Web Syllabus(講義概要)

平成28年度

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熱力学特論 (Special Thermodynamics) 森 一俊
2年 通年 専門分野選択 2単位
【専工後・通】 16-3-1041-3009

1.
授業目標

東日本大震災による福島第一原子力発電所の炉心溶融に伴う原子力への安全神話の崩壊は,世界中のエネルギー政策の将来の方向性を検討し直す契機となりました。そして、太陽光や風力を主体とする再生可能エネルギーの導入促進と共に、米国でのシェールガス革命に端を発し、天然ガスを含む化石エネルギーを主燃料とした政策も検討されつつ有ります。熱力学は人類の文明の発展に大きく貢献する各種熱機関の基本原理となるエネルギー変換や熱の移動を取り扱う学問ですので、火力発電所のタービン、飛行機や船および自動車のパワーユニット、加えて原発や地熱および低温度差発電のサイクル効率向上が必須となる今後は、これまで以上に熱力学の重要性が増すと思われ、熱力学の基礎概念や基本原理や熱力学が応用されているそれらの熱機関や機器類の効率向上がとても大切な事を学びます。そして、地球温暖化問題を熱力学的に把握し、熱学的機関としての地球の自然環境の循環性とその保全の大切さも理解しましょう。

2.
授業概要

熱力学の概念や基本原理と身近な物理・化学現象とを関連させながら講義を進めます。熱力学が応用されている熱機関や機器類の効率や作動およびサイクルと、人類の生活にそれらの機器がどのように利用されとても大きな影響を与えている事を学びます。熱力学を理解し熱機関や機器類の効率向上を図る事、それらの機関や機器類を人類の英知を傾けきちんと利用する事、および地球温暖化を熱力学的に紐解く事で、地球の自然環境の循環性とその保全の為に、今後の人類のライフスタイルの提案に繋がるような講義を目指します。そのため、プレゼンテーションと討議形式の講義を行います。

3.
準備学習(授業時間外の学習)

学部で熱力学を履修し、熱力学に興味を抱いて頂く方が良いでしょう。従って,参加型によるプレゼンテーションと討議形式の講義も遂行します。演習課題へのレポート提出やプレゼンテーションや討議の準備および予習や復習に取り組んで下さい。

4.
授業計画

【第 1回】熱力学の歴史と熱機関・熱機器
     ・熱利用・熱力学の歴史および熱機関・熱機器の発明発見
【第 2回】熱エネルギーと仕事
     ・熱の仕事当量や熱機関における熱と仕事の関係およびエントロピーの定義
【第 3回】エネルギーの状態と変化
     ・物質の状態量変化と熱力学の第一,第二法則およびエネルギーの変化と流れ
【第 4回】理想気体の状態変化
     ・理想気体の状態式と内部エネルギー,エンタルピーとエントロピーおよび理想気体の状態変化
【第 5回】演習、プレゼンテーションと討議(1)
【第 6回】熱機関のサイクル(1)
     ・カルノーサイクル,オットーとディーゼルサイクル
【第 7回】熱機関とサイクル(2)
     ・ブレイトンサイクルおよびスターリングサイクル
【第 8回】蒸気の状態変化
     ・相変化と乾き度および水の蒸気表とh-s線図
【第 9回】蒸気機関のサイクル(1)
     ・ランキンサイクル
【第10回】蒸気機関のサイクル(2)
     ・再熱・再生・コンバインドサイクル
【第11回】演習、プレゼンテーションと討議(2)
【第12回】冷凍とヒートポンプサイクル
     ・冷凍機とヒートポンプ
【第13回】熱エネルギーの利用技術
     ・熱エネルギー源,熱を伝える技術および燃料の燃焼
【第14回】エネルギーと地球の自然環境
     ・地球温暖化と熱力学
【第15回】演習、プレゼンテーションと討議(3)

5.
成績評価の方法、基準

プレゼンテーションと討議の内容(50%)、課題への提出レポート内容(50%)で評価します。

6.
使用テキスト及び使用教材

適宜資料を配布したり、参考書を紹介しながら講義を進めます。
基本となる参考書:「はじめて学ぶ熱力学」斉藤考基、浜口和洋、平田宏一、オーム社

7.
その他

パワーポイントによる講義形式でのプリント配布に加え、プレゼンテーションと討議形式の講義を取り入れ、プレゼンテーション力とコミュニケーション力のポテンシャル向上にも繋げます。