Web Syllabus(講義概要)

平成30年度

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科目ナンバリング:JLT-317
日本文化研究(書論・鑑賞) I 中村 健太郎
選択  2単位
【日本文化】 18-2-2110-3356-003

1. 授業の概要(ねらい)

 日本における書道文化・文字文化を理解することで、関連する学術分野(国文学や歴史学、美術史学など)を視野に入れた、多様な研究の方法論について理解し、実践できる能力を身に付けることを目的とする。日本文化としての書は、さまざまな視点からアプローチすることが可能である。各研究領域へとつながる可能性を持つ、日本の書道文化・文字文化について理解を深め、より深い検討や批判が可能となる。
 まずは、近代以前に毛筆で記録された古典籍や古文書を実際に解読する基礎知識を学び、独力で文献資料を解読できる技能の習得を目指す。資料内容の解読を通して、日本における書文化の奥深さと広がりについて学習し、広い視野から日本文化を考えられる能力を修得することを目標に講義を行う。

2.
授業の到達目標

 ・日本文化と書の関連について、具体的な事例を挙げて説明できる。
 ・基本的な変体仮名の判読ができる。

3.
成績評価の方法および基準

 ・レポートの提出(4割)と、授業時間内の小テストおよび、授業への積極的な参加状況等を合計した平常点(6割)で評価する。

4.
教科書・参考書

 参考書:福井淳哉『和様の美 かな古筆名跡便覧』(淡交社)

5.
準備学修の内容

 ・美術館、博物館などの常設展や特別展を利用して、実物鑑賞の機会を多く持つように心掛ける。また、参考文献や授業時間内に配布するプリントを活用して、予習と復習を行う。

6.
その他履修上の注意事項

 ・第1回目の授業の冒頭で、本科目の到達目標やレポート課題、成績判定方法について説明を実施する。履修希望者は例外なく必ず出席し、履修希望票(第1回目の授業時間内に配布)を提出すること。
 ・レポートは、美術館・博物館の見学が必須となる。授業内容に関連する書の作例を実際に見学し、書写年代や筆者、書風の特徴などを自分で調べ、レポートにまとめる。
 ・それぞれ異なる視点から書をとらえることを目的とするため、既成の書道概念にとらわれず、柔軟な思考を持って授業に臨んでもらいたい。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 授業の目的と内容、授業の進め方、評価の仕方など
【第2回】
 日本文学と書・藤原定家筆『土佐日記』(一丁裏・冒頭頁)
【第3回】
 日本文学と書・藤原定家筆『土佐日記』(二丁表)
【第4回】
 日本文学と書・藤原定家筆『土佐日記』(二丁裏)
【第5回】
 日本文学と書・藤原定家筆『土佐日記』(奥書・貫之臨書部分)
【第6回】
 日本文学と書・藤原定家筆『土佐日記』(書写奥書)
【第7回】
 日本文学と書・藤原定家筆『土佐日記』(藤原定家の書写意識)
【第8回】
 美術史学と書・『源氏物語絵巻』(鈴虫・冒頭詞書)
【第9回】
 美術史学と書・『源氏物語絵巻』(鈴虫・絵画場面)
【第10回】
 美術史学と書・『源氏物語絵巻』(場面選択の意味について)
【第11回】
 美術史学と書・『源氏物語絵巻』(伝来と現状)
【第12回】
 美術史学と書・『源氏物語絵巻』(他の源氏絵との関係)
【第13回】
 美術史学と書・『源氏物語絵巻』(絵画史研究と書道史研究の接点)
【第14回】
 書跡資料の研究方法
【第15回】
 日本文化研究における「書」