Web Syllabus(講義概要)

平成30年度

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科目ナンバリング:SEM-102
一般教養セミナー II 土持 ゲーリー 法一
【Ⅰ】  2単位
【Ⅰ 大学での学び方】 18-1-1500-2740-002

1. 授業の概要(ねらい)

 この授業はⅠとⅡから構成されますが、Ⅱからでも履修できます。すでにⅠを履修した学生には「先輩として新規受講生をサポートする」態度と努力を求めます。
 この授業は、読売新聞社(松本美奈氏)との共同で開講します。この授業の副題を「なりきって表現力を磨く」とします。
 社会に出るのが不安。でも何をしたらいいかわからない――。この授業は、そんな不安を抱えている学生諸君を歓迎します。
 不安になるのは当然です。社会の変化が加速し、10年先どころか、3年先ですら不透明なのですから。世界がインターネットでつながり、カネと情報の移動は一瞬です。飛躍的な進歩を続ける人工知能によって、いま存在する職業の6割は消えていくともいわれています。どこを目的地に定めて歩いていったらいいのか、誰もが不安を募らせる時代なのです。
 先行き不透明な現代、それでもなお、生きていくうえで欠かすことのできない力は、実は変わっていません。それは、自分ではない、誰かの立場になって物事を考える力です。帝京大学が育成を狙う「グローバル市民」の中核でもあります。地球規模で人やカネ、情報が動く時代だからこそ、誰かの立場で考える――文化や背景の異なる他者を理解する重要性は増しているのです。
 考え方の異なる人とは付き合えない、気が合わなければ無視する……そんな自分の傾向に気づき、問題を感じているのなら、成長のチャンスです。「誰か」に「なりきって」考え、表現するトレーニングを始めましょう。その積み重ねが、社会で役立つ実践的な表現力を磨いてくれま。
 教材は、読売新聞です。受講者には、読売新聞朝夕刊の購読を義務付けます。
 毎日のニュースを伝える新聞紙面には、多くの人が登場します。授業や授業外の学習時間では、その「誰か」になりきります。
 例えば、不祥事を起こした企業のトップ。すぐに謝罪広告を発表し、会見を開かなくてはいけません。どんな内容の文章ならば、世間の人に陳謝の気持ちが通じるのでしょうか。不祥事を起こした企業のトップになりきり、「模擬記者会見」も開いてみましょう。
 実際に社会に出たら、頭を下げなければならない場面は少なくありません、残念ながら。だからこそ、学生のうちに「なりきって」頭を下げる、「あやまる」とはどういうことなのか体験しておくのです。
 あるいは、経済欄に日々掲載されている新商品の開発者になってみましょう。どんな「企画書」を書いて商品開発にこぎつけたのでしょうか。企画書の効果的な発表方法はあるのでしょうか。
 「なりきって」企画書や報告書、謝罪文などを書き、口頭で発表する。グループワーク中心の授業で、先行き不透明な社会を生き抜く知的基礎体力を培いましょう。

2.
授業の到達目標

 1)新聞を毎日読み、社会と向き合う姿勢を持つ(意欲、関心)
 2)適切な情報源から必要な情報を入手し、正確に判断できる(技能、態度)
 3)社会情勢の変化を説明することができる(知識、理解)
 4)社会情勢に対する自分(学生)の意見を書くことができる(技能、態度)
 5)社会情勢に対する自分(学生)の意見を発表することができる(技能、態度)
 6)各単元の学習をつなげてコンセプトマップで描くことができる(技能)
 7)ラーニング・ポートフォリオをまとめることができる(技能・態度)

3.
成績評価の方法および基準

 ①小テスト(知識・理解)            30%(累積評価)
 ②レポート(知識・理解、意欲)         20%(教員評価)
 ③プレゼンテーション(技能・態度)       10%(相互評価)
 ④コンセプトマップとラーニング・ポートフォリオ 40%(技能・態度)(期末・必須)
 ※「ルーブリック」(評価の目安)を作成し、学生の皆さんに事前に渡します。ラーニング・ポートフォリオについては、第13回目の授業で説明します。

4.
教科書・参考書

 読売新聞朝刊・夕刊の購読
 土持ゲーリー法一『ラーニング・ポートフォリオ~学習改善の秘訣~』(東信堂、2009年)

5.
準備学修の内容

 授業ではグループ活動と討論が中心になります。学生は、指定された新聞購読やフィードバック視聴を事前準備学修します。事前準備学修ができているかどうかを確かめる準備確認試験を実施します。

6.
その他履修上の注意事項

 授業では学生の主体的な学習が求められます。毎回準備課題をしてから授業に臨みます。したがって、主体的な学習を望まない学生は履修できません。授業は教員だけで行うものでなく、学生と一緒に「創る」という考えを重視します。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 オリエンテーション なぜ新聞を教材にするか 新聞には「誰」が出てくるか
 なりきりホームワーク(一般教養Ⅰ既履修者への説明と課題について)
【第2回】
 クラスの中にも、多様な人々がいる まわしよみ新聞
【第3回】
 なりきる「意味」を考えよう 
 新聞に登場しているのは、誰だろう グループで書き出してみよう
 *前回と今回で、世の中は多様な人々で構成されていることを知る
【第4回】
 「誰か」は何をしているのだろう
 新聞に登場している人は、何をしているのだろう。
【第5回】
 なりきるためにどうするか①
 読む ブロックに分けて
 線を引いて
 質問しながら
【第6回】
 なりきるためにどうするか②
 書く 書き写す 
 なりきりホームワーク
【第7回】
 なりきるためにどうするか③
 話す 伝わる言葉
 伝わる表情
 アイコンタクト、視線の運び方
【第8回】
 なりきるためにどうするか④
 段取り 企画書の書き方 
 記者会見の準備
【第9回】
 なりきってあやまろう①
 謝罪する文書を書く なぜあやまらなければいけないのか。あやまるとはどういうことか
【第10回】
 なりきってあやまろう②
 謝罪会見を開く 頭をさげるとは、どんな状態か
【第11回】
 なりきってあやまろう③
 あやまったら何が見えてきたか
 →なぜ人は素直に非を認められないのか。許すとはどういうことか
【第12回】
 なりきって売り込もう①
 企画書を書く 
【第13回】
 なりきって売り込もう② (コンセプトマップとラーニング・ポートフォリオの説明)
 口頭で発表する
【第14回】
 なりきって売り込もう③
 グループ同士でセールス合戦。買いたくなった? どんな時に人は心を動かすのだろう。
【第15回】
 授業の総括 テスト