Web Syllabus(講義概要)

平成30年度

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科目ナンバリング:ECT-205
観光経済学 I 小沢 健市
選択  2単位
【観光経営】 18-1-1130-3752-003

1. 授業の概要(ねらい)

 この講義は、観光経済学の範囲と内容を詳細に説明しながら、その基礎理論を観光にどう応用していくことができるかを受講生に平易に説明することである。基礎理論の完璧な習得とその観光分析への応用は、受講生が今後直面するであろう経済問題(国際的な経済問題を含めて)に対する解決方法、そして今後生じるであろう経済問題の発見とその解決に有効な手段となると考えている。
 もちろん、具体例は観光の経済的側面にかかわる問題であるが、理論の有用性、換言すれば、実学の意味とその内容を理解する手がかりをも提供することができる、と考えている。実学とは、ここでは、役に立つ理論を意味しているが、まさに観光経済学の基礎理論の習得によって、受講生は、実学としての観光経済学の基礎理論が現実問題の解決に役立つことを、身をもって学ぶことができると考えている。

2.
授業の到達目標

 観光経済学の基礎理論の確実な習得と具体例を多数取り上げることによって、受講生の基礎力と問題解決能力、そして問題・課題発見能力を高めることがこの講義の到達目標である。

3.
成績評価の方法および基準

 成績評価は、期中に実施する中間テストと期末試験の2点によって行うが、前者のウエイトは40パーセント、後者のウエイトは60パーセントである。ただし、成績評価は、15回の講義回数の三分の二以上の出席が必要条件である。

4.
教科書・参考書

 テキストは利用せず、毎回プリントを配布し、それを使って講義を進める(ただし、欠席者には、原則として、プリントは配布しない)。
 参考書:M.T.シンクレア/M.スタブラー著 小沢健市監訳『観光の経済学』学分社、2001年(3,100円、税別)

5.
準備学修の内容

 授業の予習・復習を励行することが必要。予習・復習時間はそれぞれ1時間程度行うこと。

6.
その他履修上の注意事項

 可能であれば、受講生はミクロ経済学の講義を受講することが望ましい。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 この講義のオリエンテーションと観光統計を利用した我が国の観光の現状の説明
【第2回】
 観光経済学の範囲とその内容の平易な説明および観光研究の現状の簡単な説明
【第3回】
 観光需要のミクロ経済学的基礎の平易な説明:観光需要とは何か
【第4回】
 観光需要の最適な選択の理論的説明とその数値例をもちいた計算:観光者は観光から獲得する効用=満足を最大化するように行動する
【第5回】
 観光財・サービスの最適な選択をする際の制約条件とは何か:具体例と数値例の計算
【第6回】
 観光者は観光にかかわる財・サービスそれ自体よりもむしろ、それらの財・サービスの属性から効用を獲得する:観光需要の属性分析の平易な説明とその応用
【第7回】
 講義のまとめと中間テストのための準備
【第8回】
 観光財・サービスの生産・供給の費用:経済学における費用概念の平易な説明とその数値例を用いた計算:費用関数の説明と計算例
【第9回】
 観光関連産業の市場構造:完全競争市場、独占、寡占(複占)、そして独占的競争市場における観光関連財・サービスの価格と取引量の決定の平易な説明
【第10回】
 観光にかかわる財・サービスの多くの価格は差別化されている:価格の差別化の理論と具体例
【第11回】
 観光関連財・サービスの二部料金制の平易な説明:ディズニーランドのジレンマとは
【第12回】
 観光では、いくつかの異なる財・サービスを一つの束として販売するバンドリングがなされている:バンドリングの基礎理論とその具体例への適用
【第13回】
 バンドリングが可能になるための条件の説明:バンドリングは常に可能なわけではない
【第14回】
 観光の国際的な側面の経済分析へ向けて:国際経済学・貿易理論の国際観光分析への適用
【第15回】
 本講義のまとめと期末試験のための準備