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授業の概要(ねらい) |
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2036年には3人に1人が65歳以上の高齢者になると推計され、認知症患者数も増加傾向である。その一方、健康上問題のない高齢者の寿命(健康寿命)は近年延び続け、高齢者の雇用者数の割合も上昇傾向にある。高齢者の心理臨床においては、クライアントの心理面だけでなく健康状態や社会生活等も詳細に把握することが重要である。 一般的に高齢者になると、心身の機能が低下し、生活や行動範囲も変化していく。それに加え、退職や近親者との死別、経済的不安や家族関係における葛藤、老いや死と直面する不安や孤独感など、心理的な課題は多い。本講義ではこのような高齢者の状況を、生理的変化や社会的背景などと関連付けながら、心理学的に解説していく。また、臨床場面を想定したモデルケースを提示し、心身の老化と実生活におけるストレスが混在した状況について考察していく。複雑で多様な高齢者への理解を深め、心理臨床への基本的な考え方を身につけることがこの講義の目標である。
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2. |
授業の到達目標 |
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高齢者の心理的特徴や生理学的変化、社会的背景を概説できる。 高齢者の心理臨床に関わる基本的な理論を説明できる。 高齢者の心理臨床に関して、心理学的に考察できる。
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3. |
成績評価の方法および基準 |
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講義内小レポート40% 期末レポート60%
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4. |
教科書・参考書 |
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テキスト 下仲順子編「現代心理学シリーズ14 老年心理学」培風館 参考文献 池田健著「臨床家のための精神医学ガイドブック」金剛出版 佐藤眞一・権藤恭之編著「よくわかる高齢者心理学」ミネルヴァ書房 池田健・小阪憲司「専門医が語る認知症ガイドブック」金剛出版
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5. |
準備学修の内容 |
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テキストの次回授業範囲を一読し、問題意識をもって授業に臨むことが望ましい。また、日ごろから身の回りにいる高齢者に触れ合うよう心がけること。マスメディアなどを通じて、高齢者の抱える問題に関して知識を深めるよう努力しておくこと。
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6. |
その他履修上の注意事項 |
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医療や介護、カウンセリングに関心のある学生にはぜひ選択してほしい。
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7. |
各回の授業内容 |
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【第1回】 | オリエンテーション/高齢者心理学研究の歴史 | 【第2回】 | 高齢社会の到来 | 【第3回】 | 高齢期の健康、身体疾患 | 【第4回】 | 高齢期の精神疾患・認知症 | 【第5回】 | 高齢期の精神疾患・気分障害他 | 【第6回】 | 高齢期の感覚、知覚機能の加齢変化 | 【第7回】 | 高齢者の記憶/知能と加齢 | 【第8回】 | 人格と加齢/高齢期の適応 | 【第9回】 | 高齢期の家族/高齢期の対人関係と社会生活 | 【第10回】 | 死と死にゆく過程 | 【第11回】 | 高齢者を対象とした心理テスト | 【第12回】 | 高齢者を対象とした心理療法 | 【第13回】 | 高齢者への心理療法の実際〜身体疾患との関係 | 【第14回】 | 高齢者への心理療法の実際〜喪失体験への対処 | 【第15回】 | まとめ |
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