネスの原点ともいうべき「リサイクル産業」と、「再生可能新エネルギー」と呼ばれるものについて総論的に説明します。

　大気汚染や水質汚濁などといった様々な公害問題も含めた地球環境問題とその解決を目指す「環境ビジネス」について、通年講義によって包括的な理解を得ていくために、春期授業では、まず、地球温暖化防止に向けたマクロ的な取り組みの実際を学び、具体的な知識を習得していくことを目標としています。

　出席を最重視し、積極的な質問や発言を高く評価します。
　期末には、試験、または、春期授業の範囲内で関心を持った領域について簡単なレポート発表をしてもらいます。

　テキスト：拙著『躍動する環境ビジネス―地球温暖化対策の新展開』（金融財政事情研究会）
　このほか、毎回、最新動向を踏まえた図表を中心とした資料を配布するほか、授業の進展に合わせ、関連する分野について、参考文献を適宜紹介していきます。対象によっては、報道番組からの録画や、独自に取材した現場のスライド写真（動画を含む）、企業パンフレット、製品実物なども紹介していきます。

　地球温暖化対策や再生可能エネルギーの活用などに関する新聞記事は、毎日のように紙面を賑わしています。テレビの報道なども含め、できるだけ関心を持って見るようにしてください。この授業を通じて、だんだん理解が深まってくるはずです。

　地球環境問題や温暖化対策は、PM2.5に代表される大気汚染や水質汚濁などといった様々な公害問題も含め、皆さんの将来の生活そのものに深く関わってくる問題です。自らの問題として、どのように捉えていったらよいのか考えていってください。
　なお、秋期授業では、地球環境問題の解決を目指す様々な「環境ビジネス」の実際を、豊富な現場取材に基づいて具体的に紹介していきますが、春期授業でのマクロ的な理解が大前提になりますので、ⅠとⅡを通して受講してください。