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授業の概要(ねらい) |
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アジア・太平洋戦争の核心は「無惨な死」が多発したことにあり、その背景には「国家の中心部/本土」を守るために敵前方である「周縁部/海外」で戦うという防衛思想を国民に強いたことにあったとされる。「大日本帝国」は、本土から遠く離れた地で現地に多大な被害を与える一方、戦争終盤になると前線の兵士たちは指導部から見捨てられ、飢餓などによる「無惨な死」を遂げていた。本土決戦を回避して終戦の日を迎えた人々は、戦時中、海外での悲惨な戦争の実態を知らされることはなかった。 終戦から70年以上を経過した今日、戦争体験者の数は今や確実に減少の一途をたどり、「戦争の記憶」も風化しつつあるが、近年、体験者の証言を体系的に保存し、次世代へ伝えようとする試みもなされている。そこで本授業では、おもに戦争体験者の証言などを中心に、映像やWeb資料などから「周縁部/海外」で行われた戦争の実態について把握するとともに、「海外戦没者」をめぐって戦後の日本が抱えた課題について検討する。授業では、毎回ミニ・レポートを課すほか、学生間のディスカッションも行う。
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授業の到達目標 |
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・アジア・太平洋戦争の歴史とその時代背景について基本的な知識を習得する。 ・各戦場の実態と兵士たちがおかれた状況について、しっかりと理解できる。 ・戦争体験者の証言の内容や「海外戦没者」をめぐる諸問題について、幅広い視点で考察する能力を身につける。
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成績評価の方法および基準 |
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平常点(40%)とレポート課題(60%)で評価する。レポート課題は、授業内容をよく理解して書けているかが評価基準の重要なポイントとなる。ネットからのいわゆるコピペ等は不正行為とみなして然るべき処置をとる。平常点は、授業内で課されるミニ・レポートやディスカッションを通じた提出物等によって評価する。
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教科書・参考書 |
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特にテキストは使用せず、適宜、授業内で紹介していく。参考書として、吉田裕『日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実』(中公新書、2017年)、浜井和史『海外戦没者の戦後史―遺骨帰還と慰霊』(吉川弘文館、2014年)。
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準備学修の内容 |
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・授業で紹介するWeb資料を積極的に活用すること。 ・レポート課題は、授業内容をよく理解しているかが評価基準の重要なポイントとなるので、レポート課題の作成に向けて、授業で考えたことやミニ・レポートで指摘された点などについてについて自分なりにまとめておくこと。
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その他履修上の注意事項 |
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・普段から、アジア・太平洋戦争や戦没者をめぐる問題に関連するテレビ番組や新聞・雑誌等の記事に目を通すよう心がけること。 ・ディスカッションには積極的に参加し、授業中の私語や携帯・スマホの使用は厳に謹むこと。行為によっては退出を命じることや、以後の受講を認めない場合がある。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | ガイダンス(授業についての説明)/アジア・太平洋戦争の歴史概観 | 【第2回】 | ガダルカナル撤退戦 | 【第3回】 | ビルマ北部の戦い | 【第4回】 | インパール作戦 | 【第5回】 | 中国大陸打通作戦 | 【第6回】 | マリアナ沖海戦 | 【第7回】 | 中間まとめ | 【第8回】 | 東部ニューギニア戦線 | 【第9回】 | 西部ニューギニア戦線 | 【第10回】 | フィリピンの戦い | 【第11回】 | 沖縄戦 | 【第12回】 | 靖国問題 | 【第13回】 | 遺骨帰還問題 | 【第14回】 | 「終わらぬ戦後」と「未来への責任」 | 【第15回】 | 春期授業のまとめ ※ 授業の進展や社会情勢の状況により授業内容を変更する場合がある。 |
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