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授業の概要(ねらい) |
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この日本史籍講読3A-Ⅰの授業は、担当教員の専攻する時代である日本中世の史料・記録を中心として、その前後の時代のものをも含むそれらの活字版をテキストとして使用する。その史料等を読み、内容を解釈し、必要ならば使われている語句や人名・地名などを検索し、その全ての調査内容を授業毎に担当グループの学生諸君が報告するという形式のものである。したがって授業の進行方法穂は演習に準ずるものとなり、受講学生諸君には何人かずつのグループを形成してもらい、各グループで報告する史料等を決め、順次上の方式に依拠して調査・報告をしてもらうものとなる。ただし史料等の読みについては、受講学生諸君の判読能力の向上を常にはかるため、担当グループ以外の者にも読んでもらう。
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2. |
授業の到達目標 |
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過去の人々が何らかの意図をもって書き残した史料・記録等、つまり私的手紙や行政文書から、日記・歴史書・文学作品などまでを含めて、その中身を読み込むことによって、受講学生諸君が当時の社会の実情を知ると共に、その読解と内容分析、報告ができるようにすることを目標とする。それにより、学生自身の専門的分野におけるプレゼンテーション能力や、卒業論文作成の際の情報取集・分析・記述能力を向上させ、論文の完成に寄与することも目指す。
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成績評価の方法および基準 |
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出席は成績評価の前提となる必要条件である。それを満たした上で、前期授業の最後の時間に実施する試験の解答内容を勘案して、成績を評価する。
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教科書・参考書 |
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テキストは使用しない。解読・分析の対象となる必要な史料・記録等は、担当教員がプリントを作成して毎時間学生に配布する。
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準備学修の内容 |
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日本中世とその周辺の時代の史料等は、当然ながら古文・和風漢文またはそれらの混交文で書かれている。また使用されている漢字は現在の当用字体ではなく、旧字体(正字体)で書かれている。それらを読み解ける能力が必要となるので、古文書学の授業も併せて聴講したり、また高校時代の古文・漢文の教科書を再学・復習して、古文・漢字能力を高めておくことが望ましい。
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その他履修上の注意事項 |
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少人数授業であるから、前期のうちに少なくとも1回以上は報告する順番が当たる。その際にはグループのメンバーで協力して報告用レジュメ(プリント)を作成してもらう。初回のグループ分けには必ず参加すること。 なお以下の授業内容はあくまで予定であり、状況によっては変更されることもあるので、承知しておいてもらいたい。
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7. |
各回の授業内容 |
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【第1回】 | ガイダンス。史料解読や報告上の様式・手順等の説明、またグループ分けや史料等の割り振りを行う。 | 【第2回】 | 以下2回ほどの時間を使って、古典文法・漢文法要点の講義を行う。 | 【第3回】 | 同じく古典文法・漢文法要点の講義。 | 【第4回】 | 以下順次グループごとの報告。1回目、平安時代中期の文学作品など。今昔物語・宇治拾遺物語など。 | 【第5回】 | 報告2回目、同じく源氏物語など。 | 【第6回】 | 報告3回目、平安時代の貴族日記など。御堂関白記などについて。 | 【第7回】 | 報告4回目、同じく紫式部日記など。 | 【第8回】 | 報告5回目、中世に入り鎌倉時代の軍記物・歴史書など。平家物語・吾妻鏡など。 | 【第9回】 | 報告6回目、鎌倉時代の史料。御成敗式目など。 | 【第10回】 | 報告7回目、鎌倉時代の仏教書や紀行文など。歎異抄・とはずがたりなど。 | 【第11回】 | 報告8回目、鎌倉時代の行政文書。幕府裁許状など。 | 【第12回】 | 報告9回目、鎌倉時代の地方記録。松浦党関連史料など。 | 【第13回】 | 報告10回目、南北朝時代の軍記物など。太平記など。 | 【第14回】 | 報告11回目、南北朝時代の史料。建武式目追加・徳政令など。 | 【第15回】 | 前期のまとめと試験。 |
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