1. |
授業の概要(ねらい) |
|
人口減少時代に入った現在でも、我々は人口現象に関する正しい理解を獲得したとは言えない現状です。巷では「少子化」といいますが、アカデミックには「少子化」に相当する英語訳はありません。日本で少子化と呼んでいる現象は、出生力低下(Fertility Decline)と呼ぶべきなのです。これは単なる言葉の問題ではなく、出生率の低下の背景には、夫婦の子ども数の低下、出産タイミングの変化、晩婚化・未婚化という複合要因があるからです。「少子化」という表現は、夫婦が子どもを産まなくなっているという印象を与えすぎて、問題の本質を見誤らせています。「子育てが大変だから子供を産まない」という言説は本当なのでしょうか。常識と通説を批判的に検討し、出生力低下への正しい理解を目指し、将来の日本の人口の姿を展望します。 人口現象を正しく理解することは、「近代化論」を否定・解体し、近代的な理性的「個人」を解体して、より正しい人間像へと迫ることです。実証的にも理論的にも最も先駆的な社会学演習をめざします。
|
2. |
授業の到達目標 |
|
人口現象に関する素養を築くこと。人類の人口史を概括的に理解するとともに、近代の人口変動、俗にいう人口転換という現象について正確な知識をもつこと。必要なデータ分析能力とプレゼンテーションの技能を獲得し、この授業以外の様々な局面で利用できるようになること。
|
3. |
成績評価の方法および基準 |
|
演習での議論の有り様を平常点として50%、期末レポートを50%
|
4. |
教科書・参考書 |
|
河野稠果著、『人口学への招待―少子・高齢化はどこまで解明されたか』、中公新書1910、2007年
|
5. |
準備学修の内容 |
|
教科書の指定箇所をよく読んでおくこと。発表の担当者はPowerPointでレジュメをつくること。
|
6. |
その他履修上の注意事項 |
|
演習は毎回の出席が原則である。
|
7. |
各回の授業内容 |
|
【第1回】 | ガイダンスと年間スケジュールと割り当て | 【第2回】 | 夫婦出生力の低下と拡散仮説 | 【第3回】 | 人口学の基礎 | 【第4回】 | 序章 | 【第5回】 | 第1章 人口学の基礎 出生・死亡・移動 | 【第6回】 | 第1章 人口学の基礎 高齢化 | 【第7回】 | 第2章 生命表 | 【第8回】 | 第2章 生命表と将来人口 | 【第9回】 | 第3章 出生力低下(少子化)をめぐる人口学 | 【第10回】 | 第3章 安定人口理論 | 【第11回】 | 第4章 人口転換 | 【第12回】 | 第4章 近代化論 | 【第13回】 | 第5章 生殖率と出生率 | 【第14回】 | 第5章 不妊 | 【第15回】 | まとめとレポート発表 |
|