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授業目標 |
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コンピュータを利用して、微積分の計算や微分方程式をできるだけ正確に迅速に解く技術を学びます。 数値微分や数値積分ができるようになります。 微分方程式を数値的に解けるようになります。 内挿方を理解し、使えるようになります。 数値計算の誤差を評価できるようになります。
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2. |
授業概要 |
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理工学関係の研究開発を本気で進めようとするときに避けて通れないほど大切で便利なツールが数値解析です。 数値解析はITの重要な一分野でもあります。 さらに、例えば、電気電子回路の設計にもしばしば使われます。 一部の情報系企業でも同様です。 具体的には微分方程式とその解法を中心に利用されています。 そのために、まず数値解法における誤差の種類とその原因、微分、積分の意味とそれらの数値解法、微分方程式の差分化や数値解法、内挿法等について学習します。
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3. |
準備学習(授業時間外の学習) |
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端的に言うと、本講義は数値微分と数値積分が中心テーマです。 したがって、微積分の知識がないと、この授業は辛い体験になります。 微積分は、ほとんど毎回の講義で、当たり前のように利用しますので、復習し、知識を磨いておいてください。 このシラバスを参考にして、できるだけ参考書を予習して授業に臨んでください。 少なくとも、各授業のキーワードは頭に入れておいてください。 さらに、授業内容の復習を兼ねて、宿題やレポートは必ず提出してください。 すると、授業の理解が飛躍的に上昇するでしょう。
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授業計画 |
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1.計算誤差のいろいろ 数値計算に誤差はつきものだが、誤差の種類と原因がわかれば恐くない。 2.計算誤差のいろいろ−その2−:前回の授業の続き 3.微分とは? 微分の定義と計算の復習、関数y=f(x)を数値的に微分するとは? 4.差分とは? パソコンで微分を計算するために必要なツール 5.簡単な微分方程式 微分方程式の重要性とその簡単な復習(人口問題を例にして) 6.ロジスティック方程式とその理論解:単なる指数増加を発展させます。 7.微分方程式の差分化 パソコンで微分方程式を解くには、微分方程式を差分化すればよい。 8.ロジスティック方程式の差分化 人口増を表すロジスティック方程式を差分化すると? 9.カオスとは? カオスの意味と意義と可能性について学ぼう:ロジスティックマップとは? 10.微分方程式をより正確に解くためのルンゲクッタ法の紹介 11.内挿法:測定データをうまく利用するために、ルジャンドルの方法を学びます。 12.数値積分:パソコンで関数y=f(x)の積分を計算するために、長方形近似を学びます。 13.数値積分とその誤差:長方形近似よりも精度のよい台形近似が理解できるようになります。 14.コンピュータ内の数値表現とn進法:16ビット、32ビットとは何かを説明します。 15.コンピュータ内の数値表現2&テスト
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成績評価の方法、基準 |
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プロジェクトレポート3件(6割)、期末試験(4割)
プロジェクト1:三角関数を数値微分して、理論解と比較し、誤差を評価・考察します。 プロジェクト2:ロジスティック微分方程式の数値解であるロジスティックマップのさまざまな性質を探り、カオスの性質とロジスティック微分方程式の解であるシグモイド関数等を理解します。 プロジェクト3:長方形近似と台形近似で三角関数を積分し、誤差を評価・考察します。
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使用テキスト及び使用教材 |
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参考書:1.川崎晴久著「C&FORTRANによる数値解析の基礎」(共立出版)(講義1~3、10~14)
2.飽本一裕著「今日から使える微分方程式」(講談社)(講義3~9)
参考書2は、プロジェクト1と2に役立ち、プロジェクト3には参考書1が役立ちます。
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その他 |
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微分積分アレルギーの人には辛い授業になりますから、それらをぜひ復習しておいてください。 プロジェクト主体の授業ですから再試験は実施しません。
本講義で特に重要なポイントは数値微分と数値積分です。 これらさえ理解すれば、本講義に合格することは比較的簡単でしょう。
卒業間近の学生に成績面で特別配慮することはありませんので、各自日々切磋琢磨して下さい。
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