【第1回】 |
09月第4週 憲法(人権) 「介護現場が人手不足なのでインドネシアからケアワーカーを受け入れるべきだ」という意見は正しいか。また、日本語能力が低いので賃金を日本人より安くした場合、介護ロボット導入などの技術革新が遅れるに違いないという指摘は正しいか。 <在留資格>出入国管理及び難民認定法、定住者、永住者、特別永住者、サンフランシスコ平和条約、外国人労働者、不法就労助長罪、不法滞在者5年半減計画、技能実習、外国人登録制度廃止と在留カード(Residence Card)、観光立国、中国人個人観光客、医療滞在ビザ、 <移民政策>米国アリゾナ州の不法移民法取締強化法への違憲判決、グリーンカード(米国永住権の資格証明書)、STEM専攻留学生優遇政策(科学(science)技術(technology)工学(engineering)数学(mathematics)分野博士号取得留学生優遇施策)、EUブルーカード(高技能外国人労働者の滞在許可証)、犯罪検挙率の低下、3K労働報酬の世界的傾向、学生バイトとブラック企業、寄生地主制の顛末と農地解放、 <介護労働の現状>介護労働者高離職率理由は低賃金(非正規・女性比率の高さより介護保険財政逼迫が原因)、介護職員処遇改善交付金、介護報酬の決定過程、インドネシア/フィリピンの介護職・看護職の実態、 |
【第2回】 |
10月第1週 憲法(統治) 月3万円の国民年金しか収入がないが生活保護を受けずに頑張っている老人から、条例から委任を受けた告示で決定された額の介護保険料を取ることは正しいか。介護保険料を払いたくない老人が取りうる法的手段には何があるか。 <憲法84条>租税法律主義(金をとられるときは充分納得してからでなければならないという原則、代表なければ課税なし、近代法制史は租税法律主義・罪刑法定主義の実現の歴史)、法律・政令・省令・告示・通達・条例の違い(行政規則と法規命令、行政訴訟の対象・一般市民への拘束力・市民が意見表明する機会があるかの違い)、旭川市国保条例訴訟(租税法律主義は国保には適用されない)、総評サラリーマン税金訴訟(現在の源泉所得税課税最低限度額は生存権を害さない)、伝習館高校事件(学習指導要領の告示には法規の性質あり)、サッチャー政権幕引きの前奏曲となった人頭税、必要額を賦課する仕組みの問題点、 <社会保険料と税金の違い>社会保険誕生の理由(ビスマルクの懐柔策)、強制加入保険、福祉国家から福祉社会へ(中産階級の支持を取り付けるため中産階級も受給者とする)、社会保険における低所得者対策と生活保護(頑張る人だけから負担を求める仕組みの是正)、国民年金・国民健康保険・介護保険における保険料納付率、基礎年金水準、生活保護受給者の介護保険料負担(介護扶助で手当て)、介護保険の2割負担と減免3原則、生活保護基準の決め方、住民税非課税者の保険料負担(介護保険料4分の3負担)、国民年金保険料の免除基準、赤字企業の保険料負担と納税、 <公正な負担の在り方>効率と公平、応能負担と応益負担、ワーキングプアの急増(年収200万円未満の労働者が1000万人以上)、パレートの法則(2割が8割を負担)、弱者に負担を求める方法、外形標準課税、非営利法人と課税(宗教法人は利益率は高いが非課税)、消費税と給付付き税額控除、負担と給付の対応性、税金と保険料の強制執行力の違い(ともに強制執行できるが税金徴収を担当する国税庁は強力であるが、社会保険料徴収を担当する日本年金機構は強力とは言えない)、保険者機能、社会保障における社会保険方式と税方式、税金化+民営化=社会保障個人口座、行政不服審査法と行政訴訟法の関係、 |
【第3回】 |
