Web Syllabus(講義概要)

　心の健康が保てなくなる時、それは心の悩みとして把握されたり、異常心理として認識されたりする。それらは臨床心理学によって学問の対象となっているが、その他精神医学、精神保健学、福祉学等のさまざまな学問領域で、実践と研究が積み重ねられている。
　文献研究Ⅰでは、それらの心の健康が不調となった状態が、学問によってどのように把握され研究が進んでいるかについて、テーマ別に検討を行う。特に精神疾患として把握される、統合失調症、うつ病等の気分障害、ストレス障害、人格障害、依存や嗜癖、認知症といった、代表的な精神疾患について検討を行い、充分な理解を深めることとする。
　また精神疾患のみでは把握することの難しい心理現象として、児童虐待、発達障害、いじめ、不登校、ひきこもり、非行、ＩＴ依存、共依存、性的違和、自殺といったことも取り上げる。これらの学習において、各自が文献を収集しよく読み込んでおく必要がある。
　なお文献研究Ⅱでは、心の健康の不調に対する支援について、その基本的な理解を深めるための学習を行う。精神分析や来談者中心療法、認知行動療法といった臨床心理学な支援理論に関して、充分な学びを行う。支援においては、臨床心理学のみならず医学や福祉学など多学問が協働して多職種でのチーム対応が基本となる。その現状についても、本文献研究で取り扱う予定である。

　1）自ら必要な文献を収集し、内容を整理し、わかりやすく発表することができる
　2）心の健康の不調や精神疾患について概説できる
　3）心の支援に関する諸理論や支援方法について概説できる
　4）心理的支援に関する課題について、先行研究をもとに議論を深めることができる

　授業内発表50％、小テスト30％　レポート20％

　テキスト：『よくわかる臨床心理学』　下山晴彦編　ミネルヴァ書房
　参考文献：『TEXT 精神医学（改訂4版）』　加藤進昌・神庭重信・笠井清登編集　南山堂

　テキストの次回授業範囲について充分に読み込み、授業で提示した学習課題に目を通し、自分自身の意見を記述して授業に臨む。授業内で発表され議論したことをふまえ、小テストにおいて自分の考えをまとめる。またレポートとして提出する。

　自ら文献を収集し、それを充分に読み込み、わかりやすい発表資料を用意し、授業内でわかりやすく発表し、それをもとに議論を深め、それらをふまえて学んだことを整理するという学習となる。臨床心理学や公認心理師の活動に関心のある人には、ぜひとも積極的に臨んで多くの学びを得てほしい。
　この科目履修に際して、「臨床心理学概論」「心理学的支援法（心理療法概論）」「心理アセスメント（臨床アセスメント法）の履修は重要となる。