Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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中小企業特論(Small and Medium Enterprises Studies Advanced Course) 黒崎 誠
1年 前期 基礎科目選択 2単位
【専地前・前】 17-3-1454-0198

1.
授業の概要(ねらい)

日本は、中小企業政策の先進国とされていましたが、1970年代以降から世界のどの国も「中小企業こそ経済発展の苗床」として中小企業の育成に取り組んでいます。日本も「中小企企業問題は資本主義の矛盾から発生する」などといったマルクス経済学の発想から抜け出し、中小企業法を全面的に改正しました。何故、中小企業が見直されているのかといった本質的な問題、さらに現在の中小企業の抱える問題点やグローバル化する経済の中で中小企業の生き残り、発展策など幅広い視点から中小企業を巡る諸問題について学びます。

2.
授業の到達目標

中小企業は、企業数で99・7%、雇用の70%強を占め、日本経済を支えています。付加価値額でも1960年代から約55%を維持し、中でも地方経済の中核的な存在として重要な役割を果たしていますが、中心市街地のシャッター通り化に代表されるように中小企業の数は減少の一途を辿っています。その一方、グローバルニッチトップ企業として世界のトップシェアを占める中小企業が、数多く存在することが日本経済の特色です。大学院の授業ですので何故このような相反することが発生するのか?地方自治体が地域創生を進めるための中小企業の育成策などについて十分な理解を得られることを到達目標とします。

3.
成績評価の方法および基準

大学院の授業ですので授業の最後に小論文を提出してもらい、この小論文(50%)を基にしたディスカッション(50%)で評価を決めます。

4.
教科書・参考書

特別な教科書は使いませんが、以下の書籍の主要項目を抜粋した授業を予定しています。黒瀬直宏著『複眼的中小企業論』、黒瀬直宏著『中小企業政策』、清瀬忠雄著『日本中小企業政策史』、佐竹隆幸著『中小企業存立論』、三井逸友『中小企業政策と中小企業憲章』、細谷祐二著『グローバル・ニッチトップ企業論』、黒崎誠著『世界に冠たる中小企業』

5.
準備学修の内容

上記の参考書をできるだけ数多く読むようにしてください。学部で中小企業論を学ばなかった学生は、中小企業論の入門書を必ず読んでから授業に臨むようにしてください。

6.
その他履修上の注意事項

中小企業論は、ミクロ、マクロ経済学など基礎的な経済学の知識が無いと十分に理解できません。ミクロ、マクロ経済学関連の知識を身につけるようにしてください。

7.
各回の授業内容
【第1回】
ガイダンス 中小企業を取り巻く環境の変化
【第2回】
中小企業白書(中堅企業) 中小企業白書を精読し、中小企業の中で中堅企業とされる企業について学びます。
【第3回】
中小企業白書(中小・零細企業) 中小企業の中で最も多いのが、中小・零細企業です。中小企業白書からこれらの企業の抱える問題点について学びます。
【第4回】
グローバルニッチトップ企業論 世界トップのシェアや技術を持つ中小企業の経営の特徴と経営戦略を学びます。
【第5回】
下請けと中小企業 日本の中小企業の多くは大企業の下請けです。最近になって急速に進む下請け制度の変化や今後の対応策を学びます。
【第6回】
産業構造の変化への対応 急速に変化する産業構造の変化の中で中小企業の対応策を検証していきます。
【第7回】
グローバル化と海外戦略 経済がグローバル化する中で中小企業も海外展開を迫られています。海外展開の問題点と対応を学びます。
【第8回】
中小企業のイノベーション 中小企業がイノベーションに最も適しいるとされます。いかにイノベーションを進めて行くかを検証し、学びます。
【第9回】
流通システムの変化と中小企業 ITの利用拡大や郊外型大型店の展開など流通システムが変化する中で中小企業の生き残り策を考えます。
【第10回】
地場産業としての中小企業 伝統産業に代表される地場産業が曲がり角を迎える中での再生策を考えます。
【第11回】
中小企業政策史 日本の中小企業政策を再検証することは、現在の中小企業を考えるのに大きなヒントとなります。
【第12回】
日本の中小企業政策 21世紀を前につくられた現在の中小企業政策について問題点などを検証することにします。
【第13回】
世界の中小企業政策 世界各国が、中小企業育成のために中小企業政策を展開していますので主要国の政策を検証します。
【第14回】
中小企業と地方自治体 地方自治体は、中小企業育成の中心的な役割を果たさなければなりません。地方自治体の中小企業戦略を検証します。
【第15回】
まとめ。小論文を中心したディスカッションです。