10月第2週 行政法(組織) 日本年金機構(旧社会保険庁)の保険料徴収率が大幅に低下した原因は、自治体に委任していた国民年金保険料徴収事務を自ら行い始めたからであるという意見は正しいか。また、年金・医療・福祉は国・自治体・民間のどこが運営主体になるべきか。 <国と地方の関係>地方自治と連邦制の違い、版籍奉還と廃藩置県、地方分権一括法、地方分権推進法、地域主権改革一括法、機関委任事務の廃止理由、住民監査の対象になる法定受託事務、固有事務と自治事務、道州制、広域連合、機関訴訟、機関委任事務と団体委任事務、住民自治と団体自治、教育委員公選・自治体警察の廃止に代表される逆コース、大久保利通が作った内務省系官庁の地方事務官(知事が指揮監督し人事権は霞が関にある地方勤務職員)制度の廃止、日本年金機構国民年金部、明治・昭和・平成の市町村大合併、法律と条例の関係、国家行政組織法と地方自治法の関係、沖縄米軍基地移転問題における国地方事務分配、大阪都構想における事務分配、Greater Londoの設置と廃止、福祉国家における分権化・集権化の同時進行、地方自治におけるアングロサクソン系(住民自治重視)とヨーロッパ大陸系(団体自治重視)、 <徴収機関の種類と課題>保険料徴収率の低下原因、社会保険庁職員構成の3層構造、強制徴収、保険料免除、国民年金不正免除問題、分母対策、医療・介護における一部負担金減免の可否、歳入庁構想、国税庁、県税事務所、県税と市町村税の賦課徴収業務の共同化、 <官と民の関係>社会保障の官民分担、エスピンアンデルセンの福祉資本主義の三つの世界、後期高齢者医療広域連合と県の違い、市町村が保険者である国保・介護保険の慢性的赤字、共通番号制、社会保障個人口座、Central Provident Fund、 |
【第4回】 |
10月第3週 行政法(補償) 厚労省認可の血液製剤投与でエイズに感染した事件(薬害エイズ事件)を再び起こさないためにはどうしたらよいか。この事件で、国・製薬会社・医師に過失があるといえるか。仮に違法無過失である場合、患者救済はどのようにすればよいか。また、薬審査のスピード・精度をあげるために国際共同治験をすべきであるという意見は正しいか。 <許可と認可>命令的行政行為と形成的行政行為の違い、裁量と行政行為の種類の対応、 <役所の責任>損失補償法、国家無答責、賠償と補償の違い、国家賠償法、慰安婦問題と国家賠償、官僚の個人責任、費用負担者、固有責任と代位責任の違い、政策形成訴訟(個別的な法的紛争を解決するという伝統的な訴訟の本質 (紛争解決機能)に加え、国の政策に対する是非を問い、新しい政策を提起・形成するという機能的特徴(政策形成機能) を持つ訴訟。騒音・薬害などに対する大規模公害訴訟・議員定数不均衡訴訟・嫌煙権訴訟がその例である。)、 <責任発生の要件>公権力の行使、職務行為、典型的行政処分、公権力の不行使と裁量権収縮論・消極的濫用論、公務員、独立行政法人、公の営造物、管理の瑕疵、製造物責任法、費用負担者、 <過失の意味>過失構造論、旧過失論、新過失論、新新過失論、過失論、違法性、故意・過失、予見可能性、回避可能性、 <血液事業>血液製剤、ウィルスとバクテリア、日本赤十字社、献血、血友病、クリオプレシピテート(cryoprecipitate血漿を凍結した後これを緩り融解させる際現われる寒冷沈澱)、免疫グロブリン、 <薬の安全性>アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration)、医薬品医療機器総合機構Pharmaceuticals and Medical Devices Agency(PMDA)とFDAの違い、医薬品・医薬部外品・化粧品・健康食品・生薬、薬事審議会と治験、ドラッグ・ラグと国際共同治験、中医協、繰り返される薬害、正常分娩と帝王切開、使用薬剤の記録、カルテの保存義務、個人情報の公開、和解と慰謝料、損害賠償のための特別税、フィブリノゲン、肝炎対策基本法、 <注目訴訟>サリドマイド、スモン(キノホルム)、クロロキン訴訟、薬害エイズ事件、薬害肝炎事件、薬害イレッサ事件、筑豊塵肺訴訟、アスベスト訴訟、水俣訴訟、宅建免許取消権不行使訴訟、新島不発弾不処理訴訟、集団予防接種事件、予防接種訴訟における違法性の認定(損害賠償or損失補償)、 |
