Web Syllabus(講義概要)

2019年度

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材料強度学(Strength and Fracture of Materials) 橋本 敬三
3年 前期 専門基礎科目選必 2単位
【航空・前期】 19-1-0310-2335

1.
授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連

航空機が発明されて以来、その安全性、信頼性の確立には材料強度学の寄与によるところが大きいといっても過言ではありません。65年前のコメット機による事故から航空機に要求される材料の機械的特性は大きく変化してきました。本講義は、航空機・宇宙機に用いられている金属材料の強度、破壊現象について、技術者が持っておくべき知識を基礎から学びます。弾性力学を基礎にして、格子欠陥と転位、応力―ひずみ関係、材料の強化機構、高温におけるクリープ現象、破壊力学、疲労現象についてできるだけ平易に講義を行います。この授業は主に講義形式ですが演習問題についてはグループワークを行い、お互いに議論をします。この授業ではDP1、DP2に関する知識、技法を修得します。
本科目は、実務経験のある教員による授業です。担当教員は企業において高強度金属材料の開発業務に携わっており、授業では、企業における実例や実体験、現場での課題などを題材とした議論等を行います。

2.
授業の到達目標

学生は航空機あるいは宇宙機に用いられる材料にはどのような機械的性質が必要かを材料強度学の観点から次の(1)~(7)について説明できることを目指します。 
 (1) 弾性論の基礎  
 (2) 格子欠陥と転位 
 (3) 応力―ひずみ関係  
 (4) 材料の強化機構  
 (5) 高温におけるクリープ
 (6) 破壊力学 
 (7) 疲労現象

3.
成績評価の方法および基準・フィードバック方法

定期試験(80%)と演習課題の成績(20%)によって評価します。課題は採点し、LMSでフィードバックします。

4.
教科書・参考書

教科書:加藤雅治、熊井真次、尾中 晋 著「材料強度学」朝倉書店 ISBN-13: 978-4254236934
 
参考書:渡辺義見 他 「図でよくわかる機械材料学」コロナ社  ISBN-13: 978-4339046052
参考書:加藤雅治 著「入門 転位論」裳華房 ISBN-13: 978-4785361068

5.
準備学修の内容・必要な時間

教科書を予習・復習し、重要な科学技術用語については調べてまとめておく必要があります。LMSと配布物で毎回の準備学習について指示します(1.5時間)。適宜、課題を出しますので、期限までに提出してください(1.5時間)。格子欠陥は物理的な概念がつかみにくいので、アニメーションを使ったDVD教材を用いて説明します。疑問点を整理して、質問するようにしてください。

6.
その他履修上の注意事項

固体の力学1を予め履修しておいてください。LMSに授業内容と関連資料を掲載します。米国のペンシルベニア大学の学部生向けに作られたDVD教材 ; "Introduction to Engineering Materials" C.J. McMahon を使って、講義内容を視覚的に捉えたアニメーション(英語)で理解を深めます。

7.
授業内容

【第1回】
弾性論の基礎(1): 応力とひずみの定義、せん断応力とせん断ひずみについて
【第2回】
弾性論の基礎(2): 等方弾性体のフックの法則について
【第3回】
格子欠陥と転位(1): 欠陥の種類と転位について
【第4回】
格子欠陥と転位(2): 結晶内の刃状転位とらせん転位について
【第5回】
格子欠陥と転位(3): 弾性論で導かれる転位のもつ応力場について 【演習1と議論】
【第6回】
応力-ひずみ関係(1): 応力―ひずみ曲線について
【第7回】
応力-ひずみ関係(2): くびれの開始条件について
【第8回】
材料の強化機構(1): 固溶強化、析出強化について
【第9回】
材料の強化機構(2): 分散強化、結晶粒微細化について 【演習2と議論】
【第10回】
クリープと高温変形(1): クリープ変形とは?
【第11回】
クリープと高温変形(2): マクロな変形、温度およびひずみ速度の影響
【第12回】
破壊力学と破壊現象(1): グリフィスの脆性破壊の条件について
【第13回】
破壊力学と破壊現象(2): 平面ひずみと破壊靭性について
【第14回】
繰り返し変形と疲労(1): 疲労き裂成長について、パリス則について 【演習3と議論】
【第15回】
テスト、まとめ