Web Syllabus(講義概要)

平成30年度

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科目ナンバリング:
確かな学力の育成と学習指導計画の作成 三石 初雄
必修  2単位
【教職大学院】 18-1-1331-3779-004

1. 授業の概要(ねらい)

 今日の児童・生徒の学習状況ならびに教育・文化環境に留意しながら、公教育としての学校での学びに期待されている各教科・領域等における「確かな学力」「豊かで深い学び」を育てるために、学習指導案の作成と模擬授業、その分析過程を通して、授業実践力量の向上を図る。
 具体的には、特定の教科・単元を選定し、共同で教材の開発、指導計画・授業案を作成し、模擬授業を行い、授業研究・協議の手法を身に付けるとともに、指導計画・指導案・授業の在り方・編成原理を追究する。その際、選定した教科・単元・題材等に関する先人の教育実践事例での実践的検討事項に留意する。

2.
授業の到達目標

 <A類学生>
 ・近年の実践的理論的研究成果を踏まえ、各教科・領域等において「確かな学力」「豊かで深い学び」とは何かを究明し、その育成を具現化し得る学習指導計画・授業案・授業の編成原理を理解し、それらを的確に反映する教材開発を行い試行することができる。
 ・各教科、総合的な学習の時間における教材開発、ICTの活用等について理解を深め、それを実際の指導に生かすことができる。
 <B1類学生>
 ・近年の実践的理論的研究成果を踏まえ、「確かな学力」「豊かで深い学び」について、授業実践を理論的に分析・整理することを通じてより深く明確化するとともに、教科等横断的学習を含む学習指導計画・授業案・授業の編成原理を理解し、その具体化を図ることができる。そこで得た専門的に高い知見・技術を基に教員を的確に指導し、カリキュラムマネジメントの力量を身に付ける。
 ・各教科、総合的な学習の時間における教材開発、ICTの活用等について理解を深め、それを実際の指導に生かしたり、校内で適宜指導・助言できる力量を育成する。
 <B2類学生>
 ・近年の実践的理論的研究成果を踏まえ、「確かな学力」「豊かで深い学び」について、授業実践を理論的に分析・整理することを通じてより深く明確化するとともに、学習指導を充実するための学習指導計画・授業案・授業の編成原理を理解し、カリキュラムマネジメントの観点に留意して校内の教職員と協働し、その作成や指導にあたる力量を育成する。
 ・教育効果という側面から、各教科、総合的な学習の時間における教材開発、ICTの活用等について理解を深め、それを実際の指導に生かしたり、校内で適宜指導・助言できる力量を育成する。

3.
成績評価の方法および基準

 ・レポート(25%)、学習指導計画・指導案の作成(25%)、教材開発への取り組み(25%)、授業中の発表・協議(25%)への態度などに基づいて評価する。

4.
教科書・参考書

 ・特定のテキストは使用しない。
 ・授業の際、資料を適宜配布する。
 ・参考文献は、授業の中で紹介する。

5.
準備学修の内容

 ・子どもにとって本当の「学力」とは何か、どのような「学力」を身に付けることが望ましいのか自分なりの考えを整理し、現代の学校教育で行われている授業内容や現代社会の求める「学力観」について調べ、考えをまとめておくこと。

