Web Syllabus(講義概要)

2019年度

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固体の力学2(Solid Mechanics2) 平本 隆
2年 前期 専門基礎科目選必 2単位
【航空・前期】 19-1-0274-3035

1.
授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連

「固体の力学1」から継続して弾性変形下の固体材料でできている部材に生じる応力、ひずみ、変位について学びます。実際の機械設計では、固体の力学1で扱った単純な条件の場合だけでなく。より複雑な応力、ひずみ、変形が作用しています。そのような場合の考え方や問題解法を学修します。
この講義では、DP1に関する知識を修得します。
本科目は、実務経験のある教員による授業です。担当教員は企業において、航空機設計(特に固定翼機、回転翼機の構造設計)業務に携わっており、授業では、企業における実例や実体験、現場での課題などを題材とした議論等を行います。

2.
授業の到達目標

以下の項目を理解し、これらに関する基本的問題を解析できるようになることを目標とします。
(1)静定弾性梁のたわみ解析
(2)不静定弾性梁の解析法
(3)組合せ応力問題の解法
(4)長柱の座屈
(5)座屈を含む薄肉円筒の解析法
(6)ひずみエネルギーと解析への活用

3.
成績評価の方法および基準・フィードバック方法

成績は、演習提出状況(30%)と定期試験(70%)の結果で評価します。
毎回の講義で演習課題を出題します。講義内で解答できるレベルとしますが、自分で解くことが重要なので、解答が間に合わなければ、提出は次の講義でも構わないので、必ず提出してください。これらの解答と解説はその後の講義内で行います。

4.
教科書・参考書

教科書は「固体の力学1」で使用したものを使います。
「強度設計の基礎をつくる材料力学入門」、中山秀太郎著、大河出版、ISBN 978-4886615107

参考書も固体の力学1で示したものと同様です。
「材料力学(新装版)」、村上敬宜著、森北出版、ISBN 978-4627605121
「材料力学」、石田良平・秋田剛共著、森北出版、ISBN 978-4627640115
さらに、演習中心の参考書も理解を深めるために役立ちます。一例として下記を挙げます。
「演習 材料力学(新訂版)」、尾田十八・三好俊郎共著、サイエンス社、ISBN 978-4781909752
「演習 材料力学」、日本機械学会編、日本機械学会、ISBN 978-4888981989

5.
準備学修の内容・必要な時間

講義受講に先立って、1年後期開講の「固体の力学1」の例題を復習しておいてください。
また、主に復習として、講義に関連する教科書の各章末にある演習問題を解いてください。その際、単位に注意して、計算過程をきちんとノートに記述するようにしてください。(1時間)
次の講義内容は教科書の関連箇所を事前に示します。また、LMSに提示する資料にも示されるので、事前に読んでおくことが講義内容の理解に役立ちます。(30分から1時間)

6.
その他履修上の注意事項

講義には、科学計算用関数電卓が必要になります。後半の講義で実習する場合は方眼紙、コンパス、定規、分度器が必要になることがありますのでその際は指示します。
数学は、「固体の力学1」と同様に三角関数、指数関数、対数関数、微分・積分の意味などを理解していることが必要です。
演習課題は適宜出します。予習、復習では章末の演習問題を解くことが講義内容を理解するために重要です。また、講義を欠席すると授業内容の理解が難しくなるので、注意してください。

7.
授業内容

【第1回】
梁の曲げ(復習):「固体の力学1」で学んだ剪断力分布、曲げモーメント分布、断面特性などを復習する
【第2回】
梁の曲げ応力:梁の断面に作用する曲げモーメントによって生じる曲げ応力について考える
【第3回】
梁の剪断応力:曲げモーメントおよび剪断力が作用する梁の断面における応力を考える
【第4回】
梁のたわみ:荷重を受ける梁の変形を考える。たわみの形状、たわみ曲線を微分方程式で表し、その解法を学ぶ
【第5回】
不静定弾性梁のたわみ解析:静力学的な釣合いだけでは解けない不静定梁の解法を学ぶ
【第6回】
梁のたわみの演習:静定梁、不静定梁について、種々の条件でのたわみ解析を行う
【第7回】
平等強さの梁:断面形状が梁の長さ方向に沿って変化する変断面梁についての解法を学ぶ
【第8回】
組合せ応力、任意断面の応力:棒材や梁のような線状部材では近似できない板状の二次元的広がりを持った平面部材に生じる応力、変形について学ぶ
【第9回】
主応力、主剪断応力:座標系に依存しない応力のひとつである主応力について学ぶ
【第10回】
モールの応力円:主応力を図式的に求める簡便な方法であるモールの応力円の解法を学ぶ
【第11回】
三軸応力における応力とひずみの関係:実際の構造部材における応力状態である三次元応力状態について、基本となる応力とひずみの関係式を考える
【第12回】
長柱の座屈:長い柱が軸圧縮荷重を受ける際に生じる軸線に垂直な変形(たわみが生じる)現象である座屈について学ぶ
【第13回】
薄肉円筒:組合せ応力の考え方の応用例として、与圧された航空機胴体構造と類似である薄肉円筒に内圧が作用する状態を考える
【第14回】
ひずみエネルギーとカスティリアノの定理:周知のばねのエネルギーと類似の弾性体のひずみエネルギーの考え方とそれを使った弾性問題の解法について学ぶ
【第15回】
平面トラスの解法:トラス構造をひずみエネルギーを用いて解く方法を示し、有限要素法の導入部を知る