Web Syllabus(講義概要)

平成30年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

 
科目ナンバリング:ECP-102
日本経済入門 II 小林 成弘
選択必修  2単位
【国際経済】 18-1-1110-3228-022A

1. 授業の概要(ねらい)

 この日本経済入門では「明治日本の産業革命」をテーマに、今日の日本経済を根底で支える製造業が過去どのように成長・発展してきたのか考えていきます。
 現代日本経済の活力の源泉はモノづくりの技術力にあると言われます。今日、日本人は“made in Japan”に強いこだわりと誇りを持っていますが、日本製品の品質の高さが国際的に評価され、日本人自身が「技術立国・日本」を自負するようになったのはせいぜい1980年代以降の話です。この80年代に日本は自動車やハイテク産業で巨額の貿易黒字を生み出しましたが、今日では国内生産工場の海外移転などの影響もあって新興国の激しい追い上げを受けるようになり、国際競争力が急速に失われてきた産業も散見されるようになりました。
 製造業の産業競争力の有り様は日本経済の強さを知るうえでも極めて重要な事柄であり、「日本経済入門Ⅰ」では明治19年頃に始まったとされる日本の近代経済成長の過程で日本の各産業がどのように西欧の近代技術に迫り、吸収し、自立的発展を遂げてきたのか、その産業発展の歴史を振り返りなら「技術立国・日本」の経済力の秘密に迫りたいと思います。

2.
授業の到達目標

 グローバル化した国際経済社会の中で日本は今どのような状況に置かれているのか、また、日本の近代経済成長の歴史の中で今日の日本はどのように位置づけられるのかを、受講者それぞれが自分なりにストーリーを描いて人に説明できるようになってもらいたいと思います。

3.
成績評価の方法および基準

 期末に行うペーパーテストの結果を成績評価の基礎点とし、これに普段の授業への取り組み姿勢(出席状況、義務的課題の実施状況、任意レポート提出など)をボーナス点として加算して総合評価を行います。ただし、以下の事項に該当する場合は大幅減点となります。
 ①授業中の私語など他の学生へのあらゆる「迷惑行為」
 ②授業中およびテスト時におけるあらゆる「不正行為」

4.
教科書・参考書

 【テキスト】特に指定しません
 【参考文献】『産業技術史』中岡哲郎編(新体系日本史)
       『日本近代技術の形成―“伝統”と“近代”のダイナミクス』中岡哲郎(朝日選書)
       『近代技術の日本的展開 蘭癖大名から豊田喜一郎まで』中岡哲郎(朝日選書)
       『日本の産業革命―日清・日露戦争から考える』石井寛治(講談社学術文庫)
       その他の参考文献は、講義に都度紹介します。

5.
準備学修の内容

 講義の都度配布する資料を丁寧に読んで講義内容を理解するとともに、授業中に紹介する参考文献等をできる限り手に取って読み理解を深めて下さい。なお、講義内容について理解を深め知識の定着を図るため、授業中に簡単な練習問題や小テストを行うことがあります。

6.
その他履修上の注意事項

 単に授業を聞くという受け身の姿勢ではなく、講義を通して自分の関心や疑問を掘り起こし、原典や関連文献または統計データに直接あたって調べたり確認してみるといった積極的な姿勢で取り組まれることを期待します。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 ガイダンス
【第2回】
 維新政府の経済改革
【第3回】
 松方デフレと移民政策
【第4回】
 近代金融システムの形成
【第5回】
 近代産業の曙(造船①)
【第6回】
 近代産業の曙(造船②)
【第7回】
 近代産業の曙(海運)
【第8回】
 近代産業の曙(製鉄①)
【第9回】
 近代産業の曙(製鉄②)
【第10回】
 交通ネットワークの形成(鉄道)
【第11回】
 交通ネットワークの形成(陸運・都市交通)
【第12回】
 民間企業の勃興と第一次企業ブーム 
【第13回】
 日清戦争と第二次企業ブーム
【第14回】
 日露戦争と第三次企業ブーム
【第15回】
 まとめ