Web Syllabus(講義概要)

平成30年度

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科目ナンバリング:PSY-202
心理学基礎文献研究 II 高田 孝二
必修  2単位
【心理学科】 18-1-1360-0320-004

1. 授業の概要(ねらい)

 心理学基礎文献研究Ⅰでは、こころのはたらきの源泉である脳内神経機構について、薬物のはたらきを通して探ろうとする、行動薬理学について、その検索法を含め、学びました。しかしこころの働きは脳だけで決まるものではなく、皮膚感覚や内臓感覚も大きな役割を果たしていることが知られ、このような、脳と、皮膚を含む「内臓」との相互作用(クロストーク)が注目されています。日常の表現でも「肌が合う」や、「冷たい人」、「暖かい人」など、皮膚感覚と心のありようの関連を示唆するものがみられます。一方、「腹がたつ」や「腹の探り合い」など内臓感覚も同様に感情表現に用いられており、英語でも「直感」や「第6感」を意味する表現として"gut feeling"(直訳すれば、「腸の感覚」)が使われています。文献研究Ⅱでは、はじめに皮膚感覚がこころのありよう及ぼす影響について学びます。さらに時間があれば、上記のような表現で示される「脳腸相関」と呼ばれる現象について、科学的な観点から考えていきます。

2.
授業の到達目標

 こころのはたらきに影響する皮膚感覚や内臓感覚にはどのような神経回路が関わっているのか、どのようなメカニズムでこころのはたらきを変化させるのか、について基本的な知識を得ます。

3.
成績評価の方法および基準

 課題発表、課題レポート、受講態度・質疑応答(70%)、最終レポート(30%)で評価します。正当な理由なく6回以上欠席した場合は単位を与えません。

4.
教科書・参考書

 テキストとして、傳田光洋(著)「賢い皮膚――思考する最大の<臓器>」ちくま新書795、2009
 (ISBN978-4-480-06493-6)を使用します。
 必要に応じ、追加テキストの指定や配布を行います。

5.
準備学修の内容

 テキストは自分の担当以外でも通読し、質問を用意しておくこと。

6.
その他履修上の注意事項

 発表者は事前にテキストを精読し、不明な用語を調べ、関連文献をあたるなど十分な準備をしてください。発表ではテキストの内容をかいつまんで紹介するとともに、用語の解説や自分の考えを述べて皆の理解をうながし、質問を受けるとともに議論を誘導してください。議論は発表者のみでは成立しません。発表者以外の履修者も、論点を準備するなど積極的な参加を期待します。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 イントロダクション(ガイダンス、発表割り当て)
【第2回】
 文献の抄読・討論:皮膚の様々な様相(1)基本構造、しわ
【第3回】
 文献の抄読・討論:皮膚の様々な様相(2)鳥肌、冷汗、におい
【第4回】
 文献の抄読・討論:表皮と角層(1)皮膚のバリア機能、垢
【第5回】
 文献の抄読・討論:表皮と角層(2)皮膚の潤い、にきび
【第6回】
 文献の抄読・討論:皮膚は自律している(1)皮膚の色、皮膚の電気
【第7回】
 文献の抄読・討論:皮膚は自律している(2)皮膚のダメージ回復、ケラチノサイト
【第8回】
 文献の抄読・討論:皮膚が感じる(1)情報伝達の仕組み
【第9回】
 文献の抄読・討論:皮膚が感じる(2)温感・冷感、「視覚」、「聴覚」
【第10回】
 文献の抄読・討論:身体と皮膚 (1)ストレス、ホルモン
【第11回】
 文献の抄読・討論:身体と皮膚 (2)内臓・全身影響
【第12回】
 文献の抄読・討論:情報処理システム 皮膚と脳、遺伝子
【第13回】
 文献の抄読・討論:皮膚温と第一印象
【第14回】
 文献の抄読・討論:「触れあい」とストレス
【第15回】
 まとめ