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授業の概要(ねらい) |
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この日本経済論では、現代日本の経済システムの原型が形成されたといわれる戦前まで遡って、日本経済の過去と現在を俯瞰します。 戦後の日本経済は朝鮮戦争をきっかけに急速な発展を遂げ、昭和40年代半ばにはGNPで西独を抜いて自由世界第2位の経済大国となりました。これは「日本の奇跡」とも呼ばれて世界から驚きをもって受け止められましたが、こうした急成長の根底には、戦前の戦時体制下で形作られた独特の経済システム(日本型経済システム)がありました。しかし昭和40年代後半、ドルショックによって主要国通貨が固定相場制から変動相場制へと移行し、以降日本は絶え間ない円高圧力に晒されるようになり、また石油ショックによって日本の経済産業構造は製造業からサービス化が加速し始めました。これにより、かつて圧倒的な優位性を誇っていた日本の製造業の国際競争力は、国内工場の海外移転の進展と新興国の急成長によって翳りも見え始めています。さらに、少子高齢化の進展や、昨今の英米における保護主義的・排他主義的経済政策の台頭によって、これまで世界経済の成長を促してきたグローバル化の動き事態に急ブレーキがかかり始めており、これが経済発展の制約要因となり始めています。日本経済はいま、将来への確かな展望を見出し難い重要な転換点に差し掛かっていると言えます。 そこで「日本経済論」では、日本が持続的経済発展に向けてこの先どのような道筋を描いて行けば良いのか考えていくためにも、これまで歩んできた日本経済の歴史を振り返って学んでいきたい思います。
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2. |
授業の到達目標 |
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グローバル化した国際経済社会の中で日本は今どのような状況に置かれているのか、また、日本の近代経済成長の歴史の中で今日の日本はどのように位置づけられるのかを、受講者それぞれが自分なりにストーリーを描いて人に説明できるようになってもらいたいと思います。
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成績評価の方法および基準 |
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期末に行うペーパーテストの結果を成績評価の基礎点とし、これに普段の授業への取り組み姿勢(出席状況、義務的課題の実施状況、任意レポート提出など)をボーナス点として加算して総合評価を行います。ただし、以下の事項に該当する場合は大幅減点となります。 ①授業中の私語など他の学生へのあらゆる「迷惑行為」 ②授業中およびテスト時におけるあらゆる「不正行為」
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教科書・参考書 |
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【テキスト】特に指定しません 【参考文献】『入門日本経済』浅子和美・篠原総一郎編(有斐閣) 『日本の経済発展』南亮進(東洋経済) その他の参考文献は、講義に都度紹介します。
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準備学修の内容 |
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講義の都度配布する資料を丁寧に読んで講義内容を理解するとともに、授業中に紹介する参考文献等をできる限り手に取って読み理解を深めて下さい。なお、講義内容について理解を深め知識の定着を図るため、授業中に簡単な練習問題や小テストを行うことがあります。
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その他履修上の注意事項 |
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単に授業を聞くという受け身の姿勢ではなく、講義を通して自分の関心や疑問を掘り起こし、原典や関連文献または統計データに直接あたって調べたり確認してみるといった積極的な姿勢で取り組まれることを期待します。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | ガイダンス | 【第2回】 | 第一次大戦と大正9年反動 | 【第3回】 | 関東大震災と昭和金融恐慌 | 【第4回】 | 昭和の東北大凶作 | 【第5回】 | アメリカ繁栄の20年代と「暗黒の木曜日」 | 【第6回】 | 世界大恐慌と自由放任主義の修正 | 【第7回】 | 昭和恐慌と日本の中国大陸進出 | 【第8回】 | 戦時統制経済(1940年体制) | 【第9回】 | 自動車産業の勃興① | 【第10回】 | 自動車産業の勃興② | 【第11回】 | 第二次エネルギー革命(石油①) | 【第12回】 | 第二次エネルギー革命(石油②) | 【第13回】 | 戦争被害と戦後への経済遺産 | 【第14回】 | 日本型経済システムの形成 | 【第15回】 | まとめ |
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