宗教文化論Ⅰ
担当者 筒井 史緒
単位・開講先 選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリング RES-101

授業の概要(ねらい)

本講義では、生きることについて、とりわけ幸福と愛について考えます。題材として、テレビ番組「水曜どうでしょう」をとりあげ、人間はどうあれば幸福であるか、どのように生きれれば魂が充足するか、自分の本質を生きるとはどういうことか、について、さまざまな切り口から考察を深めます。
バラエティ番組を宗教学でとりあげることに、戸惑いをおぼえる方もいるでしょう。また「宗教」と聞いて、「あ、オレ無宗教なんで」「宗教ってなんか危ない」といった反応をもつかたも、多いかと思います。
ですが、「宗教」を、もっと広く、「人間が、人知を超えた領域に生かされていると考えることによって、人間の精神的ニーズを満たすもの」と考えると、人はとても宗教的な生き物であるといえます。自分が生きていることの価値、目に見えないものへの直観、生を喜びで満たしたいという願い、愛がどんな食物より生き物を養うこと……人間は、ただ肉体的に生存していればいいというものではなく、ここにこうして生まれ、生き、経験し、死んでいくことの「意味」を、食べずには生きていけない存在なのです。さらに言えば、わたしたちが求める生の「意味」とは、人によりどのような道を辿ろうとも、けっきょくは「幸福」へと帰着してゆきます。幸福という意味を求め、それに養われる存在であるわたしたちは、なんらかのかたちで、深く、生の根源へ、愛へ、幸福へとつながりたいと願っているのではないかと思います。そして、それが実現したとき、わたしたちは本当に生きていることを実感し、魂の奥底から充足するのではないでしょうか。
そして、「水曜どうでしょう」は、既存の宗教とはまったく違ったかたちで、しかし非常に高度に、究極的な「幸福」を提示しており、それによって観るひとを楽にして(場合によっては救って)いるのではないか、わたしはそう考えています。
授業は毎回、そのときのわたしが辿りついた最新の思索アップデート報告のような形をとる予定です。そのライブ感を共有し、ひとりひとりが自分自身の生と照らし合わせながら、人が生きるということについて思いを深めてもらえたら、と願っています。
春期には、主に、人間が幸福であるための内的条件について考察します。
また、授業時には、ゲストスピーカーをお招きすることもあります。

授業の到達目標

「宗教」の意味を問いなおし、「生きること」「幸福」「喜び」「愛」といった、一見よく知っていることばのもつ意味、広がり、多層性、多様性、深み、共同性などについて、各自思索を深める。
自分が生きていることを、新しく深いまなざしで見られるようになる。

成績評価の方法および基準

学期末試験にて評価。受講態度もあわせて考慮する。

教科書・参考文献

種別 書名 著者・編者 発行所
教科書 『人生に悩む人よ藤やん・うれしーの悩むだけ損!』 藤村忠寿・嬉野雅道著 アスキー・メディアワークス刊
教科書 『人生に悩む人よ藤やん・うれしーの続・悩むだけ損!』 藤村忠寿・嬉野雅道著 アスキー・メディアワークス刊
教科書 『人生に悩む人よ藤やん・うれしーの続々・悩むだけ損!』 藤村忠寿・嬉野雅道著 アスキー・メディアワークス刊
教科書 『腹を割って話した』 藤村忠寿・嬉野雅道著 イースト・プレス刊
教科書 『腹を割って話した(未知との遭遇)』 藤村忠寿・嬉野雅道著 イースト・プレス刊
教科書 『水曜どうでしょう写真集No.2』 藤村忠寿・嬉野雅道著 北海道テレビ放送刊
教科書 『ひらあやまり』 嬉野雅道著KADOKAWA 中経出版刊
教科書 その他、新たに参考になるものが出てきた場合は、授業中に指示する。
参考文献

準備学修の内容

日常に潜む宗教的次元に、敏感に着目してみる。
古今東西のさまざまな宗教あるいは宗教的現象に、興味をもち調べ考察してみる。どうしてその時代その土地でそのような宗教が生まれたのか、現代に通じるものがないか、考えてみる。
じぶんが生きているということを、客観的に観察する。

その他履修上の注意事項

授業を聴く、という受動的態度ではなく、授業をたんに自分にとってのインスピレーションの種と捉え、深く自由に思索してください。みなさんそれぞれにとって、本来の自分にたどりつくための旅の糧になりますように。

授業内容

授業内容
第1回 イントロダクション
第2回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 解釈は精神にとっての食物である
第3回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 宗教性の定義
第4回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 宇宙は本質的に幸福である
第5回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 人間の構造
第6回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 俯瞰と本当の自分
第7回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する エゴとセルフ
第8回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 遊び
第9回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 自己肯定
第10回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 俯瞰・役割・遊び
第11回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 俯瞰・余裕・笑い
第12回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 能動と受動
第13回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 芸術との親近性
第14回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する ユングの私文書に見る「集合的無意識」
第15回 まとめと試験