Web Syllabus(講義概要)

平成30年度

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科目ナンバリング:ECT-101
入門ミクロ経済学 I 石井 良輔
選択  2単位
【経営】 18-1-1110-3808-013A

1. 授業の概要(ねらい)

 ミクロ経済学は、ものをつくり(生産)、自分がつくったものを他の人のものとやりとりし(交換)、ものをつかう・楽しむ(消費)という世の中における、私たちの幸せについて考える学問である。生産と消費は、ひとりでも行えるが、交換には必ず相手が必要である。日常生活で、私たちが頻繁に行っている交換は、ものとお金をやりとりするもの(売買)であるという性質上、ミクロ経済学の主な対象は売買であるといってよい。しかし、「経済学とは、お金もうけだけを考える学問だ」と思うのは誤りである。私たちは消費することではじめて幸せを感じる。また、消費するものは誰かが生産しなければならない。したがって、生産・交換・消費のプロセスすべてを視野に入れる必要がある。本科目では、売買の当事者が自らの幸せを第一に考えるときの行動の傾向を直観的・経験的に理解して、さまざまなものの価格と取引量の変化を、まったく同じ原理で説明できることを学ぶ。

2.
授業の到達目標

 身のまわりでおこっている事象をミクロ経済学の専門用語にあてはめて考えられる。
  ・完全競争市場において、なぜ、市場参加者が価格受容者になるのかを、仮定を組み合わせて説明できる
  ・「需要量」と「需要」、「供給量」と「供給」を、それぞれ混同せずに、適切につかいわけられる
  ・現実の経済現象における様々な財・サービスの価格と取引量の変化を、需要曲線と供給曲線を用いて説明できる

3.
成績評価の方法および基準

 期末試験(100パーセント)の結果で評価する。

4.
教科書・参考書

 特に指定しない。タイトルが『(入門)ミクロ経済学』などとなっている本のうち、「需要と供給」という用語が見出し・本文に登場する部分は参考になるかもしれない。たとえば、伊藤元重(2015)、『入門経済学』第4版、日本評論社ならば、pp. 17-38、N・グレゴリー・マンキュー(2013)、『マンキュー経済学Ⅰミクロ編』第3版、東洋経済新報社ならば、pp. 99-133が対応している。

5.
準備学修の内容

 授業中に行う確認テストを解きなおしたり、参考書の章末問題を考えたりして、それまでの講義内容の理解を深めてほしい。復習、特に問題演習は重要である。ノートや参考書を読むだけで、例題・問題は解かない、という勉強をする人がいるが、これではわかったことにならない。例題・問題は解き方を読むだけでなく、自分でペンをもってノートに解きなおすべきである。問題を解けば自然にわかってくることは多い。わかっていることとわからないことを明確に区別して、理解できていない解説を紙に何回でも再現せよ。

6.
その他履修上の注意事項

 想定している受講生は、ミクロ経済学にはまったく興味がないものの時間割の都合で本科目を履修せざるを得なかった1年生、および、過去に入門ミクロ経済学Ⅰを履修したことはあるものの、(勉強不足などが原因で)よくわからないまま単位修得にはいたっていない2年生以上である。そういう人が途中でくじけないように、他の教員の担当する入門ミクロ経済学Ⅰ(・Ⅱ)と比較して、本クラスでは内容を大幅に削減している。削った部分は、「今すぐに必要になるわけではないものの、今後勉強を深めていくとそのうちつかわざるを得なくなる」性質のものである。これだけは削るわけにはいかない、というものは残してある。
 ミクロ経済学を学ぶことで、ふつうに生活しているだけでは思いつかないものの見方や考え方ができるようになる。受講生の中には、本クラスの履修が、ミクロ経済学を学ぶ最後の機会になる人もいるだろう。これでミクロ経済学の勉強を終える人であっても、ここで学んだミクロ経済学の知識を、今後の人生を楽しむ基礎としてほしい。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 イントロダクション
【第2回】
 トレードオフと機会費用
 合理性とインセンティブ
【第3回】
 価格受容者の想定と需要
【第4回】
 需要の法則と需要曲線
【第5回】
 需要量と需要
【第6回】
 需要量の変化と需要の変化
【第7回】
 需要曲線のシフト
【第8回】
 価格受容者の想定と供給
【第9回】
 供給の法則と供給曲線
【第10回】
 供給量と供給
【第11回】
 供給量の変化と供給の変化
【第12回】
 供給曲線のシフト
【第13回】
 均衡点
【第14回】
 曲線のシフトと均衡点の変化
【第15回】
 需要と供給で解く経済問題