Web Syllabus(講義概要)

平成28年度

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生化学実験(Experiments in Biochemistry) 内野 茂夫
3年 前期 専門基礎科目選必 2単位
【バイオ・前】 16-1-0408-3732

1.
授業目標

 生化学分野の講義で得た知識を、実際に体験することを通じて確実なものにしてもらうと同時に、断片的な知識を関連づけて理解を深めることができるようなることを目指します。

2.
授業概要

 当実験では、植物ウイルスの一種であるタバコモザイクウイルス(TMV)を用いた一連の実験を行ないます。ここで用いるTMVおよびその類縁ウイルスは宿主域が広く、自然界でも広く検出されます。このため、ヒトは生野菜や市販の煙草等を通じて、(発病はしませんが)知らないうちにこれらのウイルスを摂取していると言えます。このようなTMVを材料とした一連の実験、より具体的には、生体試料やその加工品(食品等)からの分離抽出、特定成分の生物学的および生化学的検出、感染因子の汚染拡大の予防策の検討等を通して、そこで用いられている実験の基本的な戦略や戦術を習得してもらいます。そして実際に体験することにより、これまで学んできた知識を相互に関連づけながら、いっそう確実なものにしてもらうことを目指しています。さらに、科学的な報告書の書き方も学んでもらいます。

3.
準備学習(授業時間外の学習)

 実験開始前に、実験マニュアルと共に事前レポート課題も配付します。マニュアルをよく読んで予習し、さらに事前レポート課題もこなして、実験本番に臨んでください。また、座学の講義と異なり、実験は危険を伴います。どこに危険が潜んでいるのか、安全を確保するにはどうすればよいのか等々、安全という視点からも予習をお願いします。なお、2年次開講「バイオサイエンス基礎実験」の「科学計算演習」の回では、この「生化学実験」の事例をたくさん引用していますので、合わせて復習をしておいてください。

4.
授業計画

 下記の3つのテーマの実験を、週あたり2日間(原則として火曜日と水曜日の午後すべて)、これを4週間連続して都合8日間実施します。より具体的には、事前に配付する実験マニュアルに示します。なお、病徴の進行状況によっては、正規の実験時間外(実験実施日以外の昼休み等)あるいは実験期間終了後に1〜2回ですが、短時間の病徴継続観察を行います。
(1)ウイルスを含む試料からウイスル粒子を分離精製します(電子顕微鏡観察も含みます)。
(2)精製ウイルス粒子からウイルスゲノムを抽出精製します。
(3)精製したウイルス粒子およびウイルスゲノムの生物活性を検証します。
 なお、本実習の主担当は梶谷、副担当は内野および平澤の3人体制で指導にあたります。また、電子顕微鏡観察の際には、その実地指導を朝比奈講師にも協力していただきます。

5.
成績評価の方法、基準

 本科目は実験科目ですから、出席することが必要条件です。欠席および遅刻・早退(=1/2欠席扱い)は、評価上、著しく不利となります。また、実験終了後、そのレポートを提出し、受理されれば本科目は修了となります。レポート内容に不備などがあれば、これを返却し再提出を求めることもあります。
 成績評価を受ける資格は、8回の実施日のうち6回以上出席し、実験レポートが受理された者のみとします。最終成績は実験レポートの内容で評価します。

6.
使用テキスト及び使用教材

教科書:専用の実験マニュアルを配付します。
    また、LMS上に、補助的な資料を掲載する予定です。
参考書(TMV):バイオサイエンス基礎実験(2年次開講)「7.科学計算演習」のテキスト
        岡田吉美(著)「植物ウイルスと分子生物学」東京大学出版会UP Biology
        (この書籍は図書館にあります)
参考書(レポート作成):木下是雄(著)「理科系の作文技術」中公新書
参考書(レポート作成):高木隆司(著)「理科系の論文作法」丸善

7.
その他

(1)実験開始前に、事前の希望調査に基づき当コース履修許可者が決定済みです。履修申告は、その決定に従ってください。
(2)実験用白衣と名札は各自で用意してください。
(3)病徴観察記録はスケッチを主としますが、補助的に写真撮影を認めます。また、レポートにスケッチと共に、補助的に写真を添付することも認めます。
(4)当科目も含め「バイオ実験」5コースは「専門の選択必修科目」であり、この内2コース以上の単位修得がバイオサイエンス学科の「卒研着手条件」の一つとなっています。