Web Syllabus(講義概要)

平成30年度

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科目ナンバリング:ECT-104
入門マクロ経済学 II 冨田 秀昭
選択必修  2単位
【経済】 18-1-1110-4894-038

1. 授業の概要(ねらい)

 新聞・テレビ・インターネットなどを通じて、皆さんは日々たくさんの経済関連ニュースを目にしていることでしょう。本講義では、インフレーション、失業、経済成長など経済全体に関わるさまざまな事象を研究するマクロ経済学の考え方の基礎を学ぶことを目的とします。
 「入門マクロ経済学Ⅱ」においては、価格が需給の不均衡を調整する長期モデルを分析の対象とします。具体的には、長期モデルで重要な役割を果たす供給サイドを考慮するため、労働市場を明示的に取り入れたモデルにより物価水準の決定について論じ、インフレ、デフレについて考えます。さらに、経済成長の理論、消費と貯蓄、投資決定の理論を議論した後、財政金融政策を中心とするマクロ経済政策の有効性について学びます。

2.
授業の到達目標

 (1)物価水準の決定、経済成長の理論など長期のマクロ経済モデル、消費と貯蓄、投資決定の理論、およびマクロ経済政策の有効性など、マクロ経済学における基礎的概念を習得する。
 (2)習得した基礎的概念を用いて、マクロ経済学に関する報道を正しく理解し、説明できるようになる。

3.
成績評価の方法および基準

 (1)期末試験70%をベースとして、講義において不定期に課す小テスト・課題レポート提出(複数回)30%を加味して、総合的に評価します。
 (2)合格ラインにわずかに満たない場合で、出席状況のほか日頃の受講姿勢を勘案して合格とすることもあるので、まじめに取り組んで下さい。

4.
教科書・参考書

 【参考書】中谷巌『入門マクロ経済学(第5版)』日本評論社、2007年
 原則として、講義内容の要点を記載したレジュメを毎回配付するほか、必要に応じて最新経済データなどの資料も配付します。
 その他、必要な参考書、資料などがあれば、講義の中で随時紹介していきます。

5.
準備学修の内容

 (1)講義前に参考書の関連部分を熟読し、疑問点などをチェックして講義に臨んで下さい。
 (2)講義では、入門レベルのマクロ経済学で必要な論理的な考え方を丁寧に解説することを心掛けるつもりですので、板書量は多くなります。帰宅してから、その日の講義内容を見直すなど、復習に重点を置いて取り組んで下さい。

6.
その他履修上の注意事項

 (1)入門レベルのマクロ経済学を体系立てて理解するため、「入門マクロ経済学Ⅰ」からの連続受講を希望します。
 (2)講義中の私語など、他の受講者に迷惑を掛ける行為があった場合には、成績評価に際して大幅減点、あるいは不合格とすることがあります。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 講義ガイダンス、「入門マクロ経済学Ⅰ」の補足
【第2回】
 短期モデルと長期モデルの比較(1):短期モデルおよび長期均衡モデルの枠組み
【第3回】
 短期モデルと長期モデルの比較(2):海外部門を組み入れた長期モデル、名目利子率と実質利子率
【第4回】
 物価水準はどのように決まるか:総供給曲線、価格の調整速度と総需要管理政策の効果
【第5回】
 インフレとデフレ(1):動学化された総供給曲線、フィリップス曲線、動学化された総需要曲線とインフレ率の決定
【第6回】
 インフレとデフレ(2):合理的期待形成と自然失業率仮説、インフレと失業のトレードオフ、インフレとデフレの社会的費用
【第7回】
 経済成長の理論(1):経済成長と総供給曲線、新古典派成長理論
【第8回】
 経済成長の理論(2):経済成長の源泉と実証研究、内生的経済成長論
【第9回】
 消費と貯蓄(1):フィッシャーの異時点間にわたる消費理論
【第10回】
 消費と貯蓄(2):消費関数における短期と長期の食い違い、短期と長期を統合した2つの学説、日本の家計貯蓄率の推移
【第11回】
 投資決定の理論(1):企業の設備投資、加速度原理、ストック調整モデル、新古典派投資理論
【第12回】
 投資決定の理論(2):調整費用モデル、トービンのq理論
【第13回】
 マクロ経済理論の新展開:リアルビジネスサイクルの理論、ニューケインジアンの経済学
【第14回】
 マクロ経済政策の有効性について(1):財政政策に関する論争
【第15回】
 マクロ経済政策の有効性について(2):金融政策・マクロ経済政策全般に関する論争