Web Syllabus(講義概要)

平成30年度

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科目ナンバリング:SEM-301
演習 I 西田 令一
必修  2単位
【経済】 18-1-1120-3873-001

1. 授業の概要(ねらい)

 中国経済といえば、大方の学生が真っ先に思い浮かべるのは、訪日中国人客が大挙押し寄せて日本製品を大量に購入する「爆買い」の現象かもしれません。しかし、それはもはや旧聞といっていいでしょう。
 習近平政権下の中国は今、かつての高度成長こそ減速したものの、技術革新による産業構造の高度化を強力に推進しています。世界最大の自動車市場という強みを生かして、電気自動車(EV)化へと舵を切り、純国産車の開発・生産拡大へと動き出しました。「一帯一路」構想を掲げ、インフラ輸出を加速させると同時に自国経済圏を押し広げようとしてもいます。
 「国家資本主義」がフル稼働して、世界第2位の経済は今も、目まぐるしく変貌しつつあるのです。
 演習は、中国が奇跡的と形容される成長を遂げるまでの流れを振り返ることから始めます。その中で、超長期の急成長の要因として、中国経済発展の特殊性を分析していきたいと思います。
 これまでの中国経済の成長過程とその背景をたどることによって、現在の中国経済が抱えているさまざまな課題も、これからの中国経済の行方を占う手がかりも見えてくるはずです。
 春期では、講義とドキュメンタリー視聴を通して、中国経済に関する基礎知識と捉え方を仕込んだうえで、秋期にまとめるレポートの課題を探してもらいます。日本に結び付けるなどして、できるだけ身近なテーマ、個人的に興味が持てるテーマを選択することが肝心です。レポート作成の指導には、春期の途中から着手したいと考えています。

2.
授業の到達目標

 日本と中国は互いに引っ越しできない、ご近所関係にあります。皆さんが将来、社会に出たときに、さまざまな形でこの隣国とのかかわりが出てくることも少なくないでしょう。その意味で極めて大切な中国経済にまずは関心を持てるようになること、次いで中国経済を見る目も持てるようになることを目指します。

3.
成績評価の方法および基準

 演習への参加態度と中国経済理解の進展度、レポート・テーマの設定状況という3点について評価し、成績を決定します。

4.
教科書・参考書

 授業では特定の教科書は使いません。レジュメや画像、映像などの教材を多用し、いずれもこちらで準備します。参考文献は次の通りです。
 『中国の産業はどのように発展してきたか』(渡邊真理子編集、勁草書房)
 『貧者を喰らう:中国格差社会からの警告』(増補新版)(阿古智子、新潮選書)
 『ビジネスのための中国経済論』(薮内正樹編著、JETRO)

5.
準備学修の内容

 授業では初めて目にし耳にする事柄が多くなると思います。分からないところは授業中に質問するほか、授業後に自ら調べて復習することを心掛けてください。レポートのテーマを設定する際にも、自身で事前に調査することが欠かせません。

6.
その他履修上の注意事項

 演習ですので、受け身の姿勢ではなく参加するという能動的な態度が求められます。レポート・テーマの設定などで発表する機会も少なくありませんので、積極的に発言するようにしてください。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 イントロダクション(ゼミの方針、授業の進め方と目標、成績評価の方法、授業に対する心構えなどについて説明を受ける)。
【第2回】
 画像で現地(上海、北京)経済の最新状況について学ぶ。
【第3回】
 中国経済の政治学(現代中国の経済史)について学ぶ。
【第4回】
 生産、技術力で中国の発展支えた外資について学ぶ。
【第5回】
 国有企業への会社制度導入と「国進民退」について学ぶ。
【第6回】
 中国民間企業の旺盛な参入とその限界について学ぶ。
【第7回】
 農村から都市への労働力移動と格差の拡大について学ぶ。
【第8回】
 土地の使用権売却による開発投資とバブルについて学ぶ。
【第9回】
 ドキュメンタリー「巨龍中国 1億大移動―流転する農民工」を視聴し議論する。
【第10回】
 ドキュメンタリー「巨龍中国 成長産業にカネを流せ―14億人の資産の行方」を視聴し議論する
【第11回】
 ドキュメンタリー「巨龍中国 14億人の消費革命―爆発的拡大!ネット通販」を視聴し議論する
【第12回】
 ドキュメンタリー「巨龍中国 大気汚染―超大国の苦闘 PM2・5 沈黙を破る人々」を視聴し議論する。
【第13回】
 ドキュメンタリー「巨龍中国 一帯一路〝西へ〟―14億人の奔流」を視聴し議論する。
【第14回】
 レポートのテーマ設定に向けて議論する。
【第15回】
 レポートのテーマ設定に関する報告書(1ページ)を提出する。