Web Syllabus(講義概要)

平成30年度

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科目ナンバリング:ECT-102
入門ミクロ経済学 II 石井 良輔
選択  2単位
【経営】 18-1-1110-3808-014A

1. 授業の概要(ねらい)

 他の人が欲しがるものをつくって売ることで得たお金で、自分がほしいものを買ってつかうことができる世の中で私たちは生活している。何をどれだけつくって売るか、何をどれだけ買ってつかうかは、自分で自由に決められる。社会を構成する人全員が、自分のことだけを考えてものを売ったり買ったりする世の中は、果たして皆にとってよいものなのか。よいのであれば、あるいは、悪いのであれば、その善悪はいったいどのような基準で判断できるのか。本科目では、入門ミクロ経済学Ⅰを前提として、ひとりひとりが自分の幸せを追求することと、社会全体を豊かにすることがどこまで両立するかについて学ぶ。

2.
授業の到達目標

 身のまわりでおこっている事象をミクロ経済学の専門用語にあてはめて考えられる。
  ・消費者の意思決定問題を、限界支払用意と価格を比較して解き、個別需要曲線・市場需要曲線を導出できる
  ・企業の利潤最大化問題を、価格と限界費用を比較して解き、個別供給曲線・市場供給曲線を導出できる
  ・「利潤」と「正味便益」を混同せずに、適切につかいわけられる
  ・市場均衡は総余剰を最大にする資源配分であることを数値例を用いて説明できる

3.
成績評価の方法および基準

 期末試験(100パーセント)の結果で評価する。

4.
教科書・参考書

 特に指定しない。タイトルが『(入門)ミクロ経済学』などとなっている本のうち、「消費者(需要)行動」「生産者(供給)行動」「限界支払用意(限界支払許容額、限界効用、限界評価etc.)」「限界費用」「消費者余剰」「生産者余剰」「総余剰」「資源配分」「均衡点(市場均衡、競争均衡、価格均衡etc.)」という用語が見出し・本文に登場する部分は参考になるかもしれない。たとえば、伊藤元重(2015)、『入門経済学』第4版、日本評論社ならば、pp. 53-103、N・グレゴリー・マンキュー(2013)、『マンキュー経済学Ⅰミクロ編』第3版、東洋経済新報社ならば、pp. 203-230が対応している。

5.
準備学修の内容

 授業中に行う確認テストを解きなおしたり、参考書の章末問題を考えたりして、それまでの講義内容の理解を深めてほしい。復習、特に問題演習は重要である。ノートや参考書を読むだけで、例題・問題は解かない、という勉強をする人がいるが、これではわかったことにならない。例題・問題は解き方を読むだけでなく、自分でペンをもってノートに解きなおすべきである。問題を解けば自然にわかってくることは多い。わかっていることとわからないことを明確に区別して、理解できていない解説を紙に何回でも再現せよ。

6.
その他履修上の注意事項

 入門ミクロ経済学Ⅰと同様、内容を大幅に削減している。しかし、純粋に内容量を比較すると、入門ミクロ経済学Ⅱの方が多い。「(ミクロ)経済学では限界的に考える」ことに慣れるには時間がかかることと、生産技術の性質から供給曲線を導出するまでにこなさなければならないステップが多いことが主因である。もしそれらを省略してしまうと、説明が丁寧でなくなったり、「市場経済は私たちにとってよいものか」との問いに答えられなくなったりしてしまう。特に後者については、授業担当者としてはぜひとも答えたいので、削るわけにはいかない。可能な限り厳密な議論・正確な説明を行いたいという事情もあり、わかりやすさ・やさしさを犠牲にしている感はある。そうはいっても、「どんなに勉強してもちんぷんかんぷん」ということはない(ようにしたい)。難解ではあるものの、できればその難しさを楽しみながら、最後まで受講してほしい。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 イントロダクション
【第2回】
 限界支払用意
【第3回】
 正味便益・個別需要曲線
【第4回】
 市場需要曲線
【第5回】
 消費者余剰
【第6回】
 生産と費用
【第7回】
 供給量の決定
【第8回】
 個別供給曲線と正味便益
【第9回】
 市場供給曲線
【第10回】
 生産者余剰
【第11回】
 正味便益と利潤
【第12回】
 均衡点と総余剰
【第13回】
 価格とは何か
【第14回】
 均衡点における総余剰最大化
【第15回】
 さまざまな資源配分と総余剰を最大にする意義