6.
その他履修上の注意事項

 ・自分自身が何をどのように学んできたのか、そしてそのことが今の自分の生活にどのように生きているのかを見つめ直し、子どもにとって「確かな学力」とは何か、共に見つめ直していきましょう。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 「学力」の育成と指導の計画
 「確かな学力」とは何かを多面的多角的に考え、課題意識を深め広めると共に、「確かな学力」「豊かで深い学び」を組織的計画的に高めていく指導の計画・方法、評価方法などについて課題意識を明確にする。
【第2回】
 各学校における教育課程の編成①―小学校の事例研究を通して―
 学習指導要領等に基づきながら、各学校が地域、児童などに応じて、どのように独自に目標を設定し、教育課程を編成していくのか、小学校教員のB類学生の勤務校の事例報告を基に協議し、理解を深める(学年・教科間の縦横の関係・連携にも留意。第3、4回も同様)。
 B類学生は、特に他校や異校種の違いと連携についての理解と課題意識を高める。
【第3回】
 各学校における教育課程の編成②―中学校の事例研究を通して―
 学習指導要領等に基づきながら、各学校が地域・生徒などに応じてどのように独自に目標を設定し、教育課程を編成していくのか、B類学生の勤務校の事例報告を基に協議し、理解を深める。
【第4回】
 各学校における教育課程の編成③―特別支援教育の事例研究を通して―
 学習指導要領等に基づきながら、各学校・学級が地域、児童・生徒などに応じて、どのように独自に目標を設定し、教育課程を編成していくのか、B類学生の勤務校の事例報告を基に協議し、理解を深める。
【第5回】
 単元指導計画の立案
 学習指導要領等に留意しながら、地域、児童・生徒などに応じて、これまでの経験を活かして(指導計画は毎年、変化していく)、学習/教育内容と教材・題材選定の根拠を明確にし、目標を設定・指導計画を作成する。その際、教職の意義、教育の基礎理論を踏まえ、学習内容/場面として言語系・人社系・自然系・総合系・特別支援系等を考慮した協働検討グループをつくり、教材研究への理解を深め指導計画作成の実践力を高める(第6、7回も同様)。
 B類学生は、指導計画の作成や教材研究などについての、アドバイス、課題の明確化に留意して、積極的に立案に参画する(第6、7回も同様)。
【第6回】
 単元指導計画の立案と教材研究
 上記の指導計画を基にして、学習内容と教育活動の形態、教材や題材の選定等について検討し、学習指導計画の妥当性に留意しながら、学習指導案作成作業を進める。その際、先人の教育実践事例の検討を視野に入れながら、当該の児童生徒の発達課題を想定し、学習内容の明確化と教材・題材研究を深め、適宜、グループ間の進展状況の共有化を図る。
 B類学生は、指導計画の作成や教材研究などについてアドバイスし、「確かな学力」「豊かで深い学び」に誘う授業研究課題の明確化に留意し積極的に立案に参画する。
【第7回】
 単元指導計画の立案と教材研究
 上記の指導計画作成作業を継続し、学習指導案(1時限あるいは1場面)作成にまで具体化し、その成果をグループ間で共有化する。
 B類学生は、指導計画の作成や教材研究などについてアドバイスし、「確かな学力」「豊かで深い学び」に誘う授業研究課題の明確化に留意し積極的に立案に参画する。
【第8回】
 異なる単元指導計画・授業案の模擬授業を通した検討
 前授業までに取り組んできた指導計画・指導案(言語系)の模擬授業を行い、学習指導案、教材、授業、予想される児童・生徒の理解状況等についての分析・考察を通して、指導計画・授業案作成、授業力、児童・生徒理解力とその分析力を高める。
【第9回】
 異なる単元指導計画・授業案の模擬授業を通した検討
 これまで取り組んできた指導計画・指導案(人社系)の模擬授業を行い、学習指導案、教材、授業、予想される児童・生徒の理解状況等についての分析・考察を通して、指導計画・授業案作成、授業力、児童・生徒理解力とその分析力を高める(評価の在り方にも着目)。
【第10回】
 異なる単元指導計画・授業案の模擬授業を通した検討
 これまで取り組んできた指導計画・指導案(自然系)の模擬授業を行い、学習指導案、教材、授業、予想される児童・生徒の理解状況等についての分析・考察を通して、指導計画・授業案作成、授業力、児童・生徒理解力とその分析力を高める(学年・教科間の縦横の関係・連携にも留意)。
【第11回】
 異なる単元指導計画・授業案の模擬授業を通した検討
 これまで取り組んできた指導計画・指導案(総合系)の模擬授業を行い、学習指導案、教材、授業、予想される児童・生徒の理解状況等についての分析・考察を通して、指導計画・授業案作成、授業力、児童・生徒理解力とその分析力を高める(抽出児への着目方法にも留意)。 
 B類学生は、授業研究を進める指導力を育成する(第12、13回も同様)。
【第12回】
 異なる単元指導計画・授業案の模擬授業を通した検討
 これまで取り組んできた指導計画・指導案(特別支援系)の模擬授業を行い、学習指導案、教材、授業、予想される児童・生徒の理解状況等についての分析・考察を通して、指導計画・授業案作成、授業力、児童・生徒理解力とその分析力を高める。
【第13回】
 授業記録の分析と評価
 模擬授業や先駆的実践事例に関する授業記録を基に、授業研究の方法、評価の視点についての理解と技能を高める。
【第14回】
 ICT機器の活用を含む教材開発・教育方法の課題の検討
 児童生徒の調べ学習などにおけるインターネット、デジタルボード、デジタル教科書など、ICT機器を活用した教育活動の有効性と課題に関しての検討を通して、現代における教育方法の多様な在り方に関しての理解を深める。
【第15回】
 「豊かで深い学び」をはぐくむ授業研究、授業研究協議の在り方の検討
 これまでの学習と教育活動に関しての指導計画と模擬授業、その記録と授業研究協議等での議論を基に、各教科・領域等における「確かな学力」「豊かで深い学び」を育てる教師の実践的指導力量の飛躍を可能とする諸契機を明らかにする。