Web Syllabus(講義概要)

平成30年度

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科目ナンバリング:ECP-320
中国経済論 II 袁  堂軍
選択  2単位
【経営】 18-1-1150-4904-049A

1. 授業の概要(ねらい)

 中国経済は、1978年に開始された経済改革開放政策に乗り出し、著しい成長を達成してきた。そして、2010年に日本を抜いて世界第2位の経済大国となり、世界経済の主要な参加者にもなっている。改革開放後の経済高成長を理解するためには、その背後にある、資源配分の効率性を含む成長の「質」に着目すべく、政治社会・経済制度の変遷を長期的・歴史的視点が必要である。また、中国経済の持続的な成長が、金融危機後の世界経済を牽引していくと期待されているが、その一方、格差と貧困、環境問題など負の側面を孕みつつもある。最近、国際分業再編の中で、中国政府は『一帯一路』発展戦略を打ち出しており、投資と貿易自由化をさらに推進して行こうという姿勢を示している。
 この授業では、マクロ経済の成長動向および高度成長をもたらしてきた要因に焦点をあてながら、中国経済の戦前から今日までの長期発展を、「政策変遷と資源配分」、「改革開放と生産要素市場の形成」、「都市と農村」をキーワードとして追跡し、中国経済成長の初期条件、改革開放の背景、労働市場および金融市場の開放、対外貿易と外資の役割、更には、WTO加盟とグローバル・バリュー・チェーンに参加する影響などの課題について説明する。

2.
授業の到達目標

 秋期では、経済の国際化にともなう産業構造の変化と国際分業の経済効果などについて学び、中国各産業のグローバル・バリュー・チェーン中での位置づけと今後の見通しについて、国際経済学および国際比較の視点から自分なりの見解を述べられるようにできること。

3.
成績評価の方法および基準

 毎回平常点:2%×15=30%、レポート(30%)、期末テスト40%で評価する

4.
教科書・参考書

 テキスト:
 ・指定しないが、適宜プリントを配布する。
 参考資料:
 ・南亮進・牧野文夫 (2016)『中国経済入門 高度成長の終焉と安定成長への途』日本評論社。
 ・袁堂軍(2010)『中国経済の発展と資源配分1860-2004』東京大学出版会。
 ・加藤弘之・上原一慶(2011)『現代中国経済論』(シリーズ・現代の世界経済) ミネルヴァ書房。
 ・久保亨・加島潤(2016)『統計でみる中国近現代経済史』東京大学出版会。

5.
準備学修の内容

 新聞、テレビ、インターネットなどマスコミでの中国経済、文化、社会に関する内容に関心を持つこと。

6.
その他履修上の注意事項

 やむを得ず欠席する場合には、必ず連絡すること。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 前期の復習
【第2回】
 構造変化:工業、エネルギーとインフラストラクチャー
【第3回】
 生活水準:不平等と貧困
【第4回】
 世界経済の中の中国
【第5回】
 国際貿易
【第6回】
 外国直接投資
【第7回】
 為替政策改革
【第8回】
 国際分業と中国の産業発展
【第9回】
 グローバルバリューチェーンと中国の製造業
【第10回】
 経済特区から上海自由貿易試験園区
【第11回】
 「一帯一路」構想の背景と狙い
【第12回】
 新常態と供給側改革
【第13回】
 経済成長の持続可能性
【第14回】
 日中経済関係
【第15回】
 まとめと期末テスト