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授業の概要(ねらい) |
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中国経済は、1978年に開始された経済改革開放政策に乗り出し、著しい成長を達成してきた。そして、2010年に日本を抜いて世界第2位の経済大国となり、世界経済の主要な参加者にもなっている。改革開放後の経済高成長を理解するためには、その背後にある資源配分の効率性を含む成長の「質」に着目すべく、政治社会・経済制度の変遷を長期的・歴史的視点が必要である。また、中国経済の持続的な成長が、金融危機後の世界経済を牽引していくと期待されているが、その一方、格差と貧困、環境問題など負の側面を孕みつつもある。最近、国際分業再編の中で、中国政府は『一帯一路』発展戦略を打ち出しており、投資と貿易自由化をさらに推進して行こうという姿勢を示している。 この授業では、マクロ経済の成長動向および高度成長をもたらしてきた要因に焦点をあてながら、中国経済の戦前から今日までの長期発展を、「政策変遷と資源配分」、「改革開放と生産要素市場の形成」、「都市と農村」をキーワードとして追跡し、中国経済成長の初期条件、改革開放の背景、労働市場および金融市場の開放、対外貿易と外資の役割、更には、WTO加盟とグローバル・バリュー・チェーンに参加する影響などの課題について説明する。
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授業の到達目標 |
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春期では、長期にわたる中国経済成長の全体像、および中国の経済改革・開放の事例を掴み、経済学の基礎知識をもとに、中国経済の現状、発展趨勢及び諸問題について複眼的に捉える知識を身につける。
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成績評価の方法および基準 |
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毎回平常点:2%×15=30%、レポート(30%)、期末テスト40%で評価する
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教科書・参考書 |
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テキスト: ・指定しないが、適宜プリントを配布する。 参考資料: ・南亮進・牧野文夫 (2016)『中国経済入門 高度成長の終焉と安定成長への途』日本評論社。 ・袁堂軍(2010)『中国経済の発展と資源配分1860-2004』東京大学出版会。 ・加藤弘之・上原一慶(2011)『現代中国経済論』(シリーズ・現代の世界経済) ミネルヴァ書房。 ・久保亨・加島潤(2016)『統計でみる中国近現代経済史』東京大学出版会。
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準備学修の内容 |
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新聞、テレビ、インターネットなどマスコミでの中国経済、文化、社会に関する内容に関心を持つこと。
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その他履修上の注意事項 |
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やむを得ず欠席する場合には、必ず連絡すること。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | ガイダンス | 【第2回】 | 中国の概要 | 【第3回】 | 1949年以前の中国経済 | 【第4回】 | 計画経済期(1949-1978年) | 【第5回】 | 経済改革と市場化 | 【第6回】 | 都市と農村の格差 | 【第7回】 | 経済成長と産業構造 | 【第8回】 | 人口成長と人口政策 | 【第9回】 | 労働力と人的資本 | 【第10回】 | 金融システムの改革 | 【第11回】 | 農村と農業 | 【第12回】 | 農業生産とその技術水準 | 【第13回】 | 郷鎮企業と農村工業化 | 【第14回】 | 技術政策と知識経済 | 【第15回】 | まとめと期末テスト |
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