【第5回】 |
10月第4週 国際法 第二次大戦中に軍需工場で働くため日本に来て以来住み続けている朝鮮人の孫は、生活保護受給権・地方参政権・公務就任権・再入国権を持てるか。日本人と結婚し日本で長年働いている中国人医師は、保険外診療・雇用契約更新・基礎年金支給・水源地や郵貯銀行株購入を求めることができるか。 <外国人の社会権>1954年厚生省社会局長通知、反射的利益、1990年厚生省口頭指示、生活保護、生存権、外国人医療費未収金補助制度、行旅病人及び行旅死亡人取扱法、ゴドウィン事件、中野区福祉事務所長事件、塩見訴訟、被爆者補償、台湾元日本兵訴訟、グローバリズムの論点(移民・格差拡大・紛争) <外国人の参政権・自由権>定住外国人地方参政権訴訟、永住市民権(denizenship地方参政権を持つ外国籍住民)、東京都保健師管理職試験訴訟、在日朝鮮人批判と孫正義、ソフトバンク、日系ブラジル人、外国人土地法、水源地域の土地購入、 <国際経済法>重商主義時代の保護貿易、パックスブリタニカ(金本位体制と自由貿易)における日米通商友好条約による関税自主権喪失、ブロック経済と満州国、GATT体制最終期のウルグアイラウンドとWTO、Economic Partnership Agreement、Trans-Pacific Partnership、関税と食費・人件費(給料)、食料品価格・遺伝子組換え作物と生活扶助費・基礎年金額の算定、混合診療とHMO・国民皆保険・日本医師会・ジェネリック医薬品、医師数・公衆浴場・薬局と職業選択の自由、 <労働・移民政策>労働者派遣法改正・日本人非正規労働者と外国人労働者、移民法の必要性、移民政策の世界的傾向(抑制的から選択的へ)、テキサス共和国と米墨戦争、日満議定書と満蒙開拓移民、 <中国法の特色>中国憲法における生産手段の社会主義公有制・全人民所有制・勤労大衆集団所有制・合法的私有財産、民主集中制と最高法院、法治主義と人治主義の背景、 |
【第6回】 |
11月第1週 民法(総則物権) 健忘症を患ってグループホームで暮らしている老人が、騙されて先祖伝来の土地を売ってしまい、この土地が第三者に転売された場合、老人は土地を取り戻すことができるか。また、二重譲渡は詐害行為取消権・時効・財産犯罪とどのような関係にあるか。登記を持たない善意の転得者・登記を持つ悪意の転得者の保護は、転得者の出現が、原権利者の詐欺理由による取消の前後で変わるか。 <所有権の意義>民法の精神、近代私法の3原則、私的自治の意味、アマゾン裸族の所有観念、所有権と入会権、中国憲法10条(都市の土地は国家所有・農村の土地は集団所有)、 <物権変動一般>公示の原則と公信の原則の違い、意思主義、形式主義、物権行為独自性説、有償性の原理、登記の公信力、対抗問題、背信的悪意者と相対的無効・公序良俗、94条2項の類推適用、ドイツ登記制度、抵当権と登記、公示機能、物権の効力、物権的請求権、費用負担、法務局、司法書士、不動産登記法、物権法定主義、無効・取消・解除・撤回、取消と登記、相続と登記、時効と登記、即時取得、明認方法、占有権、 <英米法の物権変動>deed、Notice Recording Statute、notice type、race type、Conveyance、Risk of Loss、Freehold、Torrens Title System、Recording System、 <民法と刑法の関係>民事不介入、二重譲渡における横領と詐欺、 |
【第7回】 |
