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授業の概要(ねらい) |
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古代ギリシアの代表的な古典であるトゥキュディデスの『歴史』を取り上げ、一字一句にこだわりながら読解し、歴史的背景をふまえて自分なりの解釈ができるようにする。 この作品は、アテネとスパルタの間でギリシア世界を二分したペロポネソス戦争(前431~404年)を描いたもので、西洋では政治家や軍人の座右の書となってきた。政治学や国際関係論における必読文献でもある。 トゥキュディデスは、政治と戦争にかかわる人間の心理だけでなく、そこに内在する論理を深く洞察した。その成果は、頻繁に挿入される政治家たちの演説に表れている。 この授業では、トゥキュディデスの伝える演説を中心に読んでいき、何が国家・政治・戦争を動かすのかという問題を考えていく。前期に続き、ギリシアの古典を通して、こうした歴史学本来の大きな問題に向き合い、深く考察する力を身につけてもらいたい。
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2. |
授業の到達目標 |
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テキストの一字一句を厳密に読み、歴史的背景をふまえながら正確にその意味を理解できること 提示された論点について自分なりの解釈をまとめ、討論し、発表ができること 以上を通じて、日本語の総合的な運用能力を高めること
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3. |
成績評価の方法および基準 |
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予習課題の発表を毎回行ない、討論に参加すること
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教科書・参考書 |
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トゥキュディデス『歴史1』京都大学学術出版会(MELIC2階の指定図書で借りること) これ以外に必要な論文はプリントを配布する
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準備学修の内容 |
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テキストの指定された範囲をあらかじめ読み、予習課題をこなしてくること 読み方のわからない漢字は必ず調べてくること(ランダムに指名して答えさせる)
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その他履修上の注意事項 |
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授業中一度も発言のない者は欠席とみなす。 90分間ぼんやりしている暇はないので、集中力を切らさないこと。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | テキストの解説 古代ギリシアの戦争について | 【第2回】 | 序説および久保正彰論文「歴史家誕生」読解 | 【第3回】 | 第1巻、ケルキュラとコリントスの紛争:アテネにおける両国使節の演説 | 【第4回】 | 第1巻、スパルタにおける同盟会議:コリントスとアテネの使節の演説 | 【第5回】 | 第1巻、スパルタにおける同盟会議:スパルタ王アルキダモスの演説と開戦決議 | 【第6回】 | 第1巻、50年史:アテネはいかにして海上覇権国家となったか | 【第7回】 | 第1巻、ペリクレスの戦略とその根拠 | 【第8回】 | 第2巻、ペリクレスの国葬演説 | 【第9回】 | 第2巻、アテネにおける疫病の流行・ペリクレス最後の演説 | 【第10回】 | 第3巻、ミュティレネ反乱をめぐる論争:クレオンの演説 | 【第11回】 | 第3巻、ミュティレネ反乱をめぐる論争:ディオドトスの演説 | 【第12回】 | 演説会:ミュティレネ反乱について、自分で演説を作り発表する | 【第13回】 | 第3巻、ケルキュラの内乱 | 【第14回】 | 第3巻、ピュロス攻防戦 | 【第15回】 | 総括レポート:トゥキュディデスから何を学ぶか |
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