Web Syllabus(講義概要)

平成30年度

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科目ナンバリング:ECP-228
アジアにおける経済統合と共同体 II 玉村 千治
選択  2単位
【経済】 18-1-1120-4661-005

1. 授業の概要(ねらい)

 東アジアにおいて統合の動きが活発化している。それはメガFTA(自由貿易協定)時代の到来と言ってもよい。ASEAN(東南アジア諸国連合)は2015年末に「アセアン経済共同体(AEC)」を結成した。また、アセアン周辺国(日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド)は、アセアンとFTAをそれぞれ結び、今やアセアンはアジア貿易のハブとして機能している。さらに東アジア地域においては、「日中韓自由貿易協定」、アセアン10カ国に上記アセアン周辺6カ国を加えた16カ国による「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)」への進展も図られている。東アジアにおいてはこうした経済的相互依存の深化とともに、人の往来も活発化し、異文化交流が進んでいることは重要な事実である。
 一方、2016年2月に12カ国によって署名された「環太平洋経済連携協定(TPP)」については、2017年初めに米国が自国利益優先を理由に不参加を表明した。また、英国も移民政策などの相違から2017年にEU離脱を正式に伝えた。2年後にはEUメンバーから外れることになる。こうした保護主義的な動きも欧州を中心に活発化する中、TPPに関しては合意内容の一部凍結などを図りながら残る11カ国での署名に2017年末にこぎつけた。また、日EU EPAも同時期に大筋合意に達した。経済統合による大きな経済効果を考慮しての結果である。
 本講義では、こうした統合の内容・意義を考える前提として、春期にまずアジアの実態を政治、社会、文化等の側面から幅広く理解し、統合の長い歴史を持つEUの経験をも学ぶ。秋期には、アジアにおける各国経済の現状と特徴を理解したうえで、統合の動きを、アジア主要諸国(中国、韓国、インドネシア、インド、日本等)ならびに米国、EUはどのように見ているのか、またその実現可能性を議論する。なお、授業は各分野の内外の専門家が分担し、オムニバス形式で行う。

2.
授業の到達目標

 ①アジア諸国の、政治、社会、文化等のおおまかな特徴が説明できる。
 ②アジア諸国の経済の現状と特徴が説明できる。
 ③AEC、日EUEPA、RCEP、TPP11等のメガFTAの仕組みを理解し、アジア地域統合の将来あり方と日本の役割について、主体的に考えることができる。

3.
成績評価の方法および基準

 授業中の積極性10%、授業内中間テスト(必須)40%、授業内期末テスト(必須)50%

4.
教科書・参考書

 各講師が配布する資料がテキストとなる。
 参考文献としては、廣田功・加賀美充洋(編)『東アジアにおける経済統合と共同体』日本経済評論社、2014年があげられる。その他の参考文献は授業中に指示する。

5.
準備学修の内容

 ①参考文献等で講義の対象国に関する事情を調べてから授業に出ること。
 ②新聞を毎日読み、東アジア諸国の動き、統合問題に関連する記事等に注意すること。

6.
その他履修上の注意事項

 ①授業に参加し積極的な質問・意見表明を歓迎する。
 ②通年での履修を薦める。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 9/11 イントロダクション:アジアにおける経済統合の現状(玉村千治)
【第2回】
 9/18 アジアの経済統合-アジアの大学生の視点(玉村千治+TAEP留学生)
【第3回】
 9/25 EUの現状と課題1(古内博行)
【第4回】
 10/2 EUの現状と課題2(古内博行)
【第5回】
 10/16 ベトナム経済の現状と統合への展望(菊池正)
【第6回】
 10/23 インドネシア経済の現状と統合への展望(長田博)
【第7回】
 10/30 フィリピン経済の現状と統合への展望(二村泰弘、元アジア経済研究所)
【第8回】
 11/6 韓国経済の現状と統合への展望(奥田聡、亜細亜大)
【第9回】
 11/13 シンガポール経済の現状と統合への展望、中間テスト(玉村千治)
【第10回】
 11/20 ミャンマー経済の現状と統合への展望(長田紀之)
【第11回】
 11/27 中国経済の現状と統合への展望(山本裕美、京都大)
【第12回】
 12/4 インド経済の現状と統合への展望(清水学、元帝京大)
【第13回】
 12/11 米国経済の現状と統合への展望(松井範惇)
【第14回】
 12/18 日本経済の現状と統合への展望(若山昇)
【第15回】
 1/8 まとめ、テスト(玉村千治)