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授業の概要(ねらい) |
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本ゼミは、「海洋世界のアジア」というテーマについて、近現代における東アジアの海洋交流の過程を解明するものである。 歷史上、東アジアの海域において、1.華夷思想、2.朝貢(冊封)関係、3.交易・移民、4.漂着・難破、5.海賊という5層構造がある。つまり、東アジア海域はこのように、朝貢圏であり、また交易圏でもあった。そして、より一般的には、人が移動する移民圏でもあった。またもっとも基礎に、海民と沿海民とが日常的に交渉しまた衝突する、「倭寇的世界」とも呼びうる、海と陸との交渉過程が存在している。 なお、後期倭寇の活躍した東シナ海島嶼部(九州沿岸や朝鮮南岸地域、台湾、福建省沿岸など)には所属の国家から離れた独自の文化(交易)圏のようなものが成立していたのではなかろうかという説がある。 これらの海域秩序や海域利用の5層構造を見ると、海域は平面的な水の世界ではなく、むしろ日常的に海民と陸民が、官と民とが、陸と海とが政治・交易・文化の領域において交渉している姿が浮かび上がってくる。 本演習の進み方として、前半は論文と史料の輪読、後半は履修者の関心に基づいた研究発表を行う予定である。
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2. |
授業の到達目標 |
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明清2王朝における東アジア地域の錯綜かつ重層的な関係を考える際、学生諸君が独自の問題意識を持ち、調査した資料に基づく意見をゼミの参加者に理解してもらうことを期待している。また、東洋近代史に関心のある諸君がレポートや卒論を作成するために必要な調査、整理、検討、要約、ディスカッションの能力を養うことを目的とする。
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成績評価の方法および基準 |
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出席と研究発表(60%)、期末に提出するレポート(40%)により評価する。 調査能力、理解能力、レジュメの作成能力、発表能力、ディスカッション能力から総合的に判断する。質疑応答に有効な発言がない場合、不合格になる。
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教科書・参考書 |
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濱下武志 著 『近代中国の国際的契機――朝貢貿易システムと近代アジア』 東京大学出版会 林田芳雄 著 『鄭氏台湾史―鄭成功三代の興亡実紀』 汲古書院 林田芳雄 著 『蘭領台湾史―オランダ治下38年の実情』 汲古書院 王 育徳 著 『台湾:苦悶するその歴史』 弘文堂 Philippus Daniel Meij van Meijensteen 著・江樹生 訳注 「梅氏日記」 台湾漢声出版
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5. |
準備学修の内容 |
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毎回、有効な発言をするため、関連資料の把握と理解が不可欠な作業なので、能動的に文献を探すことを望む。 なお、日頃の勉強の成果に資するため、夏休みの期間中(9月初旬)、台湾研修旅行を実施する予定。できたら参加して遺跡など異文化交流の体験を勧める。
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その他履修上の注意事項 |
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講義の内容に関する参考文献に当たって、MELIC(Media Library Center)を活用し、また大学の外へ足を運んで、博物館、資料館、図書館などで調査・研究を進めてほしい。通年の履修を望む。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | ガイダンス 輪読資料を配布し、その分担と発表の順番を決める | 【第2回】 | 前半 輪読発表、質疑応答およびコメント | 【第3回】 | 前半 輪読発表、質疑応答およびコメント | 【第4回】 | 前半 輪読発表、質疑応答およびコメント | 【第5回】 | 前半 輪読発表、質疑応答およびコメント | 【第6回】 | 前半 輪読発表、質疑応答およびコメント | 【第7回】 | 前半 輪読発表、質疑応答およびコメント | 【第8回】 | 前半の発表への講評 | 【第9回】 | 後半 研究発表、質疑応答およびコメント | 【第10回】 | 後半 研究発表、質疑応答およびコメント | 【第11回】 | 後半 研究発表、質疑応答およびコメント | 【第12回】 | 後半 研究発表、質疑応答およびコメント | 【第13回】 | 後半 研究発表、質疑応答およびコメント | 【第14回】 | 後半 研究発表、質疑応答およびコメント | 【第15回】 | まとめ 後半の発表への講評および秋期の発表についての打ち合わせ |
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