Web Syllabus(講義概要)

平成30年度

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科目ナンバリング:HEA-205
西洋史特殊講義3A- I 能勢 和宏
選択必修  2単位
【史】 18-1-1340-4225-005

1. 授業の概要(ねらい)

 「ヨーロッパとは何か?」あるひとは「大西洋からウラルまで」と答えるかもしれない。またあるひとはEUと答えるかもしれない。いずれにせよ、この問いに明確な答えをのべることは難しい。トルコのEU加盟問題、イギリスとEUの関係、ウクライナをめぐるロシアとEUの対立などを念頭に置けば、ヨーロッパという概念がきわめて曖昧なものであることがわかるだろう。
 本授業ではこの「ヨーロッパとは何か?」という問いへの答えを、古代から現代までヨーロッパについて書かれたテキストを用いて探っていく。それらのテキストを読み解き、比較していくことで、ヨーロッパという概念に含まれる共通項や多様性を学ぶ。前期は古代から19世紀までのテキストを読み、歴史的なヨーロッパ概念を把握していく。例えばヒポクラテス、モンテスキュー、カント、ナポレオン、ユゴーなどを取り上げる予定である。

2.
授業の到達目標

 ①歴史的構築物としてのヨーロッパという見方を身に着ける。
 ②現代のヨーロッパをめぐる諸問題を、歴史的な見地から考察する姿勢を身に着ける。

3.
成績評価の方法および基準

 小テスト(30%)、期末試験(70%)

4.
教科書・参考書

 教科書は用いない。参考書は適宜授業内で紹介していく。

5.
準備学修の内容

 各授業で取り上げるテキストは事前にLMSにアップロードするので、予習したうえで授業に臨むこと

6.
その他履修上の注意事項

 テキストは英語なので完全に理解するのは難しいかもしれないが、授業中に説明するので、語学力は気にせず受講してほしい

7.
各回の授業内容
【第1回】
 ガイダンス
【第2回】
 古代のヨーロッパ観①――Hippocrates, "Asia and Europe differ from one another in all respects"
【第3回】
 古代のヨーロッパ観②――Strabo, "The nature of this continent"
【第4回】
 中世のヨーロッパ観①――Isidore of Seville, "The third segment of the world"
【第5回】
 中世のヨーロッパ観②――Pope Urban II, "How small a part do we Christians live in"
【第6回】
 ルネサンス期のヨーロッパ観①――Julius Caesar Scaliger, "How God made human diversity"
【第7回】
 ルネサンス期のヨーロッパ観②――Cesare Ripa, "Iconology of the continents"
【第8回】
 ルネサンス期のヨーロッパ観③――Jan Amos Komensky, "The most flourishing part of the universe"
【第9回】
 近世のヨーロッパ観①――Baron de Montesquieu, "The cultural consequences"
【第10回】
 近世のヨーロッパ観②――Voltaire, "Political Europe, cultural Europe"
【第11回】
 近世のヨーロッパ観③――Immanuel Kant, "Europeans know a better way of using the
              vanquished than eating them"
【第12回】
 近代のヨーロッパ観①――Claude Henri de Saint-Simon and Augustin Thierry,
             "The reorganisation of European societies"
【第13回】
 近代のヨーロッパ観②――Napoleon Bonaparte, "Nothing more or less than a single people"
【第14回】
 近代のヨーロッパ観③――Victor Hugo, "All you need is love"
【第15回】
 まとめと試験