Web Syllabus(講義概要)

平成30年度

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科目ナンバリング:PUL-205
憲法特講A 金澤  誠
選択  2単位
【法学】 18-1-1210-1952-015A

1. 授業の概要(ねらい)

 ミシュラン・ガイドにも掲載された高尾山に登ろうとする場合、いくつかの方法がある。ケーブルカーやリフト、徒歩でさえ登ることができる!自分の体力を踏まえつつ、ひとそれぞれの「選択」がある。憲法特講Ⅰを履修するのは、おそらく憲法ⅠⅡを履修を終えたばかりの学生。高尾山でいえば、ケーブルカー「高尾山駅」で降りたあたりの、あのちょうど眺めがよくて、遠くにたぶんうちの大学が見える場所だ。
 この講義は、「中腹」にいる皆さんに、高尾山の魅力をより伝えようというものだ!ブラタモリでもやっていたように、高尾山には普段私たちが気づかない多くの魅力がある。憲法という科目の魅力(ゴール)も、ひとによってそれぞれである。1)一般常識を求めるもの、2)公務員試験、各種国家試験対策のもの、3)司法試験を目指すもの、4)憲法そのものを研究したいもの。
 皆さんには、ゴールを「自ら」決めて勉強する資格がある。「うるさい」ガイドの話を聞いてみると、より世界が広がるかもしれない。目の前の森林や植物に惹かれてもよいし、山梨県や富士山を目指してもよい。やっぱり団子や蕎麦というのも否定はしない。でも今ならまだ(人生の?)岐路(転轍機)の直前だ。なんでもできる!
 最後にひとつ。うっかり「滑落」して、救急隊と一緒に下山するひとが毎年出ている。高尾山(授業)を馬鹿にしないように、心だけはまじめに……

2.
授業の到達目標

 ①憲法の分野における、高度な知識を獲得することができる。
 ②講義でとりあげた複数の憲法判例の内容を、両当事者の主張を踏まえつつ、説明することができる(社会には、いろいろな意見があることを認識できる)。
 ③新聞や法律雑誌、さらには、ツイッター(?)などで、日々議論されている法律問題について、法的根拠を挙げながら、批判もしくは受容できる(昨日の自分より、ほんの少しだけ新聞記事を読めるようになった気になる。世の中の怪しい(?)評論家に対して、軽いコメント【ツッコミ?】をいれられるようになる)。

3.
成績評価の方法および基準

 論述式による試験による評価が原則です(60%)。講義中の発言と小レポート(20%)、中間テストによる評価(20%)もあります。

4.
教科書・参考書

 教科書として、笹田栄司・山崎友也・原田一明・遠藤美奈『トピックからはじめる統治制度――憲法を考える――』有斐閣・2015年)を指定します。したがって、人権だけでなく、(皆さん苦手とされる?)統治を研究します。

5.
準備学修の内容

 資料を配布した場合には、それをメモを取りながら読んでくる必要があります。人数にもよりますが、授業中の双方向コミュニケーションを重視します。判例や文献(の原文)を読むという積極的な作業をおこないます。そうしたことに興味ある好奇心のある学生さんの受講を歓迎します。

6.
その他履修上の注意事項

 ①難しくいえば、社会生じている法的現象に興味を持つことが求められます。最新の判例を扱うこともあります。新聞やニュースを見ておきましょう。
 ②山ですので、滑落には注意してください。何号路を選ぶかは、基本的には自由です。山頂でその成果をお聞きします。自分の足で歩きましょう。コピペ答案は見抜きます。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 高尾山口駅(本当にのぼりますか?デモクラシーで決める)
【第2回】
 山ろく駅(地図・憲法とはどんな文書か?ハイジャックとは?)
【第3回】
 圏央道(動物の権利、植物の権利、多様性って?人間の権利、憲法13条)
【第4回】
 峠の茶屋(何を食べるかは、プライバシーの問題。GPSって?憲法35条)
【第5回】
 薬王院(お寺なの?神社なの?お寺の構造?議会の構造)
【第6回】
 蕎麦(「そば」と「うどん」、どちらが好き……二院制とは?)
【第7回】
 お団子(政党助成って??アメとムチ?官邸の意向とは?)
【第8回】
 男坂(ヨーロッパにおける男女差別?クォータ?憲法裁判所って?)
【第9回】
 女坂(夫婦同姓強制合憲判決。女子もつらいよ。ジェンダーって)
【第10回】
 森林・植物(ユニーク条例の可能性?)
【第11回】
 さる園(あなた、あの猿に似てるねって、ヘイトスピーチ?条例による規制)
【第12回】
 山頂で富士山が見えたら(富士山って誰のもの?憲法89条?)
【第13回】
 大垂水峠(難解な峠で、憲法改正を考える)
【第14回】
 陣場山(公務員試験の過去問、司法試験の問題・学術論文を見てみよう!)
【第15回】
 山梨県・富士山へ(まとめにかえて・到達度の確認)