Web Syllabus(講義概要)

2019年度

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空気力学1(Aerodynamics1) 米田 洋
2年 前期 専門基礎科目必修 2単位
【航空・前期】 19-1-0268-2610

1.
授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連

流体力学の中でも空気力学は飛行機の翼まわりの流れを主として扱う学問です。
航空機の飛行速度が音速よりも十分低い低速の流れを扱うことと空気は粘性が小さい流体であることから、その流れを非粘性非圧縮性流れ、すなわち理想流体の流れとして扱うことができます。
理想流体の流れとして航空機の翼まわりの流れを扱うことにより翼に発生する揚力などの基本法則が明らかにされました。この科目はこのような理想流体の流れと飛行機の翼に発生する揚力の法則を理解することが目的です。
この授業では、DP1に関する基礎的知識と、DP2に関する専門的知識を習得します。
この授業は主に講義形式ですが、授業の最初に、先週以前の復習を兼ね、関連する話題についての自由討議も随時行います。
本科目は、実務経験のある教員による授業です。担当教員は航空機を設計製造する企業において空力業務に携わった経験があり、授業では、企業における実例や実体験、現場での課題などを題材とした議論等を行います。

2.
授業の到達目標

学生が、空気力学の基本となる理想流体の流れと飛行機の翼に発生する揚力の法則を理解し、説明できるようになることを目標とします。

3.
成績評価の方法および基準・フィードバック方法

各章末の問題や類似問題を解く課題を出します。翌週の講義までに解いて提出してもらいます。提出された回答は、提出の次の週に返却するとともに、講義内で解答例を解説してフィードバックします。また、解答はLMSにも掲示します。
この提出状況を評価の一部とします。正解率は評価に含めませんが、解く努力の片鱗が見られ無い場合、未提出扱いとする場合があります。(20%)
評価の主軸は、期末試験によります(80%)。

4.
教科書・参考書

教科書:中山泰喜著『新編 流体の力学』(養賢堂)ISBN-13: 978-4842504780
参考書:谷一郎著、『流れ学』(岩波書店)ISBN-13: 978-4000214315
    石綿良三『流体力学入門』(森北出版)ISBN-13: 978-4627671614
    佐藤恵一、木村繁男、上野久儀、増山豊 著、『流れ学』(朝倉書店)
    ISBN-13: 978-4254231076

5.
準備学修の内容・必要な時間

教科書を事前に熟読してください。また、次週の講義資料をLMSに掲示しますので、同時にしっかり読んできてください(1.5時間)。次週どの範囲の講義をするかについては、前週の講義でお伝えします。また、成績評価の方法にもあるように、各章末の問題や類似問題を解く課題を出します。翌週の講義までに解いて提出してもらいます(1.5時間)。

6.
その他履修上の注意事項

とにかく教科書と向き合うようにします。徹底的に教科書を読んで、全ての章末問題を解いて理解する努力をしてください。課題の模範解答や考え方については、提出翌週を目処に講義でフィードバックします。その中では、ありがちな誤解についても述べます。
自己学習支援のため、課題の解答はLMSに掲示します。

7.
授業内容

【第1回】
流体力学の歴史、流体の性質(単位と次元)
【第2回】
流体の性質(密度など、粘性、ニュートン流、表面張力、圧縮性、完全気体の性質)
【第3回】
流体の静力学(圧力、流体の入れものに掛かる力、アルキメデスの原理、相対的静止の状態)
【第4回】
流れの基礎(流線、流脈線、流跡線と流管、定常流と非定常流、三次元流れ、二次元流れ、一次元流れ、層流と乱流、レイノルズ数、非圧縮性流体と圧縮性流体、流体の回転と渦、循環)
【第5回】
一次元流れ(質量保存の法則、エネルギー保存の法則)
【第6回】
一次元流れ(続−エネルギー保存の法則、運動量保存の法則、角運動量保存の法則)
【第7回】
粘性流体の流れ(連続の式、ナビエ−ストークスの方程式)
【第8回】
粘性流体の流れ(層流の速度分布、乱流の速度分布)
【第9回】
粘性流体の流れ(境界層、潤滑の理論)
【第10回】
揚力と抗力(物体のまわりの流れ、物体に働く力、物体の抗力)
【第11回】
揚力と抗力(続物体の揚力)
【第12回】
揚力と抗力(翼列、キャビテーション)、次元解析と相似則(次元解析、バッキンガムのπ定理、次元解析の応用例、相似則)
【第13回】
理想流体の流れ(オイラーの運動方程式、速度ポテンシャル、流れ関数、複素ポテンシャル、ポテンシャル流れの例)
【第14回】
理想流体の流れ(等角写像)
【第15回】
テスト、まとめ