Web Syllabus(講義概要)

平成30年度

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科目ナンバリング:ARS-205
アジア地域の社会と文化 I 三輪 博樹
選択  2単位
【外国語】 18-1-1220-4909-021

1. 授業の概要(ねらい)

 インドは多様かつ複雑な社会を有し、さまざまな社会的・経済的な問題を抱えています。こうした状況は学術的に非常に魅力的であるにもかかわらず、わが国ではインド社会に関する理解は十分ではなく、いまだ、「神秘の国」「不思議な国」といった印象が流布しているのが現状です。アジア地域の社会と文化Iでは、現在のインドにおける社会的・経済的な問題について理解し、それらをわが国の事例とも比較しながら検討できるようになることを目指します。
 授業の前半では、カーストや宗教などのインドの社会問題について説明し、そうした問題をポストコロニアルという観点から検討します。後半では、都市の消費文化、教育問題、若者の政治行動、マスメディアの働きなど、現在のインドにおけるさまざまな問題や現象について説明します。

2.
授業の到達目標

 以下の2つを到達目標とします。(1)現在のインドの社会問題について、ポストコロニアルという観点から理解し検討する。(2)現在のインドにおけるさまざまな社会問題や社会現象について、わが国の事例と比較しながら理解し検討する。

3.
成績評価の方法および基準

 授業への参加度および貢献度(不定期に行う小テストの結果も含む)(30%)と、期末試験の結果(70%)を合わせて評価します。

4.
教科書・参考書

 教科書は指定しません。各回の授業ごとに、講義内容をまとめたレジュメや関連資料などを配布します。また、以下の文献を参考書とします。
 堀本武功・三輪博樹 編『現代南アジアの政治』(放送大学教育振興会、2012年)。
 田中雅一・田辺明生 編『南アジア社会を学ぶ人のために』(世界思想社、2010年)。

5.
準備学修の内容

 第1回目の授業のときに、各回の授業内容の詳細について説明します。また、各回のレジュメや関連資料は当該回の前の週に配布しますので、事前にこれらのレジュメや資料を読み、疑問点などを明らかにしておいてください。

6.
その他履修上の注意事項

 特になし。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 イントロダクション:授業の概要と進め方、インドの政治・社会・文化
【第2回】
 統治をめぐるイデオロギーの対立:歴史的経緯、政党政治との関わり
【第3回】
 カースト制度と不可触民:カースト制度とは何か、不可触民とはどのような人々か
【第4回】
 弱者優遇政策:特定カーストに対する留保制度をめぐる対立
【第5回】
 多宗教社会:インドにおける主な宗教、宗教をめぐる対立
【第6回】
 宗教ナショナリズム:ヒンドゥー・ナショナリズムの台頭
【第7回】
 ジェンダーと女性問題:伝統の担い手としての女性、女性に対する暴力
【第8回】
 ポストコロニアル:インドの社会問題をポストコロニアルという観点から見る
【第9回】
 経済政策:経済自由化のインパクト、経済成長と都市の消費文化
【第10回】
 アイデンティティ政治とガバナンス:政治にもたらす影響
【第11回】
 教育問題:インドの教育制度、学歴社会と厳しい受験戦争
【第12回】
 若者の政治行動:政治意識の高まり、活発な政治参加
【第13回】
 マスメディア:活発なジャーナリズム、マスメディアをめぐる問題点
【第14回】
 ディアスポラ:在外インド人の持つ政治的・経済的な影響力
【第15回】
 授業のまとめと試験