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授業の概要(ねらい) |
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「私」とはなにか,「他者」とはなにか。この素朴で一見シンプルな問いに簡潔に答えられる者は,そうはいない。これまで数多の心理学者がこの問いに対する答えを模索してきたが,現在までに提案された様々な理論も,多くの問題が指摘されており,未だ議論は尽きていない。 「心理学Ⅰ」に引き続き,この授業では,心理学の基礎知識だけでなく,我々の日常生活のなかにあふれる様々な事象から,心理学と我々の関係について考える。特に,伝統的な心理学研究とその限界について,様々なワークを通して理解を深めると共に,「社会構成主義」と呼ばれる考え方と近年の研究・実践について解説を行う。 「私」とは何か。この問いに対する本授業での挑戦が,受講生諸君の学びを大きく変えることを願う。 なお,この講義の内容は春期開講の「心理学Ⅰ」(担当:新原将義)の内容と大きく関連する。よって「心理学Ⅰ」との連続受講を推奨する。
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2. |
授業の到達目標 |
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①学生は,「自己」概念の変遷について説明できる。 ②学生は,自らの日常生活について,社会構成主義の観点から振り返り,他者に説明することができる。
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3. |
成績評価の方法および基準 |
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中間レポート 40% 期末テスト 50% グループワークやプレゼンテーションへの取組 10%
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教科書・参考書 |
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ケネス・J・ガーゲン『あなたへの社会構成主義』ナカニシヤ出版
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5. |
準備学修の内容 |
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準備学習については,授業内で適宜指示を行う。
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その他履修上の注意事項 |
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本授業では毎回,「インプロ」と呼ばれるグループワークに取り組む。また回によっては,グループによる討論やプレゼンテーションに取り組むことがある。これらの活動への取組の様子は成績にも反映するので,積極的に参加すること。
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7. |
各回の授業内容 |
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【第1回】 | オリエンテーション | 【第2回】 | 自己① 自分を「語る」,自分を「演じる」 | 【第3回】 | 自己② 映画「リベリオン」鑑賞 | 【第4回】 | 自己③ 「リベリオン」と「マトリックス」から考える二元論的世界 | 【第5回】 | 対話① 教師,カウンセラー,実験者の演じ方 | 【第6回】 | 対話② 心のメタファー,客観性のレトリック | 【第7回】 | 対話③ 「Yes,and」による対話 | 【第8回】 | 心理療法① フロイトとは何者だったのか | 【第9回】 | 心理療法② ソーシャルセラピーと「関係性の中の自己」 | 【第10回】 | 発達障害① 発達障害と環境デザイン | 【第11回】 | 発達障害② 「窓際のトットちゃん」と「All Stars Project」 | 【第12回】 | 再び,自己へ① 個人主義とイデオロギー | 【第13回】 | 再び,自己へ② マルクス,ヴィゴツキー,バフチン | 【第14回】 | マスメディア① 「炎上」現象を考える | 【第15回】 | マスメディア② テクノロジーと社会 |
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