Web Syllabus(講義概要)

2019年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

 
航空宇宙燃焼工学(Aerospace Combustion) 橋本 敬三
3年 後期 専門基礎科目選必 2単位
【航空・後期】 19-1-0313-2335

1.
授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連

人類が火を手にして以来、我々はさまざまな燃料を用いた燃焼反応によってエネルギーを得てきました。しかしながら、燃焼という現象が科学的に完全に解明されているとは言えません。燃焼反応は化学反応、熱移動、質量流れが相互に影響した複雑な現象です。現在、航空機のジェットエンジンや自動車のエンジンの開発では複雑な反応素過程を分解・合成した燃焼のシミュレーションが盛んに行われています。化学的、熱力学的視点から燃焼工学を議論します。燃焼工学に必要な基礎理論を学修し、さまざまな化学反応の計算ができるようになることを目指します。この授業ではDP1,DP2に関する知識、技法を修得します。
本科目は、実務経験のある教員による授業です。担当教員は企業において熱力学を基礎とした研究開発業務に携わっており、授業では、企業における実例や実体験、現場での課題などを題材とした議論等を行います。

2.
授業の到達目標

燃焼反応は複雑な化学反応です。化学反応を熱力学的に理解し、実際の燃焼反応の熱量計算ができるようになることが目標です。燃焼を化学平衡、熱移動、質量流れの観点から学びます。さらに急激に燃焼がおこる爆発、予混合火炎と拡散火炎について、その理論的な扱いを学びます。

3.
成績評価の方法および基準・フィードバック方法

燃焼の化学反応を理解し,熱力学に基づいた熱量計算ができるようになることが重要です。中間テストと期末テストを実施します。成績評価は中間テスト(30%)と期末テスト(70%)で評価します。中間テストは採点し、返却します。中間テストの解答例、解説はLMSにアップします。

4.
教科書・参考書

LMSに講義内容と参考資料を公開します。
参考書
1.W.C. Strahle 「AN INTRODUCTION TO COMBUSTION」 Gordon &Breach Science Publisher (1998) ISBN:2-88124-608-7
2.水谷幸夫 著「燃焼工学」森北出版 ISBN4-627-67021-4

5.
準備学修の内容・必要な時間

化学1を学修しているしていることが前提となります。LMSに授業の進行にあわせて授業内容を公開します。準備学習についてはLMSおよび授業中に指示します。化学反応式が理解でき、物質量を用いた様々な化学反応の計算ができるようになっておくことが必要です。熱化学方程式をたて、反応による熱量計算ができるようになるために、予習と復習をしっかり行ってください(各1.5時間)。演習課題を出しますので自力で解答して、翌週に提出してください。

6.
その他履修上の注意事項

参考資料(熱力学データベースJANAAF表)を配布します。演習課題の解答はLMSを使って説明します。

7.
授業内容

【第1回】
化学熱力学1: 燃焼の化学反応について
【第2回】
化学熱力学2: 燃焼の化学反応、反応熱、生成熱について
【第3回】
化学熱力学3: 熱力学第1法則、JANNAF Tableの使い方
【第4回】
化学熱力学4: 断熱火炎温度の求め方
【第5回】
化学熱力学5: 当量比、熱力学第2法則について
【第6回】
化学熱力学6: 自由エネルギーと平衡定数について(1)平衡定数の意味
【第7回】
化学熱力学7: 自由エネルギーと平衡定数について(2)平衡の移動
【第8回】
中間試験とまとめ
【第9回】
反応速度論1: 化学反応の速さについて
【第10回】
反応速度論2: 化学反応の律速過程と爆発限界について
【第11回】
予混合火炎1: ランキン・ウゴニオの式について
【第12回】
予混合火炎2: デトネーション、デフラグレーションについて
【第13回】
予混合火炎3: 火炎の構造および熱理論について
【第14回】
拡散火炎1: 燃料・空気・燃焼生成物の拡散について
【第15回】
拡散火炎2: 火炎の長さについて