Web Syllabus(講義概要)

2019年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

 
地方自治法Ⅰ(Local Autonomy Law I) 内貴 滋
1年 前期 専門 基礎系選必 2単位
【地域・前期】 19-1-0793-1968

1.
授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連

国と地方は車の両輪と言われますが、地方公共団体の行政は外交・防衛を除く、全ての分野に及び、支出ベースでは国家支出の2倍の規模を誇ります。規制、給付など通常の行政に止まらず、独自の財源としての地方税徴収、財政支出を通じて権力構造の一翼を担います。日本国憲法でも地方自治の本旨が謳われ、その具体的内容を定める地方自治法について、憲法との関係、住民自治と団体自治、地方自治体の種類と権能など基本事項を論じます。
さらに、地方自治の母国と言われる英国を中心に、諸外国の自治制度との比較をし日本の特色を論じ、この授業を通じてDP(2・3)に関する知識・技能・態度を習得します。また、毎回、アクティブラーニングとして学生の将来に備え、公務員試験問題を実践的に解き学生との意見交換(ディスカッション)を実施します。また、総務省自治大学校客員教授としての授業内容も適宜取り入れます。なお、昨年までは栃木県議会や宇都宮市を訪問し地方自治の第一線の状況を学習してもらいましたが、今年も同様な授業を計画しています。
本科目は、実務経験のある教員による授業です。担当教員は総務省等及び出向した自治体(北海道庁・大分県庁・富山県庁・北九州市等)において多くの法律・条例を立案しまた現実にそれを施行し運用した経験を持っています。授業では国と自治体における関係、法律と条例の実例や実際に直面した課題などを題材とした議論等を行います。

2.
授業の到達目標

現在、我が国は地方自治を含む行政大改革の真っ只中にあります。
担当教官は、8年に及ぶ英国勤務(外交官、自治体代表)を含め行政官として総務省における法案の責任者として国会対策を担当するとともに、政令市の副市長、都道府県の総務部長として新卒採用・人事管理、組合交渉、予算編成、議会対策、法律・条例の立案の実務に幅広く携わるとともに、一村一品運動、ふるさと創生の企画実施などまさに地方自治に一生を捧げてきました。「東京だけが日本ではない。」自らのふるさとに誇りを持つことこそ真の発展に不可欠です。国際通訳ガイドでもあり、具体的な実務経験を通じての視点から、民主主義の基本である「地方自治の基本」を理解することで、学生はその一員である地域社会をより身近なものとし、自らの責任を負う自覚を持つことができるようになります。また、学生は公務員(国・県・市町村)を志すもののみならず、会社など広く各界を志望するものもに生きている実例・法をともに学び社会人への基礎を築くことが出来ます。

3.
成績評価の方法および基準・フィードバック方法

試験の成績(100%)で評価します。解答・評価についてはその後の授業等で解説しフィードバックします。

4.
教科書・参考書

教科書   『英国地方自治の素顔と日本』2016年3月、ぎょうせい 内貴滋著 ISBN978-4-324-10126-1
      (上記の文献は地方自治法Ⅰ・Ⅱの他 行政法I・Ⅱ、地方行政論Ⅰ・Ⅱ、公共政策論Ⅰ、
       地方財政論Ⅰ・Ⅱ、地方自治行政演習Ⅰ・Ⅱ、危機管理論の共通の教科書です。)

レジメ    原則としてLMSに掲載するのでダウンロードして持参のこと

 

 
             
      

5.
準備学修の内容・必要な時間

予習として各回の授業内容をLMSに掲載する授業資料を読み専門用語の意味をまとめ持参すること。(1.5時間)
また、事後学習として単元のまとめとして配布する「君たちはどう考えるか」などの小レポートを学習すること(1時間)
毎回取り組む公務員試験問題を復習すること。(0.5時間)

6.
その他履修上の注意事項

日頃から新聞やテレビなどで国民生活や政治問題などに関心を持ち、疑問をもってください。
若者としての夢と誇りをもって、ともに積極的に挑戦しましょう。

7.
授業内容

【第1回】
オリエンテーション-行政官の視点からの法律の心
     (・ふるさと創生(竹下内閣)、阪神淡路大震災後の新たな防災態勢の構築(村山・橋本内閣)
      ・JET事業の創設、一村一品運動の企画実施、英国行政の導入(在英国日本大使館)、
      公害への挑戦(富山県・北九州市)、民間動物園廃止後の救済等を担当して)
【第2回】
日本国憲法と地方自治(私たちと地方自治、国家行政と地方行政)(1)
【第3回】
日本国憲法と地方自治(私たちと地方自治、国家行政と地方行政)(2)
【第4回】
地方公共団体の意義(1)学生はどこの住民か
【第5回】
地方公共団体の意義(2)市町村と県はどちらが偉いのか
【第6回】
地方公共団体の事務 -一村一品運動とふるさと1億円、外国青年の招致は可能か?
【第7回】
北九州市西鉄動物園閉園事件
【第8回】
地方公共団体の権能(1)組織権、行政権
【第9回】
地方公共団体の権能(2)財政権と財政の仕組み
【第10回】
地方公共団体の権能(3)自治立法権
【第11回】
君たちはどう思うか -オレンジ色の空とヘドロの海で
【第12回】
地方公共団体の権能(4)参政権
【第13回】
地方公共団体の機関(1)オバマ大統領と栃木県知事
【第14回】
地方公共団体の機関(2)議会と市長がとことん争うと
【第15回】
国と地方公共団体の関係 国と地方の争いの軍配は?
  学外授業として栃木県庁・県議会、宇都宮市・市議会などを訪問予定