1. |
授業の概要(ねらい) |
|
この演習は、イノベーションという視点から日本経済のこれまでたどってきた成長の軌跡を学ぶとともに、今後の日本経済の行方について考えることを目的としています。日本経済は第2次世界大戦による壊滅的な被害を乗り越えて高度経済成長を遂げ、今日の豊かな社会の礎を築いてきました。その過程で最も重要であった要因は、イノベーション、すなわち生産性の改善・向上に大いに寄与した広い意味での技術進歩であったと考えられます。それは教育水準を向上させ技術吸収能力を高めながら、海外から進んだ技術を取り入れて積極的にR&D投資を行い、日本に適合するように技術に改良を加えるというものでした。 しかしながら、2度の石油ショックの後、日本経済は安定成長ないし低成長に移行、バブル経済の崩壊を経て、「失われた20年」、さらに「長期停滞」ともいわれる状況が続いています。こうした経済状況を打破するためには、従来の導入技術改良型のイノベーションは既に限界にきており、自前技術によるイノベーションが必要であるといわれるようになって久しい今日この頃です。 そこで春学期の「演習Ⅰ」では、イノベーションの観点から顕著な成果が観察された高度成長期を取り上げて、その実態について学びます。続く秋学期の「演習Ⅱ」では、日本経済における将来の展望を切り開くイノベーションとして近年取り上げられることが多いAI(人工知能)の動向などを学んだ後、応用可能性のある分野をいくつか取り上げて日本経済に与えるインパクト、成長への寄与など可能な限り検討します。この「演習」を通じて、経済成長とは何だろうか、経済成長は必要だろうか、といったことも考えてみたいと思います。
|
2. |
授業の到達目標 |
|
(1)イノベーションが経済成長に果たす寄与の大きさについて、具体的な事例を通じて理解します。 (2)輪読担当部分の発表、メンバー間での討論・意見交換を通じてプレゼンテーション能力を磨き、他の人々を説得できるレポートの作成を目指します。
|
3. |
成績評価の方法および基準 |
|
毎回の出席を前提に、討論などへの積極的な取り組み姿勢、輪読担当部分の発表内容、期末に作成してもらうレポートの内容に基づいて総合的に評価します。
|
4. |
教科書・参考書 |
|
【教科書】 (1)吉川洋『高度成長:日本を変えた六〇〇〇日』中央公論新社、2017年 (2)発明協会「戦後日本のイノベーション100選(高度経済成長期)」戦後日本のイノベーション100選事務局、2016年6月15日(WEB掲載情報) 【参考書】 吉川洋『人口と日本経済』中央公論新社、2016年 その他、必要な参考書、資料などがあれば、随時紹介していきます。
|
5. |
準備学修の内容 |
|
(1)輪読に際して、各回の発表担当者はテキストの担当部分のポイント、内容および討論の論点を整理し、プレゼンテーションの準備をして下さい。 (2)それ以外のメンバーの皆さんは、テキストの該当箇所を読んで、質問を考えておいて下さい。
|
6. |
その他履修上の注意事項 |
|
(1)上記のテキスト、参考書以外に、随時紹介していく関連文献、資料をできるだけ当たって、イノベーションに関するイメージをどんどん膨らませて下さい。 (2)受講者数によっては、各回の内容、進度、順序など変更することがあります。 (3)わずか1年間という短い期間の演習ですが、共に楽しく学びましょう。できればメンバー間での親睦を図るべく、懇親会なども実施したいと思います。
|
7. |
各回の授業内容 |
|
【第1回】 | 演習ガイダンス:メンバー自己紹介、この演習および演習Ⅰのねらい・進め方など | 【第2回】 | 輪読の分担決定 | 【第3回】 | 【教科書(1)】輪読①:第2章 | 【第4回】 | 【教科書(1)】輪読②:第3章 | 【第5回】 | 【教科書(1)】輪読③:第4章 | 【第6回】 | 【教科書(1)】輪読④:第5章 | 【第7回】 | 【教科書(1)】輪読⑤:第6章 | 【第8回】 | 【教科書(1)】輪読⑥:第7章 | 【第9回】 | 演習Ⅰ前半の総括 | 【第10回】 | 【教科書(2)】輪読①:高度経済成長期のイノベーション(2項目程度) | 【第11回】 | 【教科書(2)】輪読②:高度経済成長期のイノベーション(2項目程度) | 【第12回】 | 【教科書(2)】輪読③:高度経済成長期のイノベーション(2項目程度) | 【第13回】 | 【教科書(2)】輪読④:高度経済成長期のイノベーション(2項目程度) | 【第14回】 | 【教科書(2)】輪読⑤:高度経済成長期のイノベーション(2項目程度) | 【第15回】 | 演習Ⅰの総括:まとめ、メンバーによるスピーチ(感想・反省など) |
|