Web Syllabus(講義概要)

2019年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

 
ヘリコプター工学概論(Introduction to Helicopter Engineering) 平本 隆
3年 前期 専門科目選択 2単位
【航空・前期】 19-1-0319-3035

1.
授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連

ヘリコプターの基本機能をローターブレード機構原理や空力理論、ホバリング等の飛行原理等と結びつけて理解します。また、基本的な艤装・動力システムの概要、騒音や飛行安全を含む運用での課題、さらに、セットリング・ウィズ・パワーやテールローター機能喪失等運航中に発生する異常事象のメカニズムについても学びます。
この講義では、DP1に関する現場での課題の理解に必要な知識等を修得します。
本科目は、実務経験のある教員による授業です。担当教員は企業において、回転翼機の設計プロジェクト業務に携わっており、授業では、企業における実例や実体験、現場での課題などを題材とした議論等を行います。

2.
授業の到達目標

航空機に係わる空気力学等の基礎的な知識をベースに、航空機の中でも特異な形状、システムを有するヘリコプターの飛行特性を理解すること、ヘリコプターを構成する各種装置を知ることが目標です。
具体的には、
①ヘリコプターに関する空力理論、飛行原理、安定性・操縦性に関する基本的な事項を説明できる
②機会システムとしてのヘリコプターを飛行させるための機構装置、動力伝達装置の概要を説明できる
③固定翼機とは異なる様相を持った構造の特性、降着装置等について特徴を理解し、説明できる
ことです。

3.
成績評価の方法および基準・フィードバック方法

定期試験の成績に基づいて評価します。(100%)
試験結果は、各人に返却し、必要なフィードバックを行います。

4.
教科書・参考書

特に教科書は使用しません。各回の講義毎にプリントを配布します。

講義の参考書としては、下記が適切です佐藤裕也他著、。
 「ヘリコプタ(新航空工学講座)(第3版)」、日本航空技術協会、ISBN 978-4902151312
また、入門的に一般的なヘリコプターの知識を得るために、下記2冊を薦めます。
 「図解 ヘリコプター」、鈴木英夫著、講談社ブルーバックス、ISBN 978-4062573467
 「ヘリコプターの最新知識」、坪田敦史著、サイエンス・アイ新書、ISBN 978-4797353341

5.
準備学修の内容・必要な時間

本講義は、固定翼機の飛行力学と共通する部分も多くあります。航空工学概論、航空機力学を修得した学生はこれらを参照あるいは復習することを薦めます。
本講義で用いる資料はLMSに掲載するので、予習をしてください。(30分)
講義内容に応じて、課題の提出を求めます。指示に従って実施、提出してください。(1時間)

6.
その他履修上の注意事項

準備学習でも記述しましたが、航空工学の知識をベースにしますので、航空工学概論、航空機力学を修得することを薦めます。

7.
授業内容

【第1回】
ヘリコプターの概要:ヘリコプターの歴史、基本的なシステム構成、用途等を学ぶ
【第2回】
ローター・システム:メイン・ローターの機構、ヒンジ、ハブ、スウォッシュ・プレート等主要構成要素を学ぶ
【第3回】
操縦系統、トランスミッション:ヘリコプターを飛ばす機構のメカニズムを理解する
【第4回】
ヘリコプターの力学:ヘリコプターの運動を理解するために空気力学を含む基本的な基礎力学を学ぶ
【第5回】
飛行理論の基本:ローター理論の基本である運動量理論と翼素理論について学ぶ
【第6回】
ホバリング:ホバリングにおける空気力と機体の釣り合い、操舵による姿勢制御について学ぶ
【第7回】
前進飛行:前進飛行時の空気力と機体の釣り合いとブレードの運動について学ぶ
【第8回】
オートローテーション:オートローテーション時のローター運動、H-V線図について理解する
【第9回】
パワー曲線、飛行性能:ヘリコプターの飛行におけるパワーの考え方とパワー曲線に関連した主要性能について学ぶ
【第10回】
テール・ローター:ヘリコプターのテール・ローターの働きと仕組みを学ぶ
【第11回】
安定性、操縦性:ヘリコプターの飛行安定性と操縦性の特徴について学ぶ
【第12回】
構造、降着装置:ヘリコプターの構造および降着装置の特徴(固定翼機との相違等を含む)を学ぶ
【第13回】
エンジン、動力系統:ヘリコプターに用いられるエンジンの特徴と動力系統の概略を学ぶ
【第14回】
振動、騒音:ヘリコプターの振動発生原因と制動装置、騒音低減への取組みについて理解する
【第15回】
まとめと試験:講義全体のまとめを行い、ヘリコプターに対する理解を深める