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授業の概要(ねらい) |
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臨床心理学は、心理学を理論的基礎とし、社会に生じるさまざまな「心理的ニーズ」を見立て、心の奥深い部分でかかわり、その営みを総合的に評価するための実践的学問である。医療、教育、産業、福祉、司法・矯正といったさまざまな分野においてその実践が積み重ねられている。臨床心理学は、心理学の各分野と密接に関連するとともに、精神医学や福祉学、教育学とも相互に影響しあい、心の健康増進に貢献している。 臨床心理学は、①見立て(アセスメント)、②介入(心理療法、地域援助)、③研究(実践研究、評価研究含む)、④社会的位置づけ(倫理、法律、資格など)、の大きく4つに分けることができる。本講義では、特に①見立てと③研究、④社会的位置づけを中心に学ぶことになる。②介入は、後期開講の「心理療法概論」で学習する。 臨床心理学的見立てにおいては、異常心理学と心理検査が重要となる。異常心理学では、統合失調症、気分障害、不安障害といった基本的な異常心理のみならず、性障害、リストカット、解離性障害、自殺、ひきこもりといった多様な現象も取り上げたい。心理検査については、「臨床アセスメント法」の講義で詳しく取り上げられるであろう。 2015年9月に心理職の国家資格「公認心理師」が創設されることになった。臨床心理士のこれまでの活動を、国家資格として引継ぎ、日本全国で心の健康をささえる活動が展開できる枠組み作りが始まった。将来公認心理師(臨床心理士)になりたい人、悩んでいる人への支援を考えている人、心理学と社会との関連に関心のある人には、この講義で出てくるテーマから、さまざまな生き方について学び、自らの考えてもらいたい。
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2. |
授業の到達目標 |
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1)臨床心理学の主要な領域とその関係について理解する 2)異常心理や臨床心理学が対象とする諸現象を学習する 3)臨床心理学に求められる社会的期待について把握し自分の意見を表明できる
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3. |
成績評価の方法および基準 |
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試験85%、レポート15%
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4. |
教科書・参考書 |
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テキスト:『よくわかる臨床心理学(改訂新版)』下山晴彦編 ミネルヴァ書房 『新しいメンタルヘルスサービス』元永拓郎著 新興医学出版社 参考文献:『明解!スクールカウンセリング』黒沢幸子ら著 金子書房
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5. |
準備学修の内容 |
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テキストの次回授業範囲について充分に読み込み、授業で配布または準備室前に用意した事例に関する課題に目を通し、自分自身の意見を用意して授業に臨む必要がある。
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6. |
その他履修上の注意事項 |
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臨床心理学と関係するすべての科目と関連する。「心理療法概論」「臨床アセスメント法」は密接に関連する。また「地域精神保健概論」「学校心理臨床」「社会精神医学概論」「高齢者の心理臨床」も取ることをお勧めする。 臨床心理学が対象とする、さまざまな「異常な心理」が紹介される。これらの心理の学びを通して、生きづらさに直面しながらも、どう生きていくかを真剣に模索する姿を見い出し、多くのことを謙虚に感じてほしい。 臨床心理士及び公認心理師を目指し大学院進学を希望する人は、この講義内容を深く理解すると同時に、紹介される書籍(文献)を主体的かつ意欲的に読む必要がある。そもそも臨床心理学を学ぶものは、膨大な書籍や論文を読む姿勢が求められることを肝に銘じてほしい。
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7. |
各回の授業内容 |
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【第1回】 |
・前期ガイダンス/・臨床心理学とは何か? |
【第2回】 |
・臨床心理学の専門性/・臨床心理学の実際 |
【第3回】 |
・臨床心理学の歴史 |
【第4回】 |
・臨床心理学における見立てについて ・正常性と異常性 |
【第5回】 |
・精神病という病と人類(統合失調症など) |
【第6回】 |
・躁とうつという病(気分障害など) |
【第7回】 |
・神経症の発見と解体(心因をめぐる病理) |
【第8回】 |
・人格障害/発達障害の流行(社会の成熟と精神病理) |
【第9回】 |
・その他の異常心理(PTSD、認知症など) |
【第10回】 |
・アセスメントの方法(心理検査の導入) |
【第11回】 |
・臨床心理学における研究とは?/・実践と研究のバランス |
【第12回】 |
・質的研究と量的研究 ・効果研究 |
【第13回】 |
・臨床心理学の最近のトピックス |
【第14回】 |
・臨床心理学の社会の中での役割 ・公認心理師(国家資格)について |
【第15回】 |
・まとめ |
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