11月第2週 民法(債権) センターラインを越えてきた対向車を避けようとした車に通勤途上で轢かれてしまった場合、誰にどんな過失があるとして何の賠償を求め、如何なる保険を使うことができるか。運転者が鬱病・統合失調症・アルツハイマー・アルコール依存症・発達障害・成年被後見人・被補助者・19歳・中学生の場合、好意同乗者がいたり被害者にも過失がある場合はどうなるか。 <不法行為の原則>英米法における不法行為法と刑事法の接近、使用者責任、国賠法、固有責任、代位責任、官僚個人責任の有無、 <過失と責任能力の意義>身体障碍者、精神障碍者、知的障碍者、障碍者の行為能力、制限行為能力者、心神耗弱、心神喪失、刑事未成年、刑法40条の犯罪不成立規定削除の理由、監督義務者、不法行為の要件、刑法と不法行為の責任能力、不法行為・過失相殺能力と意思能力の違い、障碍者自立支援法、責任能力を持つ年齢と能力有無の判定基準への法的見地介入(責任能力年齢は意思能力と行為能力を有するようになる年齢の中間に位置すると思われるが、医学的見地のみから決定するのではなく法的社会的妥当性を求めるのが判例)、未成年者と監督義務者の責任補充性の否定(712条と714条の規定から補充性を否定することは困難であるが、未成年者に責任能力ある場合は親の賠償義務が否定されてしまうので被害者が救済されない。そこで820条を根拠に補充性を否定するのが判例)、民法と刑法における過失の違い、 <緊急避難の意義>正当防衛・緊急避難の刑民比較、立証責任の相違、 <相殺の意義>過失相殺と好意同乗者の範囲、過失相殺と損益相殺の順序、保険代位、求償権、三共自動車事件、共同不法行為と不真正連帯債務、公害、事実的因果関係不要論、 <保険の背景>責任保険、損害保険、社会保険、第3者のためにする契約、保険診療と自由診療、交通事故における医療保険と自賠責保険の優劣、労災保険、通勤災害、 |
【第8回】 |
11月第3週 テーマ研究 2050年における日本の公的扶助のあり方 水際作戦、世界人権宣言、ミーンズテスト、反射的利益、捕捉率、恤救規則、ワーキングプア、法定受託事務、自治事務、新自由主義、弁明の機会、行政手続法、ハイエク、濫用、裁量、国家責任の原理、無差別平等の原理、補足性の原理、取消訴訟、朝日訴訟、堀木訴訟、 |
【第9回】 |
11月第4週 民法(親族相続) 両親の猛反対にもかかわらず駆け落ちした、18 or 17歳同士カップルの婚姻を、親は取り消せるか。また、後で男性の方が、一時の熱狂だった・親の同意がなかった・できた子が自分の子ではなかった・嫡出子にする為だけのものだったとの理由で、自ら取り消すことはできるか。痴呆症の老人の場合はどうか。 <能力制度の構造と哲学>権利能力・意思能力・行為能力の違い、制限行為能力制度の趣旨、遺言する能力、能力格差対策、行為・意思・権利・責任・不法行為・過失相殺・刑事責任能力の有無による法律行為の効力差、財産法と家族法における能力制度の位置付けの違い、原因において自由な行為、精神障害者・知的障害者・認知症、成年被後見人・心神喪失・心神耗弱、オフェリア・芥川龍之介・高村智恵子、統合失調症・癲癇・躁うつ病・アルコール依存症、身体障碍者、精神障碍者、知的障碍者、障碍者の行為能力、瘖唖者の犯罪不成立規定削除の理由、障碍者自立支援法、監督義務者、不法行為の要件、制限行為能力者の詐術(単なる黙秘は詐術にはならないという判例最判(小)昭和44年2月13日あり) <婚姻契約の意義>婚姻成立の要件、法律婚・事実婚主義、成立・効力要件主義、親権者の同意なき婚姻の効力(有効なものとして成立し親権者は取り消せないという判例最判(小)昭和30年4月5日あり)、後見人の同意がある成年被後見人の行為の取消(財産法においては代理人の同意があっても成年被後見人は自分の意思をコントロールできないという理由で常に取り消せるが、家族法においては単独で婚姻できるなど修正あり)、 <婚姻契約の効果>結納、現存利益、取消権の時効、有印私文書偽造、公正証書原本不実記載、 <婚姻意思>実質的・形式的婚姻意思説、婚姻の無効・取消と離婚、契約と不法行為、婚姻取消事由、制限行為能力者の詐術、同意権と取消権、動機の錯誤、臨終婚の効果、離婚意思は形式的意思で足り婚姻意思は実質的意思が必要とする理由(子に嫡出性と付与するための婚姻の効力を否定した判例最判(小)昭和44年10月31日、生活保護の受給を継続するための方便としてなされた離婚届の効力を有効とする判例最判(小)昭和57年3月26日)、 |
