Web Syllabus(講義概要)

平成28年度

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教育課程論(中) 三石 初雄
教職  2単位
【現代ビジ】 16-1-1331-3779-21A

1. 授業の概要(ねらい)

 教育課程は、学校の教育活動を実施する上での基本となる教育計画とその実施状況を踏まえた再編成の過程を含んでいる。教育課程の編成・実施に関する基礎理論と各学校における編成・実施の実際を理解する。
 また、教育課程が社会情勢や国の教育政策によって変遷することを学ぶとともに、各学校及び生徒にとって望ましい教育課程とは何かを考えていきたい。

2.
授業の到達目標

 (1)学校における教育活動が教育課程に基づいて実施されていることを理解する。
 (2)教育課程の編成・実施・評価の過程及び手順について理解する。
 (3)学校の課題や生徒の実態に即した教育活動のための教育課程について考える。
 (4)教育課程の編成・実施上の今日的な課題について、自分の経験を基に考える。

3.
成績評価の方法および基準

 授業への参加状況と授業内レポート等(60%)、期末試験の成績(40%)を総合的に評価する。
 レポートはメール(メール・アドレス=hatsuo@main.teikyo-u.ac.jp)で提出を原則とする。メール提出後、3日以内に受領のメールがない場合には授業担当者の研究室(ソラティオ・スクウェア14階研S144)に申し出ること。申し出がない場合には未提出とする。

4.
教科書・参考書

 テキストは特にありませんが、授業中の資料と授業中に紹介するいくつかの本(『新しい時代の教育課程』(三訂版 有斐閣)が中心です。

5.
準備学修の内容

 ・受講生が受けてきた学校教育課程の実際を想い出し、記述し、それらを相対化客体化しながら、教育課程の理論と実際を学びます。特に、受講生が受けてきた「新しい学力」「生活科、総合的学習の時間」について、情報収集を行い、授業において意見交換し、レポートをまとめます。
 ・授業の流れは、自分たちの受けた学校教育から、親の受けた学校教育へと遡る形で展開する予定です。
 ・教育課程にかかわる基本的な教育用語に関する小テストを時に行います。

6.
その他履修上の注意事項

 ・学校教育課程について、各自の被教育体験を題材にします。小・中・高等学校のときの教科書やノート等を引っ張り出しておいてほしいと思います。最終レポート・テーマは、「私たちから見た学校教育課程編成の視点と内容をこう考える」です。

7.
各回の授業内容
【第1回】
オリエンテーション
―「自分にとっての学校」イメージから、日本現代学校の特徴を考えるー
・動物世界の「教育」と「家庭・地域での教育」「学校での教育」「塾での教育」
・社会構造の変化と教育組織・機関の発生
【第2回】
教育課程から見た「近代学校」の特徴
・産業革命と学校教育(西欧)の発足
・近代学校教育における「3つの学習内容」と「2つの機能」
*小テスト1
【第3回】
教育課程から見た「近代学校」(日本)の特徴
・明治「学制」期に盛り込まれた科目・領域等の構成の特質
・欧米学校教育制度と教育内容の導入と翻案過程
―理科と音楽の授業を例にして
*レポート(約200字)を提出・・・「私の体験した(印象に残る)学校教育課程の特徴」
【第4回】
学校教育制度(戦前)の変遷と教育課程
・初等学校と中等学校は何が違うか―学校階梯(学校種)と義務教育
・20世紀移行と学校教育活動の変化―「児童から」という視点への着目
*小テスト2
【第5回】
戦前・戦後移行過程での学校教育と教育課程(生活単元学習期)
・新憲法と新しい学校教育制度、教員養成制度の発足
・国定教科書制度と「手引」としての学習指導要領
【第6回】
戦後学校教育と教育課程の変遷1(「教育の現代化」期)
・社会・科学/技術の展開と学校教育活動の変遷
・「落ちこぼれ・落ちこぼし」と学校教育の「現代化」
【第7回】
戦後学校教育と教育課程の変遷2(「新しい学力」期)
・「学力」観の拡張と生活科
・「基礎・基本」の学習と「創造的」学習
【第8回】
戦後学校教育と教育課程の変遷3(「新しい学力」期)
・「総合的な学習」のねらいと実践
・近年の学校教育改革と教育課程
・「自分と学校の出来事」の年譜(1990年以降)を創る
【第9回】
戦後学校教育と教育課程の変遷4
・自分の学校体験と今の子どもらの学校体験―「学校が変わってきた」
・現代の学校教育課程の特質を探る(戦後の教育課程改訂の大サイクルと世界的動向)
*レポート(約500字)を提出・・・「最近の教育問題と学校教育課程」
【第10回】
世界の教育動向と学校教育課程
・OECD/PISAとTIMSSが提起している教育課程の課題
・授業時間・授業方法と「学力」結果
・価値選択的課題学習課題をどう組むか?
【第11回】
東アジア地域の学校教育課程の変遷から考える
・中国と韓国の学校教育課程の特徴
―中国・韓国の「学力競争」はどのようなものなのか
【第12回】
自分たちの受けてきた学校教育課程の特質を探る
・1992年版以降の学習指導要領の特徴
・「生活科」特設の背景・特質・課題を考える
・「総合的学習」特設、「選択教科増加」の背景・特質・課題を探る
・近年の教育内容・方法を巡る課題の抽出・・・「少人数指導・習熟度別授業」
【第13回】
教育課程編成における原理的課題を考える1
・「総合的な学習」の授業準備から教師の仕事を考える
・教育課程編成と教師の専門的力量
【第14回】
教育課程編成における原理的課題を考える2
・教育課程編成とその評価方法
【第15回】
・自分たちにとっての「ゆとりの教育」の意味と課題、その課題克服の視点について意見交換する。それらの意見交換を踏まえて、最終レポート(約2000字)を提出する。