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授業の概要(ねらい) |
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本講義では、質的比較分析(QCA)を基礎から学びます。「数学が得意なら大学に合格するが、そうでないなら英語と国語が得意でないといけない」「就職するには学歴だけでなくコミュニケーション能力も必要だ」など、社会現象はしばしば条件とその組み合わせによって記述されます。QCAは、こうした条件と結果の関係をわかりやすく示す手法で、近年政治学や社会学などで利用が進んでいます。 本講義では、QCAについてその基礎から学び、この方法を自分でも使ってレポートが書けるようになることを目標にします。履修者の理解度に合わせて進めますが、学期の後半では、mvQCAやfsQCA、時系列QCAといった発展手法についても扱いたいと思っています。 なお、最初に復習しますので、履修に際して数学の前提知識は不要です。0.8と0.9のどちらが大きいか判断でき、0.8を0.9で割る計算が電卓でできれば十分です。
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2. |
授業の到達目標 |
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QCAの原理を理解し、実際に利用できる QCAを利用したレポートを執筆できる
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成績評価の方法および基準 |
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100点満点の期末試験(80%)および授業中の積極的な参加(20%)を評価基準とします。ただし、学期の途中に30点満点(予定)の確認テストを行い、その点数を期末試験に加点します。確認テストを受験しなくても単位をとることは可能ですが、確認テストを受ければそのぶん単位取得が容易になります。 なお、学期の後半では電卓を利用します。授業中はスマートフォンなどに入っているアプリケーションを使っても構いませんが、期末試験に持ち込めるのは電卓の機能のみをもつものに限ります。関数電卓である必要はありません。
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4. |
教科書・参考書 |
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授業中に論文を示し、必要に応じてLMSにもアップロードします。本講義で扱う手法の概説としては、ブノワ・リウー、チャールズ・C・レイガン編著、2016、『質的比較分析(QCA)と関連手法入門』晃洋書房.がありますが、邦訳がやや読みづらいので、教科書とはしません。
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準備学修の内容 |
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毎回の講義内容をよく復習してください。積み上げ式の講義なので、やむをえず欠席する場合などはノートを借りるなどして追いついてください。
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その他履修上の注意事項 |
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講義内容への質問・批判等を通じた積極的な授業参加を期待します。また、他者の迷惑になるような行為は慎んでください。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | イントロダクション:授業計画および概略を示し、評価基準について詳説する。 | 【第2回】 | csQCA(1):集合の基本 | 【第3回】 | csQCA(2):真理表の作成と縮約 | 【第4回】 | csQCA(3):矛盾行・空行への対応 | 【第5回】 | csQCA(4):csQCAの適用例 | 【第6回】 | mvQCA:csQCAの限界と多値への対応、mvQCAの適用例 | 【第7回】 | 計量分析との比較:QCAへの批判 | 【第8回】 | 確認テスト | 【第9回】 | 確認テストの返却・解説 | 【第10回】 | fsQCA(1):mvQCAの限界とファジィ集合の基本 | 【第11回】 | fsQCA(2):包含係数の計算 | 【第12回】 | fsQCA(3):被覆度と十分性の評価 | 【第13回】 | fsQCA(4):fsQCAの適用例 | 【第14回】 | 質疑応答・試験対策 | 【第15回】 | まとめと試験:上記到達目標が達成されたか否かを確認する。 |
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