Web Syllabus(講義概要)

平成30年度

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科目ナンバリング:ECT-206
観光経済学 II 小沢 健市
選択  2単位
【経済】 18-1-1130-3752-015A

1. 授業の概要(ねらい)

 日本の旅行収支は、数年前までは赤字であった.旅行収支とは、観光者がある国に滞在中にそこで支出する金額が日本人が海外で支出する金額とをドル(円)換算し比較したものであり、前者が後者より大きければ、日本の旅行収支は黒字となる.日本への観光者が多くなればなるほど、彼らの全支出額は増加し、それによって国際収支が黒字となることもあるほど、国際収支に大きな影響を及ぼす場合もある.海外からの観光者の日本国内で支出は、日本から海外への財・サービスの輸出を意味する.つまり、国際観光は観光者が貿易を行っているという事である.この講義では、国際観光を観光者による貿易とみなし、国際観光を貿易理論や国際経済学の理論を適用し、分析することである.この講義では、国際経済学の基礎理論を学び、それを国際観光の分析に適用する.受講生は、この講義から、貿易理論の正確な理解と国際貿易のしくみとを習得することが可能であると同時に.日本の観光政策の立案や政策評価にも適用可能である.

2.
授業の到達目標

 この講義の目標は、受講生に国際観光が貿易であることを認識させること、国際観光を貿易理論や国際経済理論を用いて分析可能にすること、そして観光政策に対する評価を自ら行うことを可能にすることである.

3.
成績評価の方法および基準

 成績評価は、期中に行う中間テストと期末試験の2点によって行うが、前者のウエイトは40パーセント、後者のそれは60パーセントである.ただし、この授業の授業回数15回の三分の二以上の出席が成績評価の必要条件である.

4.
教科書・参考書

 テキストは用いないが、講義開始時に毎回プリントを配布し、それに基づき講義を行う.ただし、欠席者には、プリントは、原則として、配布しない.

5.
準備学修の内容

 講義の予習・復習を1時間程度必励行することが必要である.

6.
その他履修上の注意事項

 国際経済学あるいは貿易理論に関連した科目を合わせて受講することが望ましい.

7.
各回の授業内容
【第1回】
 講義に当たってのオリエンテーションと日本の国際観光の現状の説明
【第2回】
 統計からみた日本の国際観光の簡単な歴史的展望:観光とは何かの説明
【第3回】
 貿易が行われる理由とはなにか:同一生産物の国際間の価格の相違が鍵
【第4回】
 伝統的貿易理論の基礎を平易に説明する:絶対優位と比較優位
【第5回】
 貿易は比較優位で行われる:観光における比較優位とはなにか
【第6回】
 絶対優位と比較優位の数値例を用いた計算例:
【第7回】
 比較優位を理解するためには機会費用の理解が重要:中間テストの準備
【第8回】
 これまでの講義のまとめと中間テストの実施
【第9回】
 先進工業国間のモノの貿易は比較優位に基づかずに行われている:新しい貿易の基礎理論の説明
【第10回】
 産業間貿易から産業内貿易への移行:規模の経済と独占的競争、そして消費者の嗜好が重要
【第11回】
 産業内貿易の基礎理論の説明:需要面から見た貿易理論の平易な説明
【第12回】
 需要面からみた貿易:消費者の嗜好は彼らの所得水準に依存するとの仮説
【第13回】
 国際観光政策を国際貿易理論を適用し評価する:望ましい観光政策を考える
【第14回】
 戦略的貿易政策の国際観光政策への適用とその帰結
【第15回】
 講義のまとめと期末試験の準備