Web Syllabus(講義概要)

平成30年度

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科目ナンバリング:CIL-202
契約総論 内田 暁
必修  2単位
【法学】 18-1-1210-4163-004

1. 授業の概要(ねらい)

 普段はあまり意識しないかもしれませんが、我々の日常生活は、実に様々な「契約」に取り囲まれています。コンビニでジュースやおにぎりを買うのは「売買契約」、実家から離れて一人暮らしをするためにマンションの一室を借りるのは「賃貸借契約」。銀行にお金を預けるのは「消費寄託契約」ですし、逆にお金を借りたら「金銭消費貸借契約」を締結したことになります。アルバイトをしようと思ったら「労働契約」を結びます。将来的にマイホームを持つ際には、工務店や大工さんと「請負契約」を締結するかもしれません。このように、我々の生活は「契約」なしには成立しえないといっても過言ではありません。
 本講義では、このように我々の日常生活に密接に関わる「契約」というもの一般にについて学びます。「契約」は、誰が、どのようにして締結するのでしょうか。「契約」の内容はどのようにして定まるのでしょうか。成立した「契約」には、どのような効力があるのでしょうか。相手方が「契約」を守ってくれない場合には、どのような救済手段を講じることができるのでしょうか。本講義では、これらのテーマを検討すること通じて、「契約」というものについての知識を修得することを目指します。
 さらに、平成29年5月には民法の契約法分野に関する改正法が成立しました。本講義では、現行の民法を中心に取り上げますが、この改正法についても適宜言及してゆきます。

2.
授業の到達目標

 ①契約総論についての基本的な知識を修得する。
 ②契約法の学習を通じて、「民法総則」や「債権総則」、「契約各論」に関する基礎的な知識をも修得する。
 ③上記二点を通じて、ともすればバラバラになりがちな民法の知識間の接続を図る。

3.
成績評価の方法および基準

 ・15回目の授業内で実施する試験の点数による評価(100%)
 ・出席点は、原則考慮しません(出席していれば単位が取得できるというわけではなく、逆に、出席していないから単位が取得できないというわけでもありません)。

4.
教科書・参考書

 講義は、教員の作成した資料に基づいて行います。受講者は、下記参考書一覧を手掛かりに、各人に合ったテキストを用いて学習に望んでください。
  参考書:①藤岡康宏・磯村保・浦川道太郎・松本恒雄『民法Ⅳ』(有斐閣、第4版、2018年(予定))
      ②中田裕康『契約法』(有斐閣、2017年)
      ③潮見佳男『債権各論Ⅰ』(新世社、第3版、2017年)
      ④中田裕康・窪田充見『民法判例百選Ⅱ債権』(有斐閣、第7版、2015年)
 ①は定評のあるテキストの最新版です。債権法の改正にも対応しています。②は債権法の改正作業にも携わった研究者が著した浩瀚な体系書です。現行法と改正法との両方に目配せしたものとなっています。③も債権法改正作業に携わった研究者が著したテキストで、読みやすく書かれています。④は定評のある判例教材です。

5.
準備学修の内容

 各回の授業時に、次の回で取り上げる内容についてアナウンスしますので、受講者は、上記テキストの該当箇所を読むようにして予習するとよいでしょう。その際に、テキストを読んでいて分からない箇所に印を付けておき、該当箇所について授業で確認するという姿勢で講義に臨むと良いでしょう。
 また、予習も大事ですが、まずは講義に参加し、授業時間外ではその復習に重点をおいて勉強するとよいでしょう。学習に際しては、条文や学説、判例を暗記しようとするのではなく、「なぜこのようなルールがあるのか」「なぜこのような学説があるのか」などといった点を意識して、「理解」しようと努めるとよいでしょう。細かな学説や判例は数多くありますが、それらは樹に喩えれば枝葉のようなものです(これらの学説や判例が大事でないという意味では決してありません)。樹の枝葉は、幹から生えているのであって、それだけで宙に浮いているものではありません。法律学の修得にとっては、枝葉に集中するのではなく、まずはそれらの枝葉が生えている幹をしっかりと把握することが肝要です。本講義でも、幹を把握することを第一の目標としてゆきますが、受講者が自習する際にも、幹を意識して学習するとよいでしょう。
 最後に、分からない個所をそのままにしておくのではなく、積極的に教員に質問するなどの姿勢も大事です。質問は随時受け付けますので、お気軽にお尋ねください。

6.
その他履修上の注意事項

 ・受講時には六法(『ポケット六法』や『デイリー六法』などの小型のもので結構です)を必ず持参してください。
 ・授業中の私語など、他の受講生の迷惑になるような行為は厳禁です。
 ・本科目を受講する前に、あるいは本科目と並行して民法概論や民法総論、物権法や債権総則といった科目を受講していることが望ましいでしょう。
 ・『契約総論』では、「契約」というもの一般について取り扱います。これに対して、民法典ではいかなる類型の「契約」が想定されているのか、それぞれどのような性質があり、特殊性があるのかとった問題について取り扱うのが『契約各論』です。これら二つの科目は密接な関わりを持ちますので、受講生は、本科目と併せて(あるいは本科目の後に)『契約各論』の講義も受講することが望ましいでしょう。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 イントロダクション(契約法入門) 契約の自由という契約法の基本原則について
【第2回】
 契約の意義や契約の分類について
【第3回】
 普通取引約款による契約、消費者契約、契約の拘束力について 
【第4回】
 申込と承諾による成立について
【第5回】
 申込と承諾以外の方法による成立(含、契約締結上の過失責任)について 
【第6回】
 契約の効力総論 同時履行の抗弁権の基本について
【第7回】
 同時履行の抗弁権の発展的問題について
【第8回】
 危険負担の基本について
【第9回】
 危険負担をめぐる発展的問題について
【第10回】
 債権法の改正と危険負担について
【第11回】
 第三者のためにする契約について
【第12回】
 契約違反と債務不履行、契約違反の効果について
【第13回】
 契約の解除の基本について
【第14回】
 契約の解除をめぐる発展的問題について
【第15回】
 まとめ 授業内試験
 ※上記計画は、あくまで予定です。具体的な進行状況によっては前後することもありえます。