行動分析学
担当者 望月  要
単位・開講先 選択  2単位 [心理学科 2018年度以降]
科目ナンバリング EXP-301

授業の概要(ねらい)

実験行動分析学 (The Experimental Analysis of Behavior) は20世紀に誕生した新しい学問である。その創設者であるB. F. Skinnerは,アメリカ心理学会により「20世紀の卓越した心理学者」の第1位に選ばれた。実験行動分析学は,生物の行動そのものを研究の対象とし,それを決定する環境との因果関係を明らかにしようとする。このアプローチは,物体の《運動》にだけ注目して,その法則を明らかにした物理学と共通している。この授業ではEABの背景をなす科学哲学である徹底的行動主義 (radical behaviorism) の特徴,EABの発展に大きく影響した研究テーマ,EABの応用である応用行動分析学 (Applied Behavior Analysis: ABA) について紹介する。

授業の到達目標

・EABの科学哲学的特徴ならびに歴史的背景について,自分なりの意見を述べることができる。
・ABAの初歩的な概念を説明できる。

成績評価の方法および基準

学期末試験の成績のみで成績を決める。試験は,あらゆる資料の持ち込みを認め,論述式問題で実施する。

教科書・参考文献

種別 書名 著者・編者 発行所
教科書 テキストは使用しない。
参考文献 『行動の基礎 (改訂版)』 小野浩一(2016) 培風館
参考文献 『ポテンシャル学習心理学』 眞邉一近 (2019) サイエンス社
参考文献 『行動理論への招待』 佐藤方哉(1976) 大修館書店
参考文献 『メイザーの学習と行動 (日本語版第3版)』 ジェームズ・E. メイザー (2008) 二瓶社
参考文献 『行動変容法入門』 ミルテンバーガーR.G. 園山繁樹・野呂文行・渡部匡隆・大石幸二(訳)(2006) 二瓶社
参考文献 『現代基礎心理学6 学習II その展開』 佐藤方哉(編)(1983) 東京大学出版会
参考文献 『行動心理ハンドブック』 小川隆(監修)(1989) 培風館

準備学修の内容

毎回の講義で取り上げる話題について,基本的専門用語の定義は予習して理解した上で授業に臨むこと。毎回の講義の後,ノートを整理し,参考文献を参照して講義内容への理解を深めること。

その他履修上の注意事項

『学習心理学I・II』を履修済か,同時並行して履修していることが望ましい。

授業内容

授業内容
第1回 授業方針の説明,参考書籍の紹介
第2回 EABの特徴(1):実験と制御
第3回 EABの特徴(2):意識の扱い
第4回 心理学の歴史とEAB:Wundt,Watson,Skinner
第5回 EABに影響を与えた思想:ダーウィニズム,操作主義,論理実証主義
第6回 強化随伴性と強化スケジュールの復習
第7回 オペラント・レスポンデント交互作用 (1)
第8回 オペラント・レスポンデント交互作用 (2)
第9回 スケジュール・パフォーマンスの制御変数: VIとVR (1)
第10回 スケジュール・パフォーマンスの制御変数: VIとVR (2)
第11回 ABA
第12回 Small-Nデザイン
第13回 行動観察記録法 (1)
第14回 行動観察記録法 (2)
第15回 まとめ