【第10回】 |
12月第1週 商法(手形法) 痴呆症の老人・19歳の法学部2年生・弟が、勝手に・騙されて・脅されて、振り出した・盗まれた・落とした小切手が、この事情を知らない第3者の手に渡ってしまった場合でも、支払いを拒むことができるか。手形・宝石・家・自動車・商人同士の取引・外国での取引の場合はどうなるか。 <債権譲渡と有価証券>善意取得と即時取得、抗弁権、物的抗弁と人的抗弁の違い(能力・権限は物的抗弁)、詐欺と強迫における人的抗弁の切断、物権・債権と債権譲渡、指名債権・指図債権の違い(指図債権は人的抗弁が切断される)、善意取得と人的抗弁の切断の違い(単純悪意の場合でも人的抗弁は切断され、取引の安全がより確保される)、完全なる強迫、行為能力と善意の第三者、民法と商法の違い(時効・代理・金利・連帯保証の差と軽過失でも保護される商法の善意取得)、 <手形法>指名債権と証券の違い、手形行為、手形の偽造、無権代理、振出及び裏書の原因関係、二重無権の抗弁、交付契約説+権利外観理論、白地手形、融通手形、手形交換所、全国手形交換高、手形割引、金融、振出手形、インド・イスラームの為替手形の歴史、通行手形(関所手形)、切符手形(切手)、約束手形、為替手形、銀行券・切手・収入印紙と有価証券の違い、 <小切手>商行為、小切手の歴史、持参人払小切手と線引小切手の違い(線引すると取引関係にない者への支払いは免責されない)、通貨の誕生、通貨の所有権移転、 |
【第11回】 |
12月第2週 刑法(総論) 「世の中を悪くしているのは官僚である」と思いつめて、厚労省の官僚を襲撃してしまった中学生は牢屋に入るべきか。また「多少やり方が悪くても結果が良ければよいという考え方」こそが官僚の腐敗を防止するという意見は正しいか。 <故意と違法性の意識>責任主義、意味の認識、違法性の意識に関する制限責任説・厳格責任説・制限故意説・厳格故意説・不要説の違い(自分の行動を悪いと思っていない場合、悪い行為をどの程度罰するべきかに関する立場の違い。違法性の意識が故意の要素かで大きく故意説と責任説に分かれる。違法性の意識(の可能性)が故意の要素であるので、これが故意と過失の分水嶺と考えるのが故意説)、制限故意説と責任説の違い(制限故意説で違法性の意識の可能性もない場合は、責任主義の趣旨から故意犯のみならず過失犯も成立しないことになるはず)、規範的構成要件要素と記述的構成要件要素の違い(規範的構成要件要素とは、当罰的な行為を画する為に立法者により着目された属性の認識、すなわち意味の認識のこと。猥褻・財物の他人性・公務執行妨害の適法性のような精神的要素を含むかで規範的構成要件要素になるか記述的構成要件要素になるかが区別され、これは更に社会的事実関連と法律的事実関連に分かれる)、法律の錯誤と事実の錯誤の違い(意味の認識という事実の認識があるかに関する違い。共に違法性の意識はない)、誤想防衛と故意(違法性阻却事由の錯誤がある誤想防衛は、そもそも意味の認識がないのだから故意がないというのが制限責任説。厳格責任説では法律の錯誤として故意が阻却されず故意犯が成立する)、誤想防衛と誤想過剰防衛の違い(誤想過剰防衛は過剰の認識があるので意味の認識もあり、制限責任説でも故意ありとしてよいことになる)、事実・違法性・違法性阻却事由の錯誤の違い、相当の理由、方法(打撃)の錯誤、刑法38条、 <刑罰論・少年法>刑事未成年、非行少年、犯罪少年・触法少年・虞犯少年、児童相談所、刑の適用と執行、起訴、付添人、刑事処分、家庭裁判所、簡易送致、仮出獄、保護観察、刑事処分相当、検察官送致、逆送、刑務所、少年院、少年鑑別所、保安・保護処分、保安処分についての一元主義・二元主義の根拠、児童福祉法、児童自立支援施設、児童養護施設、少年犯罪の凶悪化・低年齢化、少年兵と自爆テロ、 <行政と市民>行政監視から政策評価(合法性審査から効率性審査へ)、市民参加制度、行政手続きの確立、情報公開、行政情報アクセス権、秘密保護法、西山事件、文民統制、権力分立、米国外交文書の30年ルールと中国の正史編纂事業、モンテスキューの法の精神と行政国家化、ルソーの社会契約説と一票の格差、井上日召の一人一殺主義と零戦特攻の一機一艦主義、オンブズマンとプラトンの哲人政治、商鞅の法家思想と合従連衡、官僚制の歴史、秦の始皇帝、郡県制、科挙、高等文官試験、 |
【第12回】 |
12月第3週 刑法(各論) 年金積立金を使って国民の為のリゾートを建設したところ大赤字を作ってしまった官僚は、個人責任を問われないのか。天下りなどを考えず、単に損失発生防止に怠慢であった場合はどうか。 <目的犯>通貨偽造における行使の目的、財産犯における不法領得の意思、背任における図利加害目的、故意と目的の関係、違法性の錯誤、誤想過剰防衛、 <財産犯と過失>確定的故意・未必の故意・認識ある過失・認識なき過失と認容説・認識説・動機説の違い(最高裁昭和23年3月16日判決は被告人を盗品有償譲受罪にしたが、この認容説の立場によれば本件は有罪になるはず。故意における意思的要素を小さく見る認容説では悪しき性格を罰してしまう危険性がある。)、権限濫用説と背信説の違い(単なる債務不履行を処罰するか)、事務処理者、二重抵当、財産上の事務、任務違背行為、冒険的取引、身分上の利益、穴埋め背任、 <公務員犯罪の構造>匿名性、無名性、無謬性、特別背任罪、贈収賄、公務員職権濫用罪、大規模年金保養基地、認知的不協和理論と官の無謬性信念、制度的契約(特定の当事者同士の契約関係でありながら、一方当事者が、同様な契約を結んでいる他の当事者や、まだ契約関係にない潜在的な当事者への配慮が要求されるような性質の契約概念。松下企業年金訴訟における意見書で表明されたもの。)、国家賠償法、不法行為責任、 |
【第13回】 |
12月第4週 経済学(原論) 「年金に貧富の格差縮小という機能を負わせるべきではない」という意見は正しいか。また、いわゆる「空白の20年」において、多くの公共事業を行い社会保障給付費も急増して、需要を増加させたにもかかわらず、経済が成長しなかったのは何故か。 <ケインズ経済学>マクロ経済とミクロ経済の違い(伝統的な古典派経済学は恐慌に対する対策が充分できなかった。1929年の世界第恐慌を解決するため、ケインズを軸に、短期的対策として需要面から政府が積極的に介入して低所得者の購買力を増大させることで問題を解決しようとするマクロ経済学が誕生した。)、経済予測、社会保障の経済的な意味、限界効用、ワルラスの法則、一般均衡理論、ケインズ・ヒックスモデル、IS-LM分析、国債価格、政策金利、公定歩合、ジニ係数、所得再配分、需要の所得弾力性、ロールズ的正義、社会的規制の根拠(情報の非対称性と自然独占)、直接統制、変動相場制、マンデル・フレミングモデル(開放経済の下では為替変動が重要で、財政対策は無力だが金融政策は有効)、流動性の罠、クラウディングアウト、フィリップス曲線、 <サプライサイド経済学>セイの法則、シカゴ学派、スタグフレーション(stagflation)への対応策、パレート最適、ラッファー曲線、ハイエクの貨幣発行自由化論、日本文化の曖昧さ、パターナリズム、 <ニューケインジアン>スティグリッツとアカロフ・イエレン夫妻、クルーグマン、グレゴリーマンキュー、機会費用、ゲーム理論、ナッシュ均衡、 <年金財政>2階建て年金、標準報酬制度、マクロ経済スライド、全期間の平均標準報酬額、改定率、再評価率、給付乗率、物価変動率、名目手取り賃金変動率、公的年金被保険者等総数、調整率、基準年度以後改定率、 |
【第14回】 |
1月第1週 経済学(財政金融) 「年金積立金が公金無駄遣いの温床になっている」という意見は正しいか。また、通貨発行益で年金財政の赤字穴埋めをしたり、年金積立金運用において株式比率が小さいとして司法審査を求められるか。 <財政政策>一般会計と特別会計の違い、年金特別会計、労働保険特別会計、補助金、負担金、埋蔵金、天下り、財政投融資、財投債、財政法と会計法、多年度主義、 <金融政策>金融国家と産業国家、貨幣の役割、貨幣への需要、マネーサプライ(市中に出回るマネーのことで通貨供給量やマネーストックとも言う。M1(エムワン)、M2(エムツー)、M3(エムスリー)、広義流動性の4つの指標に分けられる)、マネタリーベース(中央銀行が供給するお金のことで、現金と日銀当座預金の合計額。最も市場への影響力が強い土台となるマネーのことでハイパワードマネーやベースマネーとも言い、アベノミクスの異次元緩和により近年急増しているが、マネーサプライ増加が伴わなくて困っている)、マネーサプライとマネタリーベースの違い(パチンコ屋が保有している玉が「マネタリーベース」、台の中で実際に回り回っているのが「マネーサプライ」。どれだけ店のパチンコ玉(マネタリーベース)を増やしても、パチンコで遊びたい人が増えないと、出回る玉(マネーサプライ)は増えない)、貨幣乗数、通貨発行益、金利、利子率、現在財と将来財、中央銀行の独立性、ゼロ金利政策、政府短期証券、借換債(割引短期国債借換。新規発行国債の数倍額を償還期限が到来した国債を借り換える形で発行している)、国債引受の国際比較、日銀による国債引受、ハイパーインフレ、基軸通貨国の利益(発行したドルの6割が米国に戻らないが、その分だけ外国製品がタダで手に入り、国際問題が発生したときには、米国は主導権を取れる) <株式業務>金融商品取引所、上場、相場、ミニ株、利回り計算、PBR、単元株と単位株の違い、上位1%の高額所得層(高額所得を得ているのは、戦前のように資本家ではなく、株主主権の名の下にストックオプションを手にした経営者で、経営者が果たすべき忠実義務という倫理義務を、経済インセンティブで置き換えてしまったことの必然的な結果)、 <裁量行為と司法審査>特別権力関係、内部外部関係二元説、議員懲罰と単位認定、自由裁量、 |
【第15回】 |
1月第2週 経済学(税制) 「年金がつぶれるので消費税を10%上げるしかない」という意見は正しいか。また、年金積立金運用実績を改善するにはどうしたら良いか。 <税の哲学>国民負担率、応能負担、応益負担、累進性、逆進性、所得捕捉率、共通番号制、社会保障個人口座、Central Provident Fund、 <税の技術>間接税、直接税、直間比率、付加価値税、前方転嫁(前転と呼ばれ、消費者が負担する消費税を納税義務者として納付するのは販売者であるスーパーの様に、流通過程を遡る形で実際の納付者が変化するもの)、帰着、租税政策、徴税権、課税標準、課税対象、累積債務、 <証券税制>利子所得と雑所得、配当所得への課税、株式譲渡による所得、NISA(Nippon Individual Saving Account少額投資非課税制度。素人を株式市場に参加させる為に、譲渡益と配当に対して所得税と住民税の譲渡所得として計20%の税率で課税される証券税制を年間投資総額100万円を限度に非課税にしたもの)、 <年金財政>年金債務、財政再計算、賦課方式、積立方式、段階保険料方式、老いのコスト、自助と連帯、大競争時代、公の守備範囲、医療福祉重点型、社会保障給付費、 <年金積立金運用>運用の哲学(成長組織に金を入れて自分も利益を得ると共に同じ籠に卵を入れないというリスク分散をも行う)、運用対象の種類(倒産しない限り元本は保証されるが利率の低い債券と眞逆の株式を自国と外国のどちらで運用するかの4種類)、投資信託と株式投資の違い(プロに任せて高い手数料も払うか、手数料なしだが素人の自分でやるか)、委託者指図型投資信託、追加型公社債投資信託、証券投資信託の収益